近年、ファッションシーンで注目を集める「アシックス(asics)」のスニーカー。1949年の創業以来、ランニングシューズをはじめ、バスケットボールシューズやサッカー用のスパイクなど、スポーツシューズを中心に開発を続けるアシックスですが、ファッション性の高い商品が増えたことで、都市部を中心に人気が高まっています。今回、FASHIONSNAPでは、アシックスのスニーカーの魅力を2回にわたって深掘り。第2回は、人気の背景にあるライフスタイルライン「アシックス スポーツスタイル」の中から、チェックするべき定番5品番を紹介!各モデルの特徴や魅力について、スニーカーセレクトショップ「アトモス(atmos)」でアシックスのバイヤーを務める宮﨑昴拓さんに解説してもらいました。
目次
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チェックするべき、アシックス スポーツスタイルのスニーカー5選
第1回でも解説した通り、アシックスでは、本格的なスポーツシューズが持つ機能性を取り入れたライフスタイル向けのライン「アシックス スポーツスタイル」から、さまざまなライフスタイルスニーカーが展開され、インラインからコラボレーションモデルまで、優れたデザイン性と履き心地が人気を集めています。今回は、そんなアシックス スポーツスタイルの中から、押さえておきたい人気の5足をピックアップ。30年以上の歴史を誇る「ゲルライトスリー(GEL-LYTE III)」や「ゲルカヤノ(GEL-KAYANO)」をはじめ、過去のアーカイヴをもとに製作された新モデル「GT-2160」、「ゲル エヌワイシー(GEL-NYC)」、「ゲル ソノマ フィフティーンフィフティー(GEL-SONOMA 15-50)」を紹介します。
GEL-LYTE III(ゲルライトスリー)
Image by: FASHIONSNAP
まず紹介するのが、アシックスのアイコンモデルとも言える「ゲルライトスリー(GEL-LYTE III)」。ランニングシューズをベースにし、1990年代のスニーカーブームで人気を博したモデルです。ゲルライトスリーの特徴は、シュータンが左右に分割された「スプリットタン」になっている点。通常のシュータンよりも甲部分のフィット感を高め、ずれにくくすることで、履き心地を向上しています。かかと部分には、アシックスのスニーカーの最大の特徴でもあるクッション材「ゲル」が組み込まれているので、衝撃緩衝性にも優れています。
宮﨑さん
ゲルライトスリーは、1990年にアシックスの三ツ井滋之さんによって開発されたモデルで、2020年に誕生30周年を迎えました。今でもなお、開発当時のスタイルを踏襲しながら日々新たなデザインが生まれていますが、90年代に人気を集めたことから、一定数の根強いファンが多いモデルでもあります。アシックスのスニーカーといえばゲルライトスリー、という人も多いのではないでしょうか?昔から変わらないスタイルで愛され続けているモデルです。
近年では、ショーン・ウェザースプーン(Sean Wotherspoon)や、「シーエフシーエル(CFCL)」などとのコラボレーションを通して、現代的なスタイルにアップデートされているのも特徴の一つ。通常モデルに加え、温室効果ガスの排出量を市販スニーカーの中で最低量となる1.95kgCO2eに抑えたモデル「ゲルライトスリーシーエム1.95(GEL-LYTE III CM 1.95)」なども展開されています。
GEL-SONOMA 15-50(ゲルソノマ フィフティーンフィフティー)
Image by: FASHIONSNAP
続いて紹介するのが、「ゲルソノマ フィフティーン フィフティー(GEL-SONOMA 15-50)」。ゲルソノマ フィフティーンフィフティーは、2014年に発売されたトレイルランニングシューズ「ゲルソノマ(GEL-SONOMA)」のソールと、クロスカントリー用のスパイクとして開発された「フィフティーンフィフティー(15-50)」のアッパーを融合したシューズで、2021年に発売されました。デザインを細かく見てみると、ゴツゴツとしたアウトソールに立体感のあるメキシコライン(サイド部分のロゴ)、シューレースにはロープを採用するなど、アウトドア要素満載の一足です。
宮﨑さん
ゲルソノマは、アウトドアのディテールが詰め込まれていますが、実は女性からの支持も熱いモデル。アウトドアスタイルはもちろん、テック系のファッションスタイルなど、タウンユースにも使えるシューズです。
GEL-KAYANO(ゲルカヤノ)
Image by: FASHIONSNAP
続いて紹介するのが、Y2Kトレンドとともにファッションシーンで注目を集めている「ゲルカヤノ(GEL-KAYANO)」。ゲルライトスリー同様、歴史の深いモデルで、ランニングだけではなく、横の動きにも対応できるトレーニングシューズとして開発された1993年発売の1代目「ゲルカヤノ トレーナー(GEL-KAYANO TRAINER)」から、毎年形を変えながらリリースされていて、現在は「ゲルカヤノ 30(GEL-KAYANO 30)」まで発売されています。ゲルカヤノという名前は、開発者の榧野(かやの)俊一さんの名前から命名されています。ゲルカヤノの特徴は、そのデザイン性。デザインを手がけた榧野さん曰く、通常のランニングシューズとは異なり、ファッション性と機能性を兼ね備えたモデルとして開発されたんだそう。
宮﨑さん
ゲルカヤノは、現在30代目まで出ていますが、ファッションシーンで特に人気を集めているのが、「ゲルカヤノ 14」。2008年に発売されたモデルですが、近年はこの14のデザインをベースにしたコラボモデルが続々発売されており、注目が高まっています。2023年には「GQ」のベストスニーカーにも選出された人気モデルですが、実は開発者の榧野さんはデザインに携わっていないんです。13までは担当していたのに、なぜか14からはゲルカヤノのプロジェクトから外れてしまったらしく...(笑)。名付け親が手掛けていない希少なモデルが、10年以上の時を経て人気が再燃しているという裏話があります。
「ゲルカヤノは、クワガタから着想を得てデザインされているんだそうです。開発者の榧野さんがデザインチームから外れた後も、初代から続くデザインコンセプトが受け継がれているのを感じることができます」(宮崎さん)
Image by: FASHIONSNAP
ゲルカヤノが他のモデルと明確に異なる点として、最新のゲルカヤノ 30と過去の復刻モデルとして人気を集めているゲルカヤノ 14では、デザインやターゲット、購買客層が全く異なるという点。アシックスの商品開発の背景の中で、時代とともに徐々に本格的なランニングシューズとして進化を遂げてきたゲルカヤノですが、今、ライフスタイルシューズとして14がリバイバルしたことから、スポーツ目的ではなく、街履き用として購入する層が増えているんだとか。
GEL-NYC(ゲル エヌワイシー)
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続いて紹介するのが、「ゲルエヌワイシー(GEL-NYC)」。名前から、ニューヨークと関係があるモデルと予想した人は正解です。同モデルは、ストリートブランド「アウェイク ニューヨーク(Awake NY)」を手掛けるデザイナーのアンジェロ・バクとアシックスがタッグを組んで生まれたモデルなので、「ニューヨークシティ(New York city)」の頭文字をとって名付けられています。「当初は、アウェイクとのコラボモデルのみの展開でしたが、その後アシックスのインラインでも登場し、毎シーズン配色や素材を変えながら販売されています」(宮﨑さん)。
ゲルエヌワイシーは、ゲルソノマ同様、さまざまなモデルや過去のアーカイヴを融合して製作されています。アンジェロ・バクの「世界中の若者がどのように過去のアシックスデザインのコラボレーションシューズを履きこなしているのか」という考えのもと、アッパーは、2000年代初頭に登場した「ゲルニンバス 3(GEL-NIMBUS 3)」と、2021年に発売された「ゲルエムシー プラス(GEL-MC PLUS)」を組み合わせて、ソールには、ツーリングに特化したモデル「ゲルキュムラス(GEL-CUMULUS)16」の機能を搭載し、衝撃緩衝性を高めています。宮﨑さんは「過去のアーカイヴや現行モデルなど、いろいろな要素が詰め込まれているのに統一が取れたバランスの良いデザインで、現代風にアップデートされているのが魅力」と話します。
宮﨑さん
ちなみに、僕も今日はゲルエヌワイシーのインラインのモデルを履いています。比較的新しいモデルなので、業界での認知は高まってきていますが、今のところは知る人ぞ知るモデル、という感覚です。スニーカー好きには刺さるデザインだと思うので、これからどんどん人気が加速するのではないかと睨んでいます。
GT-2160
Image by: FASHIONSNAP
最後に紹介するのが、「GT-2160」。GT-2160は、1993年に発売されたランニングシューズ「GT-2000」をベースに、2023年に開発された新モデルで、現在ファッションシーンで注目を集めています。ゲルカヤノやゲルエヌワイシーと雰囲気が似ていますが、GT-2160ならではの特徴として、トゥ部分からソール、ヒール部分まで、1本のラインがあしらわれてます。また、他のモデルと比較してシルエットに丸みがあり、足幅が狭いのも特徴の一つ。老若男女、ファッションスタイルを問わずに着用できるのが魅力なんだとか。
宮﨑さん
GT-2160がファッションシーンで人気を集めたきっかけが、2023年6月にパリで開かれたポップアップ。ポップアップでは、デンマークの「セシリー バンセン(Cecilie Bahnsen)」やカナダのスケートボードブランド「ダイム(Dime)」などとのコラボレーションモデルとともに披露され、一躍注目を集めました。
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