シルヴィ・ルガストゥロワ
Image by: FASHIONSNAP
ファッションの完成に欠かせないビューティ。些細なインスピレーションから美しいコレクションを作り上げるメイクアップアーティストだけでなく、製品作りにおいてはその美しさを最大限に引き出すためのプロダクトデザインも欠かせない要素だ。連載「美を伝える人」第7回では、「シャネル(CHANEL)」歴40年を超えるその道のプロ、パッケージ・グラッフィックデザイン制作責任者のシルヴィ・ルガストゥロワ(Sylvie Legastelois)にフォーカス。シャネルとの出合い、“師匠”との仕事で学んだこと、シャネルというトップメゾンでプロダクトデザインを担当する意義、そして“至高のリップスティック”として話題を集めた「トランテアン ル ルージュ(31 LE ROUGE)」の誕生の舞台裏と思いを語ってもらった。
目次
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伝説的なアート ディレクター ジャック・エリュ氏との出会いでシャネルに入社
⎯⎯40年以上シャネル ビューティのプロダクトデザインに携わってこられたシルヴィさんですが、幼少期はどんなお子さんだったのでしょうか?昔からビューティや美しいものへの興味がありましたか?
子どもの頃から、かなり完璧主義の性格でした。今思うと、この性格がシャネルが持つものづくりへの情熱と共鳴したのかもしれません。シャネルが何かを作る時、すべてのディテールが重要で卓越したものを目指しているのですが、私自身も納得のいくまで突き詰めたいタイプなものですから。
⎯⎯幼い頃から細かいところまで目を向けていたんですね。当時好きだったことは何ですか?
小さい頃から絵を描くのが大好きでした。好きな絵を描いて生活できるなんてシンプルで素晴らしいと思い、イラストレーターや絵の先生になりたいと思っていたくらいめり込んでいました。ただ、両親からは大変な仕事だからと、あまり勧められませんでしたね。でも私は本当に大好きで、今でもお絵描きが苦手だって子どもがいると、なんだか切ない気持ちになってしまうんです。
⎯⎯昔から感性が豊かだったんですね。どんな絵を描いていたのか気になります。学生時代もその夢は変わらず抱き続けていましたか?
そうですね、やはりイラストを描いて生活をしたいとは思っていました。イラストの中でも、どちらかというとデザインの仕事ですが。一時、ビジネススクールにも通ってみたのですが、理系はあまり得意ではなかったですし、私には合わなかったので、デザインの学校に通いました。
⎯⎯デザインの仕事を目指していて、なぜシャネルに辿り着いたのですか?そう簡単に入れるメゾンではないと思うのですが...。
17歳の夏にアルバイトをしてお金が貯まった時に、母が「シャネル N°5」のフレグランスを使っていたことを思い出して、バイト代を握りしめてシャネルのブティックに小さなメイクアップケースを買いに行きました。当時の私にとって、母親が感じていた世界に一歩足を踏み入れたような、そして、ほんの一部ではありますが、シャネルという世界のトップメゾンの敷居を跨いだような、何か特別な感じがしたのです。それが私自身とシャネルの最初の接点でした。
それからデザインを学び、装飾絵画についても知識を得た時に、奇跡的な偶然でシャネルのアートディレクターで、後に私の師匠となるジャック・エリュに出会うことができて、面接を受けたのです。面接を受ける時、私は母に「シャネルが私を雇いたいと言ってるんだけど」と伝えると母の目がとても輝いて、私も「これは受けなければいけないな」と改めて思ったのです。
ジャック・エリュ:シャネル フレグランス&ビューティ部門およびウォッチ&ファイン ジュエリー部門のアーティスティック ディレクターとして長きにわたりデザインを手掛けた。シャネルのデザインを語る上で欠かせないクリエイターのひとり。「J12」や「プルミエール」など今なおアイコンとして親しまれる多くの製品デザインを担当した。
⎯⎯シャネルの面接…とても緊張してしまいそうです。振り返ってみて、シルヴィさんのどんなところが採用につながったと思いますか?
実は私はグラフィックやイラストといった平面デザインと、装飾絵画や内装のような立体的なデザインを学ぶ、2つの学校を出ていたのですが、そのことがポイントのひとつだったのではないかと思います。
面接の時、若気の至りなのですが、私はもう一人前のアーティストのような気持ちでいました。ジャックが彼の右腕の方に耳打ちする形で「この子が欲しい」と言ってくれました。たとえ1年だけでもシャネルで働くことができたら、母の誇りにもなると思い、「イエス」と答えました。気がつけば40年もシャネルにいますね(笑)。
私の仕事は“中身の魅力を引き出すこと” ジャック・エリュ&オリヴィエ・ポルジュ氏とのエピソードも
⎯⎯シャネルという歴史と伝統のあるメゾンで長年働く中で、さまざまな人との出会いがあったかと思います。人生に影響を与えた出会いや印象深い言葉はありますか?
これまで素晴らしい人、言葉には数えきれないほど触れてきましたが、面接の時にジャックが言ってくれた言葉は忘れ難いです。とてもシンプルなフランス語で「Je la veux ! (=I want her)」と、「あの子が欲しい」と話しました。この言葉がなければ私は今ここにはいませんし、ストレートで強い思いが込められた言い方なので、40年経っても私の中で思い出深い言葉です。
⎯⎯ジャックさんはシャネルの歴史を語る上でも欠かせないクリエイターのひとりですが、どんなことを学びましたか?
私の師匠とは20年ほど一緒に仕事をしてきて、彼は多くを語る訳ではないのですが、そばで彼のやり方や美学を必死に吸収しました。師匠は素晴らしい才能の持ち主であり、私と同じように完璧主義者で自分にも厳しい。そして人間的にも魅力にあふれ、とても偉大な人です。長く共に仕事をしていくうちに、彼が「あの子は私のやりたいこと、私の欲求をきちんと理解していくれている。将来私がいなくなっても私の願いを叶えてくれるだろう」と。これは本当に光栄な言葉でした。
⎯⎯“シャネルといえば”という方々で、専属調香師のジャック・ポルジュさんオリヴィエ・ポルジュさんの親子とも一緒にお仕事をされていますよね。フレグランスのデザインをする際、彼らとはどんな会話をしたのでしょうか。
調香師と日常的に会話することは多くはないのですが、新しいフレグランスを出す際は彼らの口から直接香りについてのインスピレーションや表現したいことを聞くんです。私の仕事は“中身の魅力を引き出すこと”ですから、まずは主役となるものの話をじっくりと伺います。彼らは類稀なる才能を持ったクリエイターであり、謙虚さも持ち合わせています。彼らがやりたいことを語り、そして私の考えにも真剣に耳を傾けてくれるのです。
ジャック・ポルジュとの仕事でユニークだったのは、これはかなりレアなケースではありますが、私が考えたフレグランスボトルをインスピレーション源に、香りを新たにアレンジさせるというクリエイションの相互作用があることでした。
⎯⎯というと、どういったものでしょうか?
私が「シャネル N°5」を黒いボトルに入れてみたいと話したことがあり、ジャック・ポルジュにも黒いフレグランスボトルを見せました。そこから彼は「ココ ヌワール」の香りを生み出したのです。クリエイションは直感的な仕事で、「こうしなければならない」という義務がありません。ですから、彼らとは柔軟に一緒にこういうものを作っていきたいと取り組めるのです。
⎯⎯ジャック・ポルジュさんの息子のオリヴィエさんとも、「シャネル N°5 ロー」や「ガブリエル シャネル」など、さまざまな美しいフレグランスを生み出してきました。
そうですね。「ガブリエル シャネル」を作る時、オリヴィエは「太陽のように輝くフレグランスを作りたい」とおっしゃっていました。ガブリエルというのはメゾンの創設者にもある通り、女性の名前ですよね。なので、私はガブリエルという女性の中の内なる美しさが外に放たれるようなムードを創造しました。そこでボトルのデザインでは、あえて面取りをして、太陽の光線が中心から輝きを放つようなイメージに仕上げたのです。キャップのゴールドにも繊細な表情のラメを混ぜることで、光を表現しています。
ガブリエル シャネルが出来るまで、実に7年を費やしました。この期間は一般的な企業では考えられないことです。ですが、シャネルは完璧なものが生まれるまで時間を惜しまないメゾンなのです。そういう意味で、こうした美しいプロダクトの数々は、シャネルだからこそ生み出すことができたと言えるでしょう。
ガブリエル シャネル オードゥ パルファム:シャネルのミニマリズムを受け継いだシンプルなデザインでありながら、温かく大胆な光を感じさせる ©︎CHANEL
⎯⎯シルヴィさんが手掛けたプロダクトは数多くありますが、2006年に誕生した「ルージュ アリュール」はクリック式のデザインが革新的でした。そして“伝説的フレグランス”「シャネル N°5」のボトルデザインも2012年にアップデートしています。
シャネルにおけるパッケージデザイナーとしてのミッションは大きく2つあると考えています。“陰と陽”言い換えると“守るもの”と“進むもの”といった両極端のものです。私の仕事は「伝統の番人」のようなもので、メゾンの伝統やコードというものをリスペクトし、アイコニックな製品を時代に沿ってアップデートしていくということです。例えば、「シャネル N°5」は100年の歴史を持つフレグランスですが、いつの時代にもマッチしていないといけません。1970年に私の師匠が一度マイナーチェンジしていますが、そこからも40年近く経ちましたから、また時代に合わせる必要がありました。そこでキャップだけをマイナーチェンジしたのです。これは、“守るもの”を作るという仕事ですね。
一方で、長く人々に愛されるメゾンは、人々に驚きと感動を与える仕事も必要です。これが“進むもの”ですね。ルージュ アリュールの艶やかな黒とゴールドの組み合わせはシャネルのコードを受け継いでいますが、クリック式でスマートにリップを取り出すというのは革新的なプロダクトでした。私は、シャネルの社員全員がガブリエル・シャネルから受け継いでいることの一つに、「大胆に前に進み、常に今までの限界を押し進める」というのがあると思っています。ルージュ アリュールで挑んだことはまさにこの限界を超え、新たな感動を女性たちに届けるということでした。
トランテアン ル ルージュにはメゾンのヘリテージを詰め込んだ“美のオブジェ”
⎯⎯昨年登場したリップスティック「トランテアン ル ルージュ(31 LE ROUGE)」は、まさにメゾンの伝統を体現しながら、挑戦的なプロダクトだと感じました。このプロダクトに込めた思いとは?
私たちは、長い歴史の中で最もラグジュアリーなリップスティックを作りたいという強い思いがありました。宝石のように持てるリップスティックを作ろうと考えたのです。それでいて、環境にも配慮し、使い捨てではなくリフィルで何回でも使用でき、母から娘へと世代を超えて受け継がれるような、そんなラグジュアリーを目指しました。
⎯⎯ガラス製のスティックは、今までのシャネルのリップとは全く異なる印象を受けます。どうやって思いついたのですか?
まず最初に、フレグランスボトルからインスピレーションを受けたのです。フレグランスは私たちにとっても大切なアイコンですから。そして、フレグランスの中身を美しく見せるためには透明感が重要であることを思い出しました。私たちプロダクトデザイナーの仕事は、主役であるフレグランスやリップを際立たせること。今回のリップの美しさを最大限に引き出すためにも、透明感をテーマにしようと考えました。
それから、リングや中身に使ったメタル素材についてです。パリのカンボン通り31番地にシャネルのアパルトマンがあったことは有名な話で、上層階へと続く螺旋階段が鏡張りになっているのはご存知ですか?シャネルがファッションショーを開くとき、モデルが階段を降りてフロアへと向かうのをガブリエル・シャネルは階段の上から見ていたそうなんです。鏡張りになっているので、さまざまな方向からモデルと服を確認できるようになっていて、お客さんがどんな表情で見ているのかというのも確認できるんですね。鏡の美しい反射や鏡面から、メタル素材の組み合わせが頭に浮かんだんです。
パリのカンボン通り31番地の建物内にあるガラス張りの螺旋階段 ©︎CHANEL
©︎CHANEL
さらに、透明感という部分では、これまで「ルージュ ココ フラッシュ」などでパッケージの一部にクリア素材を取り入れたことがありましたが、今回はもっと大胆なデザインにしたかったので、シンプルでありノーブルなガラス製のリップスティックを作れないだろうかと思いつきました。そしてエココンセプトもありましたから、これまでの限界を打ち破り、見えない部分までプラスチックパーツを使わないという構造に挑戦したのです。
⎯⎯メゾンのいくつものコードが折り重なって、トランテアン ル ルージュを構成しているのですね。
そうですね。ケースの外側のリングはゴールドですが、ガラス越しに透けて見える中身や詰め替えのケースはシルバーにしました。これはジュエリーの「ココ クラッシュ」の重ね付けなどを見ていて思いついたのです。それから、リップのアクセサリーとしてポーチがあるのですが、ブラックの生地にキルティングを施しました。これはシャネルのアイコニックなバッグがインスピレーションとなっています。トランテアン ル ルージュのリフィルはキャップがついているので、今日はこの色、今日はこっち、というふうに、一色を使い切らずとも日によって色をつけかえて楽しむことができます。そしてこのポーチに入れて持ち運べるので、いつでもこのラグジュアリーなリップを携帯できるのです。
コフレは、本体とリフィル、ポーチのセットをボックスに収めました。内側の仕切りは紙製で、これを外すとジュエリーボックスのように使えます。こうした部分も、サステナビリティを意識しながら長く愛用できるものを、と考えました。
⎯⎯リップスティックの話に戻りますが、発売時に製品化までに4年かかったと聞きました。困難だったポイントは何でしょうか。
何度も壁にぶつかりましたが、一番はガラスと金属加工の点でしょうか。ガラスという素材は生き物のようなもので、どうしても個体差が出てしまう。一方で金属は精密に全く同じものを作ることができる。性質が異なる2つをどうやって生産し、組み合わせるか、昔から懇意にしていたサプライヤーの方々を説得して実現することができました。試作品は現行品よりも少し太いものが出来たのですが、透明感のあるラグジュアリーな一本のために、ガラスのサプライヤーにはできるだけ薄くするように何度もお願いしました。
そして金属加工のサプライヤーにも、ガラスとフィットするようなものを細かく調整してもらいました。実はリップケースは、昔はプラスチックを使っておらず、オールメタルで作られていました。依頼したサプライヤーが古くから営業していたおかげで、アーカイブの一番古いものの中にメタル素材のリップケースがあり、そのレシピを再解釈することで今回のケースを実現できたのです。
実はこのガラスと金属加工のサプライヤーはどちらも日本の企業。世界中どこを探しても、彼らにしか私たちが目指したトランテアン ル ルージュは作れません。マグネット式の開閉デザインなのですが、カチッとハマった時の音も毎回同じものになるように仕上げてくれた技術は圧巻です。改めて、日本の皆さんの職人技に感動しました。
©︎CHANEL
©︎CHANEL
⎯⎯音にまでこだわっているんですね。
「音」は使う素材やプロダクトそのもののクオリティを体現していると言っても過言ではありません。私の師匠が昔話してくれたのですが、高級車と普通の車では、ドアをバタンと閉める音が全く違うのだと。使っている素材や高級で、仕組みにこだわりがあればあるほど、それは音にあらわれるんだそうです。それをずっと覚えていました。音は私たちの身体に響きますから、そうしたポイントも手を抜いてはならないと思ったのです。
■トランテアン ル ルージュにルミナスマットタイプが新登場
ガブリエル シャネルの信念を受け継ぎ、美のオブジェへと昇華させたトランテアン ル ルージュに、ルミナスマット仕上げの新12色が9月13日に店舗限定で登場。
時代を反映させるデザインとラグジュアリーであること
⎯⎯常に人々に美的な感動を与えるようなプロダクトデザインを生み出してきたシルヴィさんですが、改めて、シャネルというメゾンでプロダクトをデザインするとは、あなたにどんな意義をもたらしているのでしょうか。
シャネルという歴史と伝統を持つメゾンで何かを生み出すことは、常に昔と今を同時に見るようなものです。「シャネル N°5」を時代に合わせてアップデートしていくとき、もちろんこれまでのデザインを振り返りましたし、その上で未来に続く「シャネル N°5」のデザインを考えました。
現代はとても複雑で、直近ではコロナという未曾有の事態もあり、少なからず私たちの生活にも影響を与えました。そのほか、環境の課題など、持続可能な開発という点でまだまだ私たちがやらなければならないことはたくさんあります。こうした複雑な時代だからこそ、私はプロダクトを通じて自分自身も夢を見たいですし、人々にも喜びをお届けしたいと思うのです。私が新しいデザインに取り組む時、そこに意味があるかどうかが非常に重要。地球を汚さない、正しいオブジェであるかどうかということもです。自分に喜びをもたらせるということは、ラグジュアリーであり使い捨てではなく、長く身につけられて、環境にも配慮しているかといった点が大切なのです。そういうことを考えながら、日々パッケージデザインに臨んでいます。
⎯⎯メゾンのヘリテージと時代を同時に見つめることが大切なんですね。ひとつシルヴィさんに聞いてみたいことがあるのですが、この時代において、「ラグジュアリー」とはどういう意味だと思いますか?
私自身も使いますが、シャネルを語る時に「シンプリシティ」という言葉をよく耳にします。私たちシャネルはラグジュアリーブランドではありますが、その真髄にあるのがシンプリシティなのです。ガブリエル・シャネルつまりメゾンの哲学として、無駄なものを削ぎ落とし、削ぎ落としたものをもう一度つけ直すようなことはしません。持続可能な開発においても、一番シンプルな方法としては素材の使う量を減らすことだとも言えますよね。今私たちが生きている時代では、改めてこのシンプリシティを大切に、プレシャスで繊細なものをお届けしていきたいと思っています。
⎯⎯教えていただける範囲で、今進めているプロジェクトについて教えてもらえますか?
並行してたくさんのものを進めていますよ。ひとつ大きなものとしては、クリスマスのコレクションがあります。今年は「シャネル N°5」をフィーチャーしたデザインでお届けする予定です。まだ全貌は秘密ですが、もう少ししたらご覧いただけるかと思います。
⎯⎯最後に、シルヴィさんご自身の夢について教えてください。
日頃から思っていることは、幸せを感じていたいということ。自分がハッピーでなければ、情熱を持って良いものは作れないと思うのです。私のデザインで人の命を救うことはできないかもしれませんが、お客さまが夢を見てくださったり、喜びを感じていただけるものを作りたい。そういうものを生み出し続けることが私の喜びなのです。
(聞き手:福崎明子、文:平原麻菜実)
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