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続く物価上昇、重視されるプライベートブランド戦略

続く物価上昇、重視されるプライベートブランド戦略

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日、トランプ大統領による関税発動が「予想以上に大きく」、インフレの影響も同様に予想以上となるという見解を示した。

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外国からの製品に追加される税金から、そのコストを輸入業者は自社で吸収せず小売価格に上乗せする。そして物価高を招くのだ。

輸入品が高くなることで、それらと競合する国内製品の価格も上げられる。価格競争が緩むことでインフレになるのだ。関税がかかるのは最終製品だけでなく部品や原材料にも及び、商品全体のコスト上昇となる。

企業は上昇分を価格に転嫁するだけでなく、今後も物価上昇が続くとの期待も実際のインフレを加速させる要因になる。

いずれにしても物価上昇は避けらず、消費者行動も変わってくる。

その一つがナショナルブランドからより安価なプライベートブランドのスイッチだ。

プライベートブランド製造者協会(PLMA)と調査会社サーカナ(Circana)のデータによると、2024年のストアブランドの売上高は前年比90億ドル増の2,710億ドルを記録した。

2024年1月8日~12月29日まで2023年の同時期と比べて3.9%の増加となる。プライベートブランドの成長は、わずか1%の成長にとどまったナショナルブランドをはるかに上回っているのだ。

世界的にみてもプライベートブランドは売上を伸ばしており、ニールセンIQの調査によると2024年のプライベートブランドはグローバル売上で前年から4.3%の増加となっている。

それ以上に過半数となる53%の消費者がプライベートブランド購入には前向きになっているという。その理由となるのがナショナルブランドに比べて平均で26%も安価という価格だ。

値段が安いものはそれだけ品質も劣っているに決まっているというプライベートブランドの「安かろう・悪かろう」イメージがなくなってきているのも成長する理由となる。

プライベートブランド戦略で最も顕著になるのがディスカウンターのターゲットだ。

ターゲットPBでは食品の「グッド&ギャザー(Good & Gather)」、子供服の「キャット&ジャック(Cat & Jack)」、ベビーブランドの「クラウド・アイランド(Cloud Island)」がある。

家具カテゴリーでもミニマリストに向けたホームブランド「メイド・バイ・デザイン(Made by Design)」やエスニック・ヒュージョン系ホームPB「オパールハウス(Opalhouse)」、1950年代~1960年代にインスパイアされたホームファーニッシングPB「プロジェクト62(Project 62)」など、PBは5年前の43種類から現在は49種類に増えている。

ローンチから1年で10億ドルビジネスに成長したアスレジェー・ブランドの「オール・イン・モーション(All in Motion)」や2009年ローンチの「アップ&アップ(Up&Up)」は30億ドル近くにもなり、現在のPB売上は3,000億ドル以上だ。

直近では今年3月、ジェームズ・ビアード賞を受賞したシェフ兼レストラン経営者のアン・キム氏とコラボした「グッド&ギャザー・コラボ(Good & Gather Collabs)」を発表している。

チェーンストア最大手ウォルマートも昨年5月、、若い世代に向けた新食品プライベートブランド(PB)「ベターグッズ(bettergoods)」を発表している。

これは約30年前に発売された食品PB「グレートバリュー(Great Value)」以来の大規模ローンチとなっている。

スーパーマーケット最大手のクローガーにも「クローガー(Kroger)」や「プライベートセレクション(Private Selection)」「シンプルツルース(Simple Truth)」等があるが、新アイテム開発に忙しい。

例えばプライベートセレクションのブランドで6種類のサラダキットを発売し、クローガー・ブランドでは一般的なトルティーヤ・チップスよりも厚くて歯ごたえのあるケトルスタイル(釜揚げ)トルティーヤ・チップすを発表している。

またインスタントティーとして、ブラックとチャイにキノコを組み込んだ「シンプル・ツルース・オーガニック・インスタント・マッシュルームティー(Organic Instant Mushroom Tea)」を発表しているのだ。

しかしプライベートブランドで最も成功した事例はコストコのPB「カークランド・シグナチャー(Kirkland Signature)」に異論はないはずだ。

1995年にローンチして以来、今やコストコ売上2,545億ドルの約3分の1を占めるに至っている。

860億ドルとなったカークランドはプロクター・アンド・ギャンブルやクラフト・ハインツを上回っているのだ。

カークランドが成功事例とするのは売上規模だけではない。コストコの「限定SKU環境(Limited SKU Environment)」戦略でタイド洗剤やジップロックバッグなどの大手ブランド企業と、より良い価格や製品属性を交渉するツールになっているのだ。

コストコの扱い品目数は約4,000となり、1カテゴリー商品でも2~3社に限定される。カークランドを一つにすると競合商品は一つに絞られる。

したがってサプライヤーに対して、価格や品質面で圧力を掛けることが可能というわけだ。

例えばカークランドの前に紙おむつはハギーズとパンパースだった。カークランドのおむつを導入したことでキンバリー・クラークのハギーズだけとなった。

最近ではカークランド紙おむつを製造していたキンバリー・クラークからキューティーズの製造元(ファースト・クォリティ)に変更した。

低価格に加えてカークランド紙おむつの高品質を維持するためと言われている。

関税による物価上昇となれば大手チェーンストアはさらにプライベートブランド戦略についての比重を大きくすることになるのだ。

トップ画像:コストコのカークランド・シグネチャー。売上の3分の1を占めており、「限定SKU環境(Limited SKU Environment)」戦略により大手サプライヤーとの交渉を進めやすくしている。

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