【全網羅】「アップルウォッチ エルメス」2024年モデルのラインナップを解説
「Apple Watch Hermès」の新作(手前の2モデル)
Image by: Nobuyuki Hayashi
「Apple Watch Hermès」の新作(手前の2モデル)
Image by: Nobuyuki Hayashi
【全網羅】「アップルウォッチ エルメス」2024年モデルのラインナップを解説
「Apple Watch Hermès」の新作(手前の2モデル)
Image by: Nobuyuki Hayashi
アップルの新製品として今年も登場した「アップルウォッチ エルメス(Apple Watch Hermès)」。今回は新型モデルが登場するなど、トピックも目白押しだ。現地の発表会に参加した林信行の視点で、これまでのアップルとエルメスの歩みから最新モデルまでを網羅し、両者のコラボレーションの全容をお届けする。
目次
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はじめに知っておきたい、アップルとエルメスの歩み
Apple Watchは2015年4月に発売開始で今年で10周年。最初はアップル社自ら宝飾品のような高級な素材を使った「EDITION」という高級モデルを作って世界的セレブへのプレースメントを行っていたが、半年後の9月にはそこに加わるようにしてエルメスとナイキの2社とのコラボモデルを発表。中でもエルメスとのコラボは重要で、当時のアップル社のチーフデザインオフィサー、ジョナサン・アイブが「(アップルとエルメスは)作っている製品こそかなり違うが、素晴らしいデザインをお互いに認め合っている」とコメントを出している。
最初の「Apple Watch Hermès」は最もベーシックな「シンプルトゥール」、手首を二重に包み込むレザーベルトの「ドゥブルトゥール」、そしてベルトが2本重なった「カフ」(※現在は販売休止)という3タイプのバンドでスタート。カジュアルに身につけられるばかりか、その日の気分でストラップを変えられ、エルメスの時計として特に日本では高い支持を得た。ストラップ単体での販売も高い人気を誇っている。
その後、毎秋アップルが新しいApple Watchを発表する度に、Apple Watch Hermèsも更新。現在ではエルメス直営店でしか買えないモデルと、アップル直営店でも購入ができるモデルとの2種類に分かれた展開が始まっている。
今シーズンのトピック
1:ウォーターアクティビティや船の航海をイメージした「Apple Watch Hermès Ultra 2」が新登場
今シーズンのApple Watch Hermèsからは、Apple Watch series 10をベースにしたモデルに加えて、究極のスポーツウォッチApple Watch Ultra 2をベースにした「Apple Watch Hermès Ultra 2」も新たに発表された。
「Apple Watch Ultra 2」といえば、軽くて頑丈で肌にも優しいチタニウムの本体が特徴で、最も精度の高いGPS、太陽光の下でも見やすい最も明るいディスプレイ、通常使用時で最大36時間、低電力モードで最大72時間のバッテリー駆動時間といった機能を備え、アスリートや冒険家の理想のパートナーとして作られている。「Apple Watch Hermès Ultra 2」は、この究極のタイムピースを、セーリングや高速ウォータースポーツ、スキューバダイビングといったウォーターアクティビティや船の航海用のパートナーとして再解釈した。
本体ケースは素材本来の色が楽しめるナチュラルチタニウムを採用。「Apple Watch Hermès Ultra 2」もメインモデルと同様に、波を連想させるパターンとブルー・ニュイ(暗いネイビーカラー)の色が印象的な新作ストラップ「アンメール」が付属する。耐久性と快適性を両立した高密度な質感のニット製で幅広のチタニウムバックルが、ウォーターアクティビティを楽しんでいる時でも、しっかりと本体を固定してくれる。
エルメス初のデジタル文字盤「Maritime」
Image by: Apple
同製品のために新しい文字盤も作られた。エルメスとしては初めてのデジタル文字盤「Maritime」だ。エルメス伝統のケープコッド書体による視認性の高い数字を大々的にフィーチャーした文字盤で、それを囲むベゼルが秒を刻む。Apple Watch Ultraの特徴であるアクションボタンを押すと、文字盤がレガッタ(ボートレース)にインスピレーションを得た特別なカウントダウンタイマーが起動する。
2:革ストラップ採用の23モデルはエルメス店舗限定で販売
標準のApple Watch「Apple Watch Series 10」をベースにしたモデル「Apple Watch Hermès Series 10」も登場。Apple Watch Hermèsとしては初となるフルメタルバンド「Grand H(グランアッシュ)」に加え、「Kilim(キリム)」、「Torsade(トルサド)」、「Twill Jump Attelage(ツイルジャンプアトラージュ)」、「HAPI(アピ)」と豊富なストラップのモデルが用意されている。
アップルは大きな生産力と販売力を持つだけに、自社のビジネスが環境に与える影響にも慎重になっており、昨年から革製品などの取り扱いは取りやめ、環境に負荷を与えず生産量を絞って販売できるエルメスのルートでのみ販売を続けてもらうように方向転換を図った。このためアップル社の流通チャンネルからは革バンドのApple Watch Hermèsが無くなってしまったが、エルメスの店舗や公式サイトでは引き続き販売が行われている。
エルメス店舗で販売のストラップのデザインを解説
エルメスモデルのデザインは、以下の種類に分かれる。これらの特徴と色の組み合わせで、さまざまなモデルが登場している。
ストラップの形状:2タイプ
- 標準的な「シンプルトゥール」
- 手首を二重に包み込む「ドゥブルトゥール」
ストラップを留める金具の形状:3タイプ
- 標準的なもの
- 金具が「H」の形を模した「Hapi(アピ)」
- ワンタッチで留められストラップが痛みにくい「Deployante Buckle(ディプロイアントバックル)」
本体へのストラップの付け方:2種類
- 本体ケースから直接伸びる標準的なもの
- 乗馬用のハーネスからの着想でアタッチメントの隙間が広く開いたシルエットが特徴の「Attelage(アトラージュ)」
レザーストラップ計23種類を解説
今回レザーストラップは合計23種類用意されている。
※下記はいずれも税込価格。
※ラインナップは9月下旬時点のもの。現在は既に品切れになっている可能性あり。
Apple Watch Hermès シンプルトゥール(8モデル)
黒
Image by: HERMÈS
シンプルトゥールのストラップと標準のバックルを組み合わせたデザイン。
- サイズ: 42mm、46mm
- 色:黒、ベトン、エトゥープ、ゴールド
- 価格:42mm 20万1800円、46mm 20万9800円
Apple Watch Hermès ドゥブルトゥール «アピ»(4モデル)
ゴールド
Image by: HERMÈS
ドゥブルトゥールのストラップに「アピ」のバックルを組み合わせたデザイン。
- サイズ:42mm、46mm(ゴールドのみ)
- 色:ゴールド、オランジュ・フィールド、ブルー・ドゥ・フランス
- 価格:42mm 23万9800円、46mm 24万7800円
Apple Watch Hermès シンプルトゥール ディプロイアントバックル(1モデル)
フォーブ
Image by: HERMÈS
シンプルトゥールのストラップに、ディプロイアントバックルを組み合わせたデザイン。
- サイズ:46mmのみ
- 色:フォーブ
- 価格:24万6800円
Apple Watch Hermès シンプルトゥール «アトラージュ»(3モデル)
シンプルトゥールのストラップに標準のバックルを合わせ、「アトラージュ」のアタッチメントで仕上げたデザイン。
- サイズ:42mm のみ
- 色:エトゥープ、ルージュ・グルナ、ゴールド
- 価格:20万1800円
Apple Watch Hermès ドゥブルトゥール «アトラージュ»(3モデル)
エトゥープ
Image by: HERMÈS
ドゥブルトゥールのストラップに標準のバックルを合わせ、「アトラージュ」のアタッチメントで仕上げたデザイン。
- サイズ:42mmのみ
- 色:エトゥープ、ルージュ・グルナ、ゴールド
- 価格:22万6800円
Apple Watch Hermès ドゥブルトゥール «アピ/アトラージュ»(4モデル)
ブルー・ドゥ・フランス
Image by: HERMÈS
ドゥブルトゥールのストラップに「アピ」のバックルを組み合わせ、「アトラージュ」のアタッチメントで仕上げたデザイン。
- サイズ:42mmのみ
- 色:オランジュ・フィールド、ブルー・ドゥ・フランス、ヴェール・モワイヤン、ゴールド
- 価格:23万9800円
これら合計23モデルの革のストラップを採用した「Apple Watch Hermès Series 10」は、エルメスの店舗や公式サイトで販売されている。
3:アップルの販売ルートおよびエルメス店舗・公式サイトでは、初のフルメタルバンド「Grand H」など5種類のバンドを用意
続いて、アップル直営店やアップル社公式サイトでも展開されている「Apple Watch Hermès Series 10」を見てみよう。
Grand H(グランアッシュ)
まず紹介したいのは「Apple Watch Hermès」では初のフルメタルバンド「Grand H(グランアッシュ)」だ。42mm・46mm両ケース用がある。伝統的な時計作りを現代のスタイルで再解釈し、ストラップの両端にはアイコニックな「H」のモチーフがあしらわれている。調整できる2つのリンクはバタフライクラスプでしっかり留められている。
- サイズ:42mm、46mm
- 色:サティネ
- 価格:42mm 30万1800円、46mm 30万9800円(※まもなく発売)
Kilim(キリム)
オレンジ
Image by: HERMÈS
「キリム」は耐水性の高いソフトラバーと簡単に取り外せるディプロイアントバックルを組み合わせてつくられた冒険的なストラップだ。幾何学的に連なる「H」のモチーフが特徴。ベトン、黒、オレンジ、ブルー・ドゥ・フランス、ヴェール・モワイヤンの5色が用意された。
- サイズ:42mm、46mm
- 色:42mm、46mm ベトン、黒、オレンジ
46mm ブルー・ドゥ・フランス、ヴェール・モワイヤン - 価格:42mm 19万6800円、46mm 20万4800円
Torsade(トルサード)
シンプルトゥールのネイビー
Image by: HERMÈS
「トルサード」は連続的に編み上げたニットで作られた船の鎖をモチーフにしたストラップ。あざやかで深みのあるカラーが魅力で、軽さと、着け心地の良さが特徴だ。46mmケース用のシンプルトゥールと、42mm用の手首を二重に包み込むドゥブルトゥールの2つの形状が揃い、シンプルトゥールはネイビーとルージュ・グルナの2色、ドゥブルトゥールはヴェール・モワイヤンとルージュ・グルナの2色を展開している。
- サイズ:42mm(ドゥブルトゥール)、46mm(シンプルトゥール)
- 色:シンプルトゥール2色(ネイビー、ルージュ・グルナ)、ドゥブルトゥール2色(ヴェール・モワイヤン、ルージュ・グルナ)
- 価格:シンプルトゥール 20万4800円、ドゥブルトゥール 21万2800円
Twill Jump Attelage(ツイルジャンプアトラージュ)
黒/ゴールド
Image by: HERMÈS
42mmモデルでシンプルトゥールのストラップが欲しい人には、「ツイルジャンプアトラージュ」が用意されている。伝統のデザインを新しいテキスタイルで生まれ変わらせた最も繊細で優美なフォルムを持つストラップだ。エルメスでおなじみのカラーで彩色したエッジがアクセントで、エレガントな細身のストラップにコントラストを効かせたカラフルなボーダーが目を引く。黒/ゴールドとルージュ・グルナ / ヴァーミリオンの2タイプを用意し、42mmケースのみでの展開となっている。
- サイズ:42mmのみ
- 色:黒/ゴールド、ルージュ・グルナ/ ヴァーミリオン
- 価格:19万6800円
アップル社が革製品の取り扱いを廃止した理由
最後にアップル社が直接革製品を扱わなくなった背景を軽く説明したい。
アップル社は環境に配慮した会社で2030年までにすべての製品において、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを達成することを宣言している。Apple Watchはその象徴的な製品で、アップル社純正モデルは再生アルミニウムを始めとする再生素材を用いて製造している。アップル社やアップルのサプライヤー企業が自ら発電した電力を使うか、あるいは使った分の電力をアップル社が発電した余剰電力でオフセット(相殺)する形で製造している。
Apple Watchは年間で数千万本販売される人気製品で、この規模のビジネスで革製品を扱うことは環境負荷を考えても良くないという判断で、2023年から最も多く製品が売れるアップル社の流通チャンネルでは革製品の取り扱いをやめている。ただし、数の限られた限定商品の扱いに慣れたエルメス社の流通チャンネルでの販売はエルメス社の判断ということで、革のストラップはエルメス社流通チャネルでは引き続き販売されることになった。
MEMO:今シーズンのApple Watch、ここをチェック
Apple Watchには、iPhoneと連携した通知機能や通話機能、スポーツやヨガなどのアクティビティを豊かにする機能、心電図や血中酸素濃度を測る機能、周期記録や睡眠記録で健康管理する機能や心臓病などの疾患を発見する機能、交通事故や転倒時、遭難時に助けを呼ぶ機能などが備わっており、最新のSeries 10からは内臓のスピーカーを使って音楽やオーディオブックを楽しむ機能や睡眠時無呼吸症候群の兆候を発見する機能なども追加されている。
Nobuyuki Hayashi
1990年からデジタル分野の最先端や最新イノベーションを生み出したきた主要人物の取材を続けているジャーナリスト/コンサルタント。テクノロジーは必ずしも人を幸せにしないと考えを改めてからは、良い未来を生み出すデザインやAI時代を生きるヒントをくれるアート作品、22世紀まで残したい伝統なども数多く取材している。リボルバー社社外取締役。金沢美術工芸大学名誉客員教授。Nobi(ノビ)の愛称でも親しまれている。
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