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Bコープ認証を知ろう!取得した企業が得られる5つのメリット

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Bコープ認証を知ろう!取得した企業が得られる5つのメリット

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 社会や環境に対するパフォーマンスや透明性などが評価される「Bコープ(B Corporation™︎)」認証が注目を集めています。2006年に米国のNPO法人「B Lab」がスタートした制度で、企業内における仕組みや取り組み、商品などを評価する一般的な認証制度とは異なり、企業全体が評価対象という点が特徴です。ファッション業界でも「パタゴニア(Patagonia)」「オールバーズ(Allbirds)」「クロエ(Chloé)」「マルベリー(Mulberry)」「シーエフシーエル(CFCL)」などが取得を公表し、始動から約20年で全世界95ヶ国162以上の産業で8000以上の企業がB Corp認証を取得(2024年3月時点)しています。気になる認証の取得方法や金額、取得後のメリットについて日本の縫製工場で初めて認証を取得した岡山の「ナイスコーポレーション」井筒伊久磨 社長への取材とともに解説します。

株式会社ナイスコーポレーション

井筒伊久磨

Ikuma Izutsu

1979年生まれ。高校卒業後にカナダ・バンクーバーに留学し、現地のヴィンテージショップなどで経験を積み、2003年に帰国。ナイスコーポレーションに入社後、20年間あらゆる現場を担当し、2020年に代表取締役に就任。

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Bコープはどんな認証?

 ビジネスを通じて社会を変えるムーブメントとして2006年に米国のNPO法人「B Lab」が始動した国際認証です。社会的また環境的なパフォーマンスや透明性、説明責任などについてB Labが設定し、200を越える基準「Bインパクトアセスメント(B Impact Assessment、以下BIA)」をクリアすることで取得することができます。日本では、2024年3月にB Labの日本公式パートナー「B Market Builder Japan」が設立。日本語対応が可能な窓口のほか、Bコープの最新情報の発信、取得へのサポートを行っています。

Bコープの取得要件

 B Market Builder Japanが公表しているBコープの取得要件は以下の8点です。

  • 営利目的の組織であること
  • 競争のある市場で事業を展開していること
  • 12ヶ月以上の事業運営の実績があること
  • 会社の法人格を変更することが法的に許可されていること
  • BIAで最低80点以上のスコアを達成すること
  • Bコープの透明性要件に同意すること
    ※B LabホームページでのBIAの点数開示
  • B Corp Agreement(同意書)と、Declaration of Interdependence(相互依存宣言)に署名すること
  • 毎年認証料を支払うこと

BIAへの取り組み方

 BIAはBコープ取得のために必要な項目を満たしているかを確認できるツールで、公式サイトでアカウントを作成すると自社の社会的および環境的なパフォーマンスを評価・管理することができます。登録は無料で、「ガバナンス(企業統治)」「ワーカー(労働者、従業員)」「コミュニティ(地域社会)」「エンバイロメント(環境)」「カスタマー(顧客)」の5つの評価エリアが設けられ、企業や業種によって異なる平均200問以上の設問に回答することで自社のスコアを算出できます。業種や企業規模、取り組みの進度に関わらずにあらゆる事業が公平に審査されるように柔軟に標準化されており、Bコープ認証を取得するためにはこのスコアが最低80ポイント以上必要です。また、BIAでは計測した自社のパフォーマンスの結果を他者と比較したり、長期的なパフォーマンスの向上のために必要な情報も確認可能。BIAで80以上のスコアを出すことができたら、B Labへ結果を提出し認証取得のための申請が完了します。

 BIAの取得のためには専用のハンドブックを使用することが一般的で、日本では2022年6月に出版レーベル「バリューブックス・パブリッシング」から、「The B Corp Handbook, Second Edition: How You Can Use Business as a Force for Good」の日本語翻訳版で、B Labが公認した初の日本語版書籍が出版されました。

Bコープ取得までの流れ

  1. BIAの無料アカウントを作成
  2. サイト内の仮テストを実施
  3. 仮テストの結果次第で対策を講じて準備を整える
  4. BIAを実施
  5. BIAで80以上のスコアを獲得でき次第、B Labに結果を提出して認証を申請
  6. 申請を受けたB Labのスタッフから届いた複数の質問に回答し、審査面談の日程を調整
  7. 審査面談を実施(面談の前に答えた質問の中から6〜8個の質問が選択され、回答の内容を裏付ける資料のアップロードが求められる)
  8. 審査面談の内容をもとにBIAのスコアが更新される
  9. 審査面談後に調整したBIAのスコアが80点以上に達した場合、配点が高い項目の中からB Labが選んだ3つほどの項目に対してそれを裏付ける資料をアップロードする
  10. 審査担当員から最終認証を取得する
  11. 電子版のB Corp Agreement(同意書)と、Declaration of Interdependence(相互依存宣言)に署名する
  12. 認証料を支払い、取得が完了

公式ガイドブック「The B Corp Handbook, Second Edition: How You Can Use Business as a Force for Good」とBIAサポートポータルの内容を元に作成。

Bコープ認証の取得によって得られるメリットは?

 95ヶ国以上で8000社以上が登録するBコープ。認証の取得によって具体的にどのようなメリットが得られるのか、B Labの公式サイトやガイドブックからの抜粋に加え、日本の縫製工場で初めて認証を取得したナイスコーポレーションの代表取締役 井筒伊久磨氏へのインタビューから取得によって得られたメリットの回答を紹介します。

Nice Corporation

国産ジーンズ発祥の地、岡山県倉敷市児島で1990年11月に創業。国内外のメゾン、アパレルブランドが求めるデニムを形にしてきた縫製工場。自社を中心に専門性を有したプロフェッショナルな工場と連携し、企画から仕上げ、出荷までを総合的に管理する地域型ワンストップ生産を実現し、国内外のメゾンおよびアパレルブランドのデニムを製造してきた。

公式サイト

自社の現状を把握し、具体的な改善策を施せる

 BIAでは、「ガバナンス(企業統治)」「ワーカー(労働者、従業員)」「コミュニティ(地域社会)」「エンバイロメント(環境)」「カスタマー(顧客)」の5つの項目に対する自社のスコアを0から200のスコアで計測できます。スコアは低く出るように厳しく設計されているそうで、数回にわたりBIAを受けることで定量的にパフォーマンスを改善することが可能です。また、B Labにアカウント登録をすると、登録済みの同業他社のスコアと比較できるツールも利用できるため、自社の課題を明確化するのに役立てることができるでしょう。

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井筒さん

Bコープの取得にあたり、まずは専門家を1人雇って1週間に1度、丸1日使ってセッションをするというのを1年ほど続けました。また、その中で税理士、司法書士、行政書士、各士業さんとのセッションの機会を設けました。実際に話し合ってみると、Bコープ認証は意外に普通にやっていることが可視化されてそれがそのまま評価に当てはまったという感覚。ほとんど変えたことはありませんでしたが、ブラッシュアップをしていく過程で会社のルールを1つ1つ出したことによって見えてきたものはたくさんありました。それに伴って、就業規則や福利厚生、育休の取得、昇進、昇給などを従業員にわかりやすくするためのガイドブックとシートを作成することができました。

時価総額の向上を狙える

 自社の社会的・環境的信頼性を証明できるBコープ認証は、国際認証のため取得すると会社の規模に関わらずグローバル市場での共感を得やすくなることは想像に難くありません。B Lab Globalが発表した2023年の年次レポートでは、上場企業のうちBコープを取得している企業は65社で5年間で63社に増加。日本では、賞味期限切れが近い食品を仕入れてネット販売をすることで、食品ロスに取り組むクラダシが2023年6月に上場を果たしています。特に、世界の共通課題である環境問題への取り組みをしている企業であれば、事業拡大戦略における資金調達および時価総額の上昇に活用しやすいでしょう。また、近年のSDGsへの浸透からインパクト投資を呼び込む手段として取得する企業が増えるかもしれません。

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井筒さん

イタリアの展示会に参加した際、自社のブースにBコープ認証の看板を設置したところ、同じくBコープを取得している海外のラグジュアリーブランドの担当者が寄ってくれたことがありました。

採用にポジティブな影響が期待できる

 産業能率大学 総合研究所が新入社員研修の受講者244人を対象に行った「2022年度 新入社員の会社生活調査(第33回)」※1では、新入社員が働く上で求めるものとして「長期的な安定性」(72.1%)、「将来の成長性」(56.6%)、「社員への福利厚生の充実」(51.2%)がトップ3にランクインしています。就職先の企業に対して雇用条件の透明性を含めた“働きやすさ”が求められるのは明確ですが、良い人材の獲得には企業側もワークライフバランスを尊重した条件を整える必要に迫られています。Bコープ認証では、従業員への説明責任や透明性の高さを評価する「ワーカー」の項目に以下のような設問が含まれるため、就職希望者に手っ取り早く採用条件の精度の高さを示せるでしょう。

  • 従業員に対して有給の育児・介護休暇制度を設けている
  • 従業員(パート・アルバイト・派遣社員を含む)に該当地域での最低限の生活水準に必要な生活賃金を支払っている
  • 必要に応じて、パートタイム、フレックスタイム、または在宅勤務の選択肢を従業員に与えている
  • 定年退職後のプログラムを提供している
  • 財務に関する基礎的な情報を従業員と共有している
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井筒さん

これまでナイスコーポレーションの課題は人材不足でしたが、取得前に「日本仕事百貨」という求人サイトで「僕たちはBコープという認証の取得を目指しています」というコラム記事を掲載したら、若い世代からの反応がすごく良かったんです。大卒の20代前半の子が5〜6人くらい来てくれましたね。

消費者のブランドロイヤリティを獲得しやすくなる

 Bコープ認証取得にあたり、企業はあらゆる側面を第三者の基準で厳格に評価されるため、「社会と環境に配慮した企業」という信頼性や信用を築くのに役立てることができます。また、環境問題への感度が高い消費者が企業や製品のストーリーに共感しやすくなり、自社の製品を訴求しやすくなるというメリットも見込めます。

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井筒さん

Bコープの認知度が上がれば、縫製を請け負ったアパレル企業さんも「Bコープ認証取得の工場で作っています」と言えるので、うちの工場に依頼することで彼らにとってのステータスのようになれるといいなと思っています。

認知度が向上する

 Bコープ認証の日本国内での認知度は高くはありませんが、取得した企業はB Labの公式サイトにリストアップされたり、BIA実施用にアカウントを作成した法人に自社の情報が開示されたりするため国内外の認知度の向上が狙えます。

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井筒さん

ホームページに掲載できたり、会社のことをメディアで取り上げてもらったりしたことで社外の人に対して会社の価値観を共有できるようになりました。それによって社員にも会社が評価されているということを実感してもらえるようになったのは大きかったです。

※1 産業能率大学 総合研究所 “2022年度 新入社員の会社生活調査(第33回)”2022年7月8日公開(参照:2024年10月21日)

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