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ロンドンファッションウィークが大転換期 16年率いてきたキーパーソンが語る若手支援の成果

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ロンドンファッションウィークが大転換期 16年率いてきたキーパーソンが語る若手支援の成果

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 ロンドンファッションウィーク(LFW)が大きな転換期を迎えている。

 16年という長きにわたりLFWを主催する英国ファッション協議会(BFC)を率いてきたキャロライン・ラッシュ(Caroline Rush)CEOが2025年6月に退任することが決まった。2009年に同氏の指揮のもと、BFCは「バーバリー(BURBERRY)」をはじめとする英国ブランドのファッションウィーク復帰を実現したほか、「BFC/ヴォーグ・デザイナー・ファッション・ファンド」や「BFCファッション・アーツ財団」の設立により、若手デザイナーの支援体制を強化。また、英国王室との連携を通じて「エリザベス2世女王 英国デザイン賞」の創設にも尽力した。

キャロライン・ラッシュ 英国ファッション協議会 CEO

Image by: Hiroyuki Ozawa

 昨年、40周年という節目を迎えたLFWは、2024年春夏シーズンからフランスのビールメーカー「クローネンブルグ 1664 ブラン(Kronenbourg 1664 Blanc)」をメインスポンサーに迎え、新章を開いている。ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)後の厳しい経済環境や小売業界の変容もありながら、LFWは創造性と革新性を武器に、依然として存在感を示し続けている。

 退任を間近に控えたラッシュCEOに、これまでのLFWの歩みを振り返るとともに、ロンドンと世界のファッション業界における変化、そして今後期待するヴィジョンについて伺った。

2025-26年秋冬シーズンの振り返り、デザイナー支援のポップアップ施策も

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「バーバリー」2025年ウィンターコレクション

Image by: BURBERRY

⎯⎯2025-26年秋冬シーズンのLFWをどのように振り返りますか?また今季、印象に残ったブランドは?

 LFWは才能あふれるデザイナーたちの拠点であり、今シーズンもその魅力を再認識させられるものとなりました。若手デザイナーの支援プログラム「ニュージェン(NEWGEN)」では、「リューダー(LUEDER)」による昼間のレイヴや「カズナ アスカー(Kazna Asker)」のスーク(市場)を表現したプレゼンテーションは、ブランドの世界観に没入できるものでした。また「バーバリー」をはじめ、「アーデム(ERDEM)」「ロクサンダ(Roksanda)」「シモーン・ロシャ(Simone Rocha)」「リチャード クイン(RICHARD QUINN)」のショーも素晴らしかったです。そして「アシッシュ(ASHISH)」のファッションウィークへの復帰ショーを見ることができたのも感慨深いものでした。

「リューダー」2025-26年秋冬コレクション

Image by: LUEDER

⎯⎯今シーズン、LFWの参加ブランドを支援するためにロンドンのショッピング街であるリージェント・ストリートにポップアップストアをオープンしましたね。この取り組みによって得られた成果を教えてください。

 スポンサーである「クローネンブルグ 1664 ブラン」の支援により、「ロンドンファッションウィーク ショップ(London Fashion Week Shop)」をリージェントストリートにオープンしました。この取り組みは、厳しい状況にあるデザイナーたちに商業的な支援することを目的としていました。キュレーションは、(ロンドンの老舗セレクトショップであるブラウンズの元バイイングディレクターである)イーダ・ピーターソン(Ida Petersson)と、(同じくブラウンズや百貨店のセルフリッジズなどでバイヤー経験のある)ルイス・ブロイス(Lewis Bloyce)に依頼。「シックスティーン アーリントン(16Arlington)」「アルワリア(Ahluwalia)」「ビアンカ サンダース(BIANCA SAUNDERS)」「サウル ナッシュ(SAUL NASH)」といったLFWの主要ブランドのアーカイヴと現行のコレクションが厳選され、店頭に並びました。

ロンドンファッションウィーク ショップ

Image by: British Fashion Council

 ショップのオープニングセレモニーには、ロンドン市長のサディク・カーン(Sadiq Khan)が駆けつけてくれました。メディアや来場者からの反応も好評で、週末だけで約2500人が訪れました。

ロンドン市長のサディク・カーン(右)と話すデザイナーのニコラス・デイリー

Image by: British Fashion Council

英国王室も巻き込んだ、若手支援の成功事例

2024〜25年年度の「ニュージェン」支援を受ける20ブランドのデザイナーたち

Image by: British Fashion Council

⎯⎯LFWは若手デザイナーの発掘と育成においてどのような役割を果たしてきましたか?特に印象に残った成功事例を教えてください。

 数多くのデザイナーにキャリアの初期段階から支援できたことは、私にとって本当に光栄なことでした。「ニュージェン」プログラムでショー開催をサポートしてきた多くのデザイナーたちは、今では私の親しい友人となり、彼ら彼女たちの成長の軌跡を見届けられることは大きな誇りです。ロクサンダやシモーン・ロシャ、ビアンカ サンダースといったブランドは、今やロンドンファッション界における重要な存在となっています。

「シモーン・ロシャ」2025-26年秋冬コレクション

Image by: Simone Rocha

 また、今年設立20周年を迎えるアーデムも、最初は奨学生としてスタートし、「ニュージェン」と「BFC/ヴォーグ・デザイナー・ファッション・ファンド」の支援を受けながら、BFCと共に歩んできました。こうした才能あるデザイナーたち一人ひとりの成長を間近で見守り、比類なき創造性、卓越した職人技、そして逆境に立ち向かう姿を目の当たりにできることは、この仕事における特権です。

「アーデム」2025-26年秋冬コレクション

Image by: ERDEM

⎯⎯キャロラインさんは6月にBFCCEOを退任されますね。16年間の役職の中で最も記憶に残ったイベントは何でしたか?

 最も印象的な瞬間の一つは、2018年にエリザベス女王陛下がロンドンファッションウィークに出席し、リチャード・クインに第1回「エリザベス2世女王 英国デザイン賞」を授与したことです。女王陛下がショーやデザイナーショールームに実際にお越しになったことは、“目に見える形での支援”がいかに強力な影響力を持つかを明確に示しました。王室、著名人、または国際的なインフルエンサーからのたった一度の支持が、ブランドの進路を一夜にして変えることができるという瞬間を目の当たりにしました。

エリザベス2世女王から第1回「エリザベス2世女王 英国デザイン賞」を授与されるリチャード・クイン

Image by: British Fashion Council

ブレグジットよる免税廃止が英国ファッション産業の大きな打撃に

「ロクサンダ」2025-26年秋冬コレクション

Image by: ROKSANDA

⎯⎯2020年に起こったブレグジットはイギリスのファッション産業とLFWにどのような影響を与えましたか?

 ブレグジットによって観光客向けの免税制度の廃止、不確かな取引条件や、主要小売業者の閉店など、ファッション業界の市場環境は依然として厳しく、大きな課題を生んでいます。またサプライチェーン、労働力の確保、輸出入商品のコストに顕著な影響を与えており、以前から厳しい環境で運営していたブランドにさらなる圧力をかけています。私は政府に対し、デザイナーやブランドが成長の約束を果たすための資金調達へのアクセスを増やすよう働きかけたいと考えています。特に免税ショッピングの復活は業界に自信を与え、それがデザイナーコミュニティに良い影響を与えると信じています。

LFWの強みは柔軟性、独立系デザイナーをサポート

「ハリス リード」2025-26年秋冬コレクション

Image by: Harris Reed

⎯⎯パリ、ミラノ、ニューヨークなど、主要なファッションウィークと比べて、LFWの独自性はどこにありますか?

 ロンドンは、世界の4大ファッション都市の一つとして、創造性、才能、コミュニティ、そして文化的影響力において際立っています。LFWが大切にしているのは、デザイナーがブランドの認知度を高め、売上を確保し、業界全体を集結させて創造性とデザインを支援することです。LFWは、革新的な新進デザイナーと確立された才能を世の中に紹介し、ランウェイショーを通じてファッションの限界を広げるプラットフォームとしての役割を果たしています。ロンドンの活気に満ちたファッションシーンは、インディペンデントなデザイナーたちによって彩られ、ファッションとアートのトップクラスの芸術機関に支えられながら、グローバルなファッションのハブとしての地位を確立しています。

「ポーリーン デュジャンクール」2025-26年秋冬コレクション

Image by: PAULINE DUJANCOURT

⎯⎯2023年以降、ロンドンはメンズファッションウィークを中止し、地元のメンズブランドがLFW内でコレクションを発表することが難しくなっています。これからメンズブランドの成長をサポートするために何ができると思いますか?

 LFWはデザイナーと業界のニーズに応じて常に進化しています。現在は通常のLFWスケジュール内でメンズブランドが十分な存在感を発揮できるように支援を継続中。それには柔軟性が鍵となるため、ランウェイショー、プレゼンテーション、またはデジタル形式など、それぞれのブランドの状況やヴィジョンに合った発表方法の選択肢を提案しています。私たちBFCの役割は、メンズウェアブランドが成長し国際的な認知度を高められるよう、適切な発表の場、資金調達の機会、業界のつながりを提供することだと考えています。

「エス・エス・デイリー」2025-26年秋冬コレクション

Image by: S.S.DALEY

⎯⎯長年ロンドンでショーを開催している「トーガ(TOGA)」のように、日本からLFWへの参加を検討しているデザイナーがいます。海外ブランドのロンドンでのショー開催のメリットについて、どのように考えているのでしょうか?

 LFWはインディペンデントデザイナーにとって、ぴったりなプラットフォームと言えるでしょう。スケジュールの柔軟性と、世界中から集まるバイヤーやメディアの集客力など、グローバルステージで独自のアイデンティティを構築しようとするブランドにとって魅力的です。私たちBFCは常に、LFWがどのように新しいオーディエンスにリーチし、ビジネスを成長させるのを最もよくサポートできるかについて、デザイナーと常に対話をしています。

LFWで発表された「トーガ」2025-26年秋冬コレクション

Image by: TOGA(James Cochrane)

⎯⎯今後のLFWにどんなことを期待したいですか?

 LFWは常に進化し続けるプラットフォームです。将来を見据えると、デザイナーたちはクリエイティブ面でもビジネス面でも柔軟性を求められるため、今後もファッションウィークの形式は変化していくと考えています。私は、没入型の体験を提供するショーやプレゼンテーション、デジタル形式での発表など、新しい方法でコレクションを発表しようとするブランドを見てきました。テクノロジーの革新がこれらの変化を加速させるでしょう。BFCは今後も、デザイナーとの対話を絶え間なく続け、政府やビジネス、そしてパートナーと協力しながら、世界をリードするクリエイティブかつ商業的なプラットフォームであり続けることを期待したいです。

Image by: Hiroyuki Ozawa

キャロライン・ラッシュ英国ファッション協議会(BFC)CEO
ファッション・音楽・ライフスタイル分野で20年間のマーケティング・PR実務を経て、2009年に英国ファッション協議会のCEO就任。BFC/ヴォーグ・デザイナー・ファッション・ファンドの創設や、LFW本部のサマセット・ハウス移転を主導。2012年には英国初のメンズファッションウィーク「ロンドン・コレクション:メン」を設立。多様な才能発掘プログラムを立ち上げ、英国ファッション産業の国際的地位向上に貢献。イブニング・スタンダード紙「パワー1000リスト」や英ファッションメディア「ビジネス・オブ・ファッション」の「BoF500」などに選出。2025年6月に同職を退任予定。

ファッション リポーター

大杉真心

Mami Osugi

文化女子大学(現文化学園大学)とニューヨーク州立ファッション工科大学(FIT)でファッションデザインを学ぶ。「WWD JAPAN」で記者として、海外コレクション、デザイナーズブランド、バッグ&シューズの取材を担当する。2019年にフェムテック分野を開拓し、ブランドや起業家取材を行う。21年8月に独立し、ファッションとフェムテックを軸に執筆、編集、企画に携わる。22年4月から文化学園大学の非常勤講師を務める。

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