新入社員のためのビジネスファッション連載「同期と差がつく新社会人のビジネスファッション」。第4回のテーマは、「新入社員が履くべき革靴とは?」。普段スニーカーばかり履いている革靴の知識ゼロのインターンMが、"ちょうどいい"新入社員像に近づくためのビジネスシューズを探します。
第1回:リクルートスーツはNGか?
第2回:上司に好感が持たれるスーツの選び方
第3回:好感度の高いシャツ・ネクタイの選び方
第4回:新入社員が履くべき革靴とは?
第5回:新入社員が持つべき最初のバッグとは?
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今回は、「伊勢丹新宿店メンズ館」の紳士靴担当の販売員である小黒さんにお話を伺いました。
黒の革靴ならいいわけではない?
インターンM:好感度の高い新入社員が履くべき革靴を探しています。やはり黒が無難ですよね?
小黒:一般的なスーツを着用されるなら、色は黒がいいと思います。明るめの靴はビジネスカジュアルなどの場合はよいですが、新入社員が一足目として履くにはちょっとハードルが高いです。また、若い人は靴先のノーズが長く、細長いものを選びがちですが、ノーズは短めでつま先は丸みがあるものの方が印象は良いでしょう。ビジネススーツのパンツとのバランスを考えると、そちらの方が合わせやすく、落ち着いた雰囲気が出ます。
インターンM:なるほど、色だけではなく形も大事なんですね。
小黒:「好印象を持たれる」ということを重視するならば、先端に丸みのあるものの方が、知的な印象が出ると思います。また、アッパーのデザインは、ビジネスシューズで最もオーソドックスとされているストレートチップが良いですね。ビジネスだけでなく冠婚葬祭でも履けますので、新入社員の方は1足は持っておくとよいかと思います。その中でも、内羽根が1番スタンダードで好印象でしょう。外羽根はどちらかというとカジュアルな作りですから、ビジネスシーンだと内羽根のストレートチップが一番安心で、ハズレがありません。「よく分かってるな」と、上司の印象も良いと思いますよ。
※ストレートチップ:トゥ(つま先)に横一文字のラインが入ったデザインのシューズ
※内羽根:鳩目を乗せる革の部分が内側に隠れているもの
※アッパー:足の甲を覆う部分
新入社員は国産靴を選ぶべき?
インターンM:他にチェックすべきポイントはありますか?
小黒:靴の産地ですね。是非、国産を履いてください。外回りや取引先とよく食事に行く方は、靴を脱ぐ場面が結構あると思います。外見では靴が国産かインポートかはわからないですが、脱ぐとインソールに書いてあるブランド名で分かってしまいますから、そういったときに国産の靴を履いていると上司や取引先の方の印象が良いと思います。若い人にはイギリスやアメリカのブランドの人気が高いので気持ちも分かるのですが、ビジネスシーンでは真面目な印象を与えることを重視した方がいいでしょう。日本製の靴を履いていると、自分のお金や状況を考えて良いものを選んでいる印象が強くなりますから。あと上司よりいい靴を履かないようにしたほうが良いですね。そのなかでも自分のできる範囲で良いものを選ぶと、好感度が高いでしょう。
インターンM:脱ぐ場面のことは全く考えていませんでした。では実際にオススメの靴はありますか?
小黒:価格帯ごとに3種類ご紹介します。まず、もっともリーズナブルなのは、大塚製靴という老舗靴ブランドのものです。新入社員だと慌ただしく走り回ったりすることもあると思うので、靴底の返りが良く歩きやすいこちらのような革靴が良いと思います。修理を何度も繰り返して長く履くことは難しいかもしれませんが、このクオリティーで1万円台というのは新入社員にはありがたい価格だと思います。
インターンM:1万円台で購入できるのはありがたいですね。2足目はどのようなものですか?
小黒:2足目は、浅草靴誂というブランドのものです。つま先のシルエットは程よく丸く、落ち着いた印象を与えます。1足目との価格の違いは製法の差で、手縫いの工程を含むグッドイヤー製法で作られています。特徴としては、最初は履き心地が硬いですが、中に敷いてあるソールのコルクがだんだんと足の形に潰れてくるので、しばらく履くと自分の足の形に馴染んでいきます。そして、最大のメリットは、底材の交換が簡単にできること。長い目で見るとコストパフォーマンスに優れています。
シューズケアでコスパ向上を
インターンM:ちなみに、底材の交換にはどれくらいの費用がかかりますか?
小黒:靴の状態や修理する箇所にもよりますが、オールソール交換で1万2000円からです。かかとだけ、つま先だけといった細かい修理もできます。浅草靴誂の靴の場合、修理を繰り返ししっかりと他の靴とローテーションをして履けば5年ほどは履けると思います。靴の革の傷みが和らぐので、ローテーションで履くことをおすすめします。
インターンM:価格の高い靴を1足買うよりも、リーズナブルなものを何足か揃えるほうが良いですか?
小黒:そうですね。長い期間履き込んだ高級靴よりも、リーズナブルでもピカピカの靴の方が好印象だと思います。革靴は1日履いた後、湿気が逃げないうちに履くと革底の反りやアッパーのしわの癖が戻らなくなりますので、シューキーパーを入れて2〜3日置いて、形を整えて反りを修正したほうが良いです。丁寧にお手入れしておくことが重要です。
インターンM:価格に関わらず、自宅での手入れも大事なんですね。
小黒:3足目は今日ご紹介する中で最も価格の高いもので、三陽山長というブランドのものです。グッドイヤー製法で作られヒールカップが絞られているデザインで、かかとの収まりがよく履き心地に優れています。お手入れをして履き込むことが前提ですが、革も良いので新入社員が中堅になったときにいい味が出せると思います。
※グッドイヤー製法:中底と甲革、ウェルトの三つを縫いつけしたあと、ウェルトにアウトソールを縫いつける製法。
インターンM:3足ともマットな質感のものですが、マットなものがおすすめですか?
小黒:そうですね。ただ、マットな革でもツヤは磨きで出せる場合があり、パーティーなどにいく際はつま先をワックスで光らせて表情を変えることもできます。オーソドックスなビジネスシーンではマットな感じで履いていただき、パーティーなどの際は表面仕上げで磨いて、華やかにして履いてください。磨き方も含めてマナーとして捉えるといいですね。
インターンM:雨の日の対策はどうすればよいでしょうか?
小黒:今回ご紹介した3足はいずれもレザーソールで、水を吸ってしまうので雨には強くありません。日本は雨が多いので、外回りが多い方はゴム底のものを選んでおいたほうが良いかもしれません。ただ、ハーフラバーを底に貼ることで雨にも強い加工をすることができます。雨に強いだけでなく、革底本体のダメージを抑えることができて、今後の修理が安く済みます。張替えの価格も3000円程お安いので、新入社員の方にはおすすめです。アッパーの革は防水スプレーでしっかりケアしてください。
インターンM:その他、気をつけておいた方がいいことはありますか?
小黒:基本的なことですが、靴紐を解いて着脱してください。基本的にサイズ感の合った靴を買うと、どうしても紐を解かないと着脱できません。無理やり履くとかかとの芯材がつぶれて、靴の形が変わってしまいますので、しっかり紐を解いて履いてください。靴紐を解かない人は大きめの靴を選びがちで歩行しにくく、履き皺も深くなってしまうので印象が悪くなってしまいます。
インターンM:面倒くさいので紐を解かずに履いてました・・・大変勉強になりました。
押さえておきたい革靴選びのポイント
- つま先は短めで先端は丸みがあるものを選ぶべし
- 内羽根のストレートチップがおすすめ
- インポートではなく国産を
- リーズナブルなものを何足かそろえローテーションで履くべし
- TPOに合わせて靴磨き
- 外回りが多い人はゴム底に
次回は好感度の高い新入社員になるために押さえておきたい鞄選びのポイントを紹介します。
>>【3分で分かる靴磨き】世界一の職人が経営する靴磨き店が伝授
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