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2015年以降のファッションの進化、多様化するマストトレンド

2015年以降のファッションの進化、多様化するマストトレンド

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

よく「トレンドの変化が速い」と言われるが本当にそうなのだろうか。

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恐らく、これはレディースの最先端層のトレンドを指しているのだと思われる。次いでメンズの最先端層だろう。ただし、男女ともに最先端層のトレンドがマス化するとは限らず、いわゆるお仲間内でのプチブームで終わることも珍しくない。今でいうところのエコチェンバー現象みたいなものである。

マストレンドで言うと、これまで何度も書いてきているが2015年のルーズシルエット復活以降は多様化していると感じる。

特にマストレンドでの「ビッグヒット」「メガヒット」というのは、あまり見当たらない。強いて挙げればルーズシルエットが大復活して再マス化したことくらいだろうか。

ただ、2000年ごろにタイトシルエットが世界を席巻したことに比べると、マス化度合は低い。あの頃は、どのブランドもタイトシルエット一辺倒で、ルーズシルエットブランド、ルーズシルエットアイテムは一部を除いてほぼ消えた。それに比べると、いまだにスキニーパンツは一定数存在しているし、着用者もそれなりに存在している。またフレアパンツも一定数復活しているが、2005年当時のように若い女性がフレアパンツ一辺倒ということもない。

そのように見ると、2015年以降は衣料品のマストレンドが多様化しつつ、あまり変化が無いと見える。

一方、その反動でもあるのだろうか、雑貨を使ったスタイルのマストレンドは結構明確に変化していると感じる。

今回は、いくつか雑貨を使ったスタイルのマストレンドの変化について挙げてみたいと思う。もちろん、当方の挙げたものだけでは不十分だろうから、ご指摘いただけるとありがたい。

〇ストール

2000年代後半から2010年代前半にかけて年がら年中、首にストールを巻くというスタイルが老若男女問わずマス化していた。ところが2010年代半ば以降はほぼ消えており、今では愛好家が巻いているか、春と秋の気温調節に巻くくらいになっている。真冬はストールよりも保温目的からマフラーが一般的である。

あの頃の特徴としては、夏場も頑なにみんなストールを首に巻いていた点である。当方も一応挑戦してみたが、何度か巻いて挫折した。真夏に首に巻くのは暑すぎて耐えられなかった。元来、首筋に布を巻くという行為は装飾もさることながら、保温に最も効果的だからである。

それは真冬にマフラーを巻いたことがある人なら異論はないだろう。首筋を温めるだけで寒さが和らぐ。薄い綿や麻とはいえ、真夏にそれを首に巻くのは暑さを倍増させる行為である。

とはいえ、真夏に何かを服装に加えたくなる気持ちは分かる。真夏の服装といえば、半袖Tシャツ、半袖ポロシャツ、半袖シャツだ。女性ならここに半袖かノースリーブワンピースが加わるだろう。ただ、いずれもひどく味気ない。よほどに優れた体型でないと見映えしない。特に男性は酷い物である。

そうなると、首にストールを巻くだけで一気に何となく洒落た感が出る。半袖Tシャツの上に前開きベストを羽織るのも同様だ。ただ、両方とも暑い。特に2010年代半ば以降の猛暑では自殺行為である。ストールのマストレンド化が終わったのも当然だろう。

〇ワークブーツ・レザー(合皮含む)カジュアルシューズ

2000年代後半からずっとスニーカーブームと言われてきた。これも何度か書いているがスニーカーは最早生活必需品として定着している。そこら辺のジジババでさえスニーカーを履いている。

2000年代後半は伝統的なローテクスニーカーが一般的だったが、2015年ごろからは約20年ぶりにナイキエアマックスに代表されるハイテクスニーカーが復活した。ただ、2020年代に入るとスニーカーブームが沈静化(実際はスニーカーの転売ブームの終了に過ぎないが)し、定着化した。それとともにワイドパンツのマス化によって、かつてのレザー製(合皮含む)のワークブーツ類とレザー製カジュアルシューズが復活した。

これはワイドパンツとバランスを取るためではないかと思える。ロボットの足みたいなごっついハイテクスニーカーではワイドパンツとのバランスが今一つ良くない。そのため、ワークブーツ類が復活したのではないかと思う。

現在、スニーカー類は定着しているが、2010年代後半と比較すると明らかにワークブーツとレザーカジュアルシューズの着用者が増えている。

〇ウォレットチェーンと長財布

90年代後半からけっこう長い期間、特にメンズでは尻ポケットに長財布を突っ込んで、それをベルトループにチェーンでつなぐというスタイルが一般化していた。特にちょっとイキり気味のメンズはユニフォームのように取り入れていた。

ただ、当方はイキりスタイルは嫌いだったし、何よりも尻ポケットに長財布を突き刺すのは座ったときに不快そうでやってみたいとは思わなかった。実際に一度もやっていない。

ついでにいうと、小銭が入らない可能性が高い長財布は便利が悪いと感じたので、当方はずっと小銭入れ付の二つ折り財布を今も昔も変わらず使っている。

何時頃からか、恐らくは2010年代ごろから徐々にそのスタイルが消えてきた。2020年代に至っては完全に消滅している。

5年くらい前にすでに革業界では「長財布の需要が激減しており、よっぽどの愛好家か年寄りしか買わない」と言われていた理由はキャッシュレス化の浸透である。交通系ICはカード形態かスマホとの連動で終わってしまう。またナンタラペイはスマホで終了である。クレジットカード派もカードなので長財布は必要ない。

一方、交通系ICカード派とクレジットカード派は代わってL字型財布を使うようになっている。これは折りたたんだ札と何枚かのカード、あと小銭も収納できる優れもので現在ではこれがマス化していると思われる。

当方は長財布とL字型と両方持っているが、長財布はほとんど使ったことが無く、L字型はそれなりに愛用している。今後も長財布を使うことは無いだろう。

このように見てくると、衣料品のマストレンドがあまり変わらなくて多様化しているため、雑貨の使い方でトレンド感を表すという人が増えているのではないかと思う。2015年以降は、衣料品のコーディネイトよりも雑貨との組み合わせ方を見た方がその時々のマストレンドが顕著に分かるようになっていると感じる。

興味のある方はそんな目で見てみてはどうだろうか。

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