コレクションの招待状といえばファッションショーへと案内するものですが、デジタル発表が多い今シーズンは、一風変わったものが多くなっています。じっくり見ると新作のヒントになっていたり、実際に触れて体感できたり。編集部に届いた招待状の中から、ユニークで趣向を凝らしたデザインを厳選して紹介します。
―ミラノ―
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TOD'S:ワインと共に
トッズから届いたのは、イニシャル入りのレザーケースと案内状、そしてワイン。今シーズンは映像でのコレクション発表のため、「ワインと共にお楽しみください」という嬉しいギフトでした。しかも、トッズ・グループを率いるデッラ・ヴァッレ家の特別なワインだそうです。デジタルの醍醐味は、屋外でもベッドルームでも回線さえあれば視聴できること。ミラノの由緒ある邸宅で撮影されたというコレクション映像を、くつろぎながら堪能することができました。
MM6 Maison Margiela:缶の中身は...?
白い箱の中にはアルミ缶が1つ。振ってみるとカラカラ...と乾いた音がします。いざ開けてみると、中身は紐...?添えられていたポスターにヒントがありました。1から29まで記されているティップスの5番目を見ると「缶を持っている人をもう一人見つけて、紐をつないで会話してみましょう」とのこと。ナルホド、糸電話!ソーシャルディスタンスを保ちながらコミュニケーションできそうです。その他にも缶のユニークな使い方が書かれていたり、身近なもので楽しむヒントが詰まっていました。
―パリ―
ANREALAGE:箱に着せるミニチュアドレス
正四面体という珍しい形の白い段ボール箱が届きました。中に入っていたのは、小さな白い三角形の服。箱にすっぽりと着せればテントのようです。これはコレクションのティザー映像で話題になった平手友梨奈さんのドレスと同じデザイン。ディテールや素材まで再現されたミニチュア版です。"家のような服。服のような家。"というコンセプト「HOME」を一足先に体験することができる招待状でした。
MARINE SERRE:三日月とQRコード
ショー会場に集結する三日月族がパリコレの風物詩のひとつだったマリーン・セルですが、今回は映像での発表です。招待状の代わりに届いたのはTシャツ。フロントにはおなじみの三日月をアレンジしたアートワーク、そしてバックにはコレクション映像を見ることができるQRコードがプリントされています。それからシールと、タトゥシールも入っていました。マリーン・セルの手にかかれば、QRコードもどこか異世界へと通じる暗号のようです。
JW ANDERSON:箱入りショー
ジョナサン・アンダーソンが提案する新しいショーの形「show in a box」。文庫本のような包装紙に包まれていたのは、ボタニカル柄の表紙に真鍮のコインがはめ込まれた分厚いバインダーです。表紙裏に書かれた指示通りにコインを取り外し、コインの側面を使ってネジを外すと、ページがバラバラに分解されて中身を確認することができます。様々な色紙の間に、コレクションにまつわる資料の数々。ルック画像のカード、生地スワッチ、そして美しい自然を写した写真など。実際に触れたり飾ったり、"箱入りショー"を自由に楽しむことができます。
LOEWE:壁でショーを
同じくジョナサン・アンダーソンが手掛ける「ロエベ」から届いたのは、持ち運ぶのに一苦労するほど大きな箱。前回7月のメンズコレクションで送られてきたキット「Show in the Box」に続き、今回は「Show on the wall」と名付けられています。箱を開くと、思わず「おお〜」と声が漏れました。収められていたのは、壁紙、ハサミ、刷毛、のり、キャンバスバッグ、それから楽譜など。16枚の巨大ポスターに写るモデルは等身大です。つまり、自由に切ったり貼ったり、壁でコレクションを楽しみましょう!という提案でした。封筒に入っていたジョナサンからのメッセージもグッときます。
beautiful people:癒しのビーズ
メッシュ素材の中にカラフルな発泡ビーズが詰められた、細長い物体が到着。おもむろに手を入れてみると、気持ちいい...。これはまさに、あの"人をダメにするソファ"のリラックス感!アームクッションとしてデスクでのお昼寝にちょうど良さそうです。ちなみにこのビーズは、今シーズンの鍵となる重要な存在。今回はデジタルの発表だったので、実際に手で触って質感を体験できるように、というユニークな試みです。ビーズがどのような役割を果たしているかは、映像でチェック。
ROGER VIVIER:美味しいシネマ
パリで体験する「ロジェ・ヴィヴィエ」のプレゼンテーションはいつも凝っていてユニークなのですが、今シーズンはヴァーチャルに発表の場を移すとのこと。届いた真紅の箱には「HOTEL VIVIER CINEMATHEQUE」の文字。コンセプトは映画です。箱の中に入っていたのは、映画ジャンルをイメージさせるパッケージのチョコレート。封筒の中には映画のチケットが入っていました。いざ、ヴィヴィエのシネマテークへ。
HERMÈS:本と花と
素敵なブルーベースのフラワーアレンジメントと共に、「エルメス」から届いたのはスクラップブック。アーティスティック・ディレクターのナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキーが約6ヶ月をかけて親しい12人のアーティストたちと制作した作品だそうです。上質なコレクションの背景にある、豊かなインスピレーションに触れることができました。
KENZO:虎と蜂の印のハチミツ
届いたタブロイドの表紙には、モスキートヘッドネットを被った男性と、蜂のイラストが重なったKENZOロゴ。中を開くと様々なアーカイブ写真が掲載されていて、創始者の高田賢三氏が手掛けていた1984年春夏のヴィジュアルも見つけました。発表された新作を見ると、これらがインスピレーションになっていたのがわかります。添えられていたハチミツは、パリのモンマルトルにあるサクレ・クール寺院の周辺に咲くライムの花の蜜とのこと。タイトルは「Bee a Tiger」。
LOUIS VUITTON:特別なヴァーチャルシート
ルイ・ヴィトンのウィメンズコレクションの招待状は毎回同じデザインで、エピのレターケースに入って届けられます。シーズンによって異なるカラーは今回、鮮やかなブルー。いつもと違うのは、中のカードに記されたシート番号の部分で、「Virtual Seat」と書かれています。今回パリのショー会場に行けない招待客のために、公式の配信とは異なる特別な配信を用意したそう。フロントロウに座っている感覚で、360度カメラの映像を自由に動かしながらショーを見ることができました。
―東京―
doublet:あのマスク
思わず二度見したのが、ダブレットから届いた招待状。おそらく日本国民なら誰でも見覚えがある、あのマスク......に、似たマスクでした!パロディが大得意のダブレットならでは。着用するとちょっと恐怖なマスクは、ハロウィンにちなんだものだそう。個性満点のゾンビ(モデル)に追いかけられるコレクションムービーも必見です。
BASE MARK:梨園より
品種は「新高(にいたか)」。ベースマークのロゴ入りの薄紙に包まれて、悴田梨園の大きな梨が届きました。なぜ梨なのかというと、今シーズンのテーマカラーがシトラス(梨)ということで、コレクション映像を梨園で撮影したのだそう。梨の木の間をランウェイにモデルが歩くという、デジタルショーならではのロケーションでした。
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