村井博之バロックジャパンリミテッド社長
Image by: バロックジャパンリミテッド
「マウジー(MOUSSY)」などを展開するバロックジャパンリミテッド(以下、バロック)の苦戦が続いている。4月14日に発表した2025年2月期(2024年3月~2025年2月)の連結決算では、連結売上高が前年同期比3.5%減の581億円、連結営業利益が同58.4%減の8.1億円となり、営業利益率は2022年2月期以来、3期連続で下落を続けている。人件費の高騰を含む物価高、中国消費の低迷などの強い逆風が吹く中で、今後どういった戦略を取るのか。村井博之社長に話を聞いた。
「バロックの悪いところが全て出尽くした一年」
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──2025年2月期で良かった点、悪かった点をお教えいただけますでしょうか?
良いところはあまりなく、国内事業、海外事業を問わずバロックの悪いところが全て出尽くした、という一年でした。
──その中でも、特に印象的だったのは?
これまで、バロック全体の業績が悪い年は決まって郊外ショッピングセンター(SC)のブランドが不振だという相関関係がありました。今期もやはり同様でしたので、SCブランドの立て直しを抜本的に行います。
──具体的にどういった施策をお考えでしょうか?
バロックはブランド価値の毀損を防ぐために、できる限りセールを行わず、プロパーで売り続けていました。ですが、現在の日本の経済状況で、特に地方のSCで他社さんがセールを頻繁にやられている中で、我々だけが定価販売を行うことに限界が来ているように感じています。ですので、新年度からは方針を大きく見直し、在庫については値下げを期末まで引っ張るのではなく、月ごとに売れてる商品、売れていない商品を選別して、後者については月内にそれほど高くないオフ率で消化して期末に大きな評価損が発生しないようにしたいと考えています。
──決算発表では、セレクトショップ「シェルター(SHEL’TTER)」の旗艦店「ザ・シェルター トーキョー(The SHEL'TTER TOKYO)東急プラザ表参道原宿店」の売上が、前年比25%増と好調なことに触れられていました。やはり、インバウンドの影響が大きいのでしょうか?
現在同店は、通常では3割、多いときは4割近くが海外からのお客様です。 バロックグループの旗艦店ということで、以前はほぼ100%自社商品を扱っていたのですが、最近は日本に限らず、韓国などを含めた他国の商品も取り扱いをはじめ、アジアのファッションや文化を伝える品揃えに変えたところ、海外からのお客様から評価をいただくようになりました。
トレンドの変化によりギャル向けブランドが業績好調
──コロナ禍前後から、古着を中心としたルーズシルエットでカジュアルなファッションがトレンドの中心でしたが、2024年頃から潮目が変わったような気がします。バロックが得意とするギャルファッションの人気が復活しているようですが、手応えはいかがでしょうか?
我々は渋谷109からビジネスを始め、館内の売上の2割強が弊社のブランドだった、ということもありました。そこからがギャルブランド不振の時代もありましたが、最近は渋谷109をはじめとした、いわゆるギャル系ファッションを扱うファッションビルの業績は好調です。
──具体的にどういったブランドが好調なのでしょうか?
例えば、ギャルを強く意識している「ラグア ジェム(LAGUA GEM)」は業績が非常に伸びています。アイテムでは、ルーズソックスや、丈の短いスカートが好調です。また、一時期はギャルファッションを牽引するブランドだった「リエンダ(rienda)」も、ギャル寄りのテイストに戻したところ、業績が向上しています。
──決算発表では、大人向けの新ブランドを開発するというお話もありましたが、そちらもギャルを意識したテイストなのでしょうか?
ギャルそのままのテイストというわけではなく、おしゃれにこだわる大人に向けたブランドを開発する予定です。若い頃にギャル全盛期を経験し、現在40〜50代の消費者は、ファッションに対して強いこだわりをお持ちです。ですが、近年はそういった消費者の方に向けたブランドが少なくなってしまいました。バロックでは、そういったマーケットに対して新たな提案をしていきたいと考えています。
──ギャルを卒業した人向けのブランドということですね。やはり、「ギャル」はバロックのなかで非常に重要なキーワードということですね。
そうですね。昨年、いくつかのメディアさんから「バロックは他社と同じことをやっても意味がない」と言われたことがありました。今期からはうちにしかできないことを、強く打ち出していこうと考えています。
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