

■筆者は昨年6月、家族を連れてドジャース球場に行く機会があった。その時に驚いたのは日本人の多さだ。
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ニューヨーク・タイムズが18日に報じたところによると昨年のドジャース球団の観客動員数は前年比2.7%の増加となった。本拠地ロサンゼルスを訪れた日本人の80%~90%がドジャース球場に足を運んだという。
同紙はまた「大リーグはスター選手には事欠かないが、大谷のようにセンセーションを巻き起こす選手は見たことがない」とした上で、投打ともに最高レベルで「日本のベーブ・ルース」という表現がぴったりだと指摘している。
日本では先週、東京ドームでメジャーリーグ・ベースボール(MLB)の開幕シリーズ「ロサンゼルス・ドジャース対シカゴ・カブス」の試合が行われた。またドジャースは18日、佐々木朗希投手とメジャー契約を結んだことを明らかにした。
日本でドジャースの試合が行われ、大活躍の大谷翔平選手に山本由伸選手、さらに佐々木朗希選手と日本人選手が増えたことから今年LAを訪れる日本人は昨年以上にドジャース球場に足を運ぶことになる。
ドジャース球場の入場にデジタル・トランスフォーメーション(DX)で顔パスが導入される。
チケットを持っている日本人ファンもハンズフリーでドジャース球場に入場できる顔認証技術「ゴーアヘッド・エントリー(Go Ahead Entry)」を導入したのだ。
ゴーアヘッド・エントリー・システムは、AIを搭載したカメラを使ってチケット所有者を確認するもので入場に際して、ファンはペーパーチケットやバーコードが印刷された紙チケット、スマートフォン・アプリのQRコードを物理的にスキャンする必要がない。
文字通りの"顔パス"であり、家族連れの場合、アプリスキャン方式では人数分のチケットを1つずつ表示させる必要があったがゴーアヘッド・エントリーではその必要もなくした。
利用の仕方は「MLBボールパーク(MLB Ball Park)」アプリをダウンロードし、アプリ等でチケットを購入後、自撮りすることで固有の数字トークンに変換する。
なお撮影したイメージはプライバシーの問題上、保存されずに自動的に破棄されることになる。
ドジャース球場では手荷物検査後、ファンがゴーアヘッド・エントリー専用の入場ゲートに近づくとシステムが2つの数字トークンの一致を確認し顔パス・ウォークインとなるのだ。
ゴーアヘッド・エントリーは2023年にフィラデルフィアのシチズンズ・バンク・パークに初導入され、2024年からはワシントンやヒューストン、サンフランシスコにも拡大されている。
MLBのデータによるとゴーアヘッドを利用することで入場スピードが68%速くなり、ゲートは通常の2.5倍の速度で入場を処理できるとしている。
ゴーアヘッド・エントリーに似たものにネット通販最大手のアマゾンの生体認証デバイス「アマゾン・ワン(Amazon One)」がある。
アマゾン・ワンは手のひらをデバイスにかざすことで決済を終えるシステムだ。またスポーツ観戦やライブコンサートで手のひらをかざして入場チケット用にも利用されている。
2023年5月にはコロラド州デンバーにあるスタジアム「クアーズ・フィールド(Coors Field)」で年齢確認の機能をローンチした。
手のひら認証により、免許証等のIDを出さなくてもアルコールを購入できるようにしたのだ。年齢登録はアマゾン・ワンの個人アカウントでスマートフォンなどカメラ機能がついたモバイルで行う。
免許証などの物理カードの表・裏に自撮りも撮影するという。
年齢認証を完了したユーザーがバーにあるアマゾン・ワン端末に手のひらをかざすと、バーテンダー等のスタッフが21歳以上であることと自撮り画像を確認できるようになっている。
ユーザーも財布からIDを取り出す手間を省けるほか、バーテンダーもスピーディにアルコール等の飲料をサーブできることになる。
ドジャース球場に導入されるゴーアヘッド・エントリーは今のところ入場に際してのみとなっている。ただNECが開発したイノベーションで顔パス入場し、「築地銀だこ」のイノベーティブなたこ焼きを食べながら日本人選手を応援できることで、さらに多くの日本人がやってきそうだ。
トップ画像:ドジャース・スタジアムでのドジャース観戦。今年は大谷・山本・佐々木選手がいるので円安にもかかわらずさらに多くの日本人が観戦しそうだ。
MLBのゴーアヘッド・エントリー動画。利用の仕方は「MLBボールパーク(MLB Ball Park)」アプリをダウンロードし、アプリ等でチケットを購入後、自撮りすることで球場では荷物検査後にハンズフリーの顔パスで入場できる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。昨年、家族でドジャース・スタジアムに行った際、多くの日本人がいたことには驚きました。大活躍する大谷選手を応援でロサンゼルスに来る日本人のほとんどがドジャース球場に足を運ぶのです。一方でディズニーランドでは日本人らしき人たちを数組見かけるだけでした。ユニバーサル・スタジオにいたっては、ほとんど日本人を見かけませんでした。日本人がいなさすぎて若い女性の日本人旅行者から「日本人ですか?」と声をかけられるほどでした。円安の影響で日本人ツーリストが激減し、ロサンゼルス旅行ならドジャース観戦一択ということのようです。なお東京住まいな甥に言わせると、インスタ映えしそうな女性二人組(20代)は住んでいる場所から夜職が有力とのこと(笑)。円安により気軽にロサンゼルス観光できるレベルになく、ある程度の財力がないと難しいということもあるようです。ちなみに後藤が「日本人ですか?」と日本人から話かけられたのは40年前となる1985年でした。場所は忘れもしないロングビーチのショッピング街でした。
さて当社の流通DXワークショップ研修ではエントリー記事にある顔パスを体験するため、日程案としてドジャース観戦も取り入れてみたいと思います(笑)。たこ焼き食べながら3選手を応援です。
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