―ヴィジュアルが重要?
私にとって、ヴィジュアルが最も重要。学生の時から服を作って、撮影して、ヴィジュアルに収めて、ポートフォリオをつくるという作業が一番楽しかったし、今もそれは変わっていません。
―ヴィジュアルを造り上げる上で、特定のカメラマンはいますか?
写真を撮ってくれているのは夫ですが、もともと私自身、写真好きで。彼以外にも、ヘアメイクやスタイリストなど、昔から付き合いのある方と一緒にチームとして取り組んでいます。

―シーズンによって雰囲気を変えるデザイナーも多いですが、チームを変えないのは何か理由があるのでしょうか?
共有しているものが多いので、自分の表現したいものをどう撮影したらいいか、感覚的なものを言葉にしなくても理解してくれるというのは大きいですね。あと、「アカネウツノミヤ」のコレクションはシーズンによってイメージが変わるので、ヴィジュアル制作のチームまで変えてしまうと本当に違うものになってしまうと思っています。
―シーズンのテーマやインスピレーションなどを設けていないですよね。
テーマを決めてものづくりをすることが、学生の頃から苦手。「ハマらないからやめよう」とか、閉塞感が生まれてしまって、クリエイションの幅を広げられないことがストレスになってしまうんです。自分の名前を付けたブランドだから、テーマに縛られることなく、様々な要素を取り入れて純粋にコレクションを作ってもいいんじゃないかと思っています。決めないで作る方が自分に向いているし、後はヴィジュアルで表現すればいい。コレクションの世界観をヴィジュアルで表現できているのであれば、それを無理矢理言葉にはめる必要はないと考えています。
「私のデザインだとわかるようなものは作らない」
―スタートして6年、ビジネスとしては好調?
ファーストシーズンに伊勢丹が買ってくれて、2シーズン目からトゥモローランドさんが買ってくれました。そこからずっと継続してもらっていて、取引先がなくなるということがあまりなく、最近ではロンハーマンでも取り扱いもスタートしました。
―ニットからスタートしましたが、今はスカートも人気が高いですよね。
一番得意なのはニットなので、「アカネウツノミヤ」からニットがなくなる事はないけれど、シーズンによってはニットだけで構成するのは難しいし、ビジネスを考えるとニット以外も必要。最近はスカートが動いていて、自分もスカートを作るのは好き。布帛の勉強をしていた訳ではないこともあってか、アプローチが違うみたいで、工場の方に無理矢理お願いして作ってもらう事も多いですね。それをお面白がってくれている人もいるので、有り難く思っています。

2016年春夏コレクションのルックブックより
―同世代のブランドは意識しますか?
テイストも違うし、取引先も違うので意識することは少ないけれど、この世代は洋服が売れる時代にスタートしているわけではないので、粘り強そうな気がします。一世代前は作れば売れていたとよく聞くけれど、作っただけじゃ売れない時代にスタートしてるので、必然的にみんな考えることは多くなるだろうなと思います。
―「アカネウツノミヤ」の何が女性を引きつけるのだと思いますか?
緩さと女性らしさですかね。私自身は女らしい服を着ないから、自分のパーソナリティーとはギャップがありますけど。
―ブランドらしさは確立されていると思いますが、その中でも「アカネウツノミヤ」のシグネチャーとなるアイテムはありますか?
ベーシックなニットやスカートなど、ブランドの定番はあります。ただ、シーズンの顔になるようなアイテムを考えても、それを見たら私のデザインだとわかるような主張の強い服は作りません。シーズンごとのバランス感を変えるのが「アカネウツノミヤ」らしさでもあるし、私自身がそれを面白いと考えているからかな。
―今後の展望は?
みんなに海外を勧められるんですが、ビジネスを大きくしたいからと言うよりは元々デザイナーを志したのが海外だったので、海外でどういう風に認知されるかに純粋に興味があります。10年続けば良いなと思ってやってきたけれど、あっという間6年が過ぎたので、このペースだと10年は大丈夫。企業ブランドではないから、時代に合ってないと辞めて違うブランドを始める訳にはいかない。このまま長く続けても古くならないブランドになれればいいな。
デザイナー蓮井 茜

1982年、東京出身。Central Saint Martins College of Art and Design BA テキスタイル科を卒業。 同学校のMAファッションニット科に1年在学。 帰国後2年間アパレルブランドで就職後、2009年にニットを主体とした自身のブランド「AKANE UTSUNOMIYA」を立ち上げる。 現在、東京を拠点とし、2010 AWコレクションより展示会形式での発表を行う。
◇ AKANEURSUNOMIYA 2016年春夏コレクション
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