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「シーエフシーエル(CFCL)」が、ブランド設立5周年を記念した展覧会「CFCL: KnitwearからKnit-wareへ」を東京・表参道のGYRE GALLERYでスタートした。期間は4月28日まで。メディア向けに開催されたプレビューでは、デザイナーの高橋悠介が登場し、展覧会開催の背景にある思いや、各展示パートの説明、コレクションの製作秘話などを語った。
同展では、ブランド設立5周年を迎えたシーエフシーエルが、クリエイションの原点やブランドの中核にある3Dコンピューター・ニッティング技術の探求にフォーカス。ブランドの出発点となった学生時代の作品から最新コレクションまでの軌跡を「3Dコンピューターニッティングとの出合い」「テクノロジーと手仕事の融合」「『ニット』という制約と試行錯誤」「現代生活のための衣服」の4つのパートに分けて紹介している。
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タイトルにある「Knit-ware」は、器を意味する「ware」と衣服の「Knitwear」を掛け合わせた造語。「現代生活を送る人々の身体を包み込む新しい器のあり方を追求する」という、同ブランドがデビューコレクションから一貫して掲げてきたテーマを反映しているという。
3Dコンピューター・ニッティングとの出合い





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1部屋目では、高橋が「3Dコンピューター・ニッティング」の技術と出合い、ファッションデザイナーとしてのキャリアのスタートにもなった文化ファッション大学院大学生時代の作品を披露。2009年に第83回装苑賞を受賞した、当時最先端の丸みを帯びた現代建築を着想源とした作品「BLOBITECTURE FORM」をはじめ、大学院の修了制作として手がけた「THE KNITTING SCULPTURE」を収めた写真を展示している。

高橋悠介
装苑賞の作品を作った際、一般的なニットの概念である「冬物」「暖かい」といったイメージから離れたものを作ることの面白さに魅了され、そこからどれだけ距離をとったものを作れるかを研究しました。構築的で透け感があって軽く、官能性のある造形や、「POTTERY DRESS」のような丸みのあるシルエットからは、現在のCFCLの造形との繋がりを感じていただけると思います。
テクノロジーと手仕事の融合








(左から)日本の伝統的な染色技法「注染」を着想源にした「CHUSEN」、東南アジアの技法「イカット」にアイデアを得た「KNIKAT」、手編みのかぎ針で有機的なモチーフをつないだ「KAGIAMI」
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続く2部屋目では、2024年9月にパリ・ファッションウィークで発表した2025年春夏シーズンの「VOL.9」コレクションとその製作過程にフォーカス。3Dコンピューター・ニッティングと国内外の伝統的な手仕事の融合によって「Knit-ware」の新たな可能性に挑戦した3つの象徴的な作品を、素材調達の源流であるペットボトル回収工場やシルクの養蚕農家などから、実際にCFCLの衣服が作られる現場までの一連の工程を収めた映像作品とともに紹介している。

高橋悠介
一般的に、ファッション産業はサプライチェーンが非常に長いため、川上である素材調達まで辿ることは難しい現状があります。その中で、今回原料から最終的な服ができるところまでを一貫して追った映像をお見せできるというのは、「透明性の高いサプライチェーン」を掲げてものづくりを行っているCFCLだからこそできる、価値あるものになっています。
「ニット」という制約と試行錯誤





「VOL.10」コレクションのベースとなっている10種類の編地
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3部屋目では、2025年3月にパリ・ファッションウィークで発表した2025年秋冬シーズンの「VOL.10」コレクションの製作過程と、各ルックの元になった編み地を披露。同コレクションのために開発された無数の編み地の中から、実際に衣服として仕上がった10種類の編み地を最終的なスタイリングとあわせて展示しているほか、ブランドの原点ともいえる高橋の修了制作の再構成を試みたドレスの制作記録を中心に、パリでのショー開催までを収めた映像も上映している。

高橋悠介
一般的なファッションデザインのプロセスとは異なり、ニットの場合は編み地としっかり向き合わなければデザインができないという特徴があるため、それを紹介できたらと思いました。1種類の編み地だけでできている服もあれば、パーツごとに複数の編み地を組み合わせてできている服もあるので、展示されている完成形のルックがどの編み地からできているのかを楽しんでみてください。
現代生活のための衣服





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最後の部屋では、「現代生活に必要な衣服とは何か?」という問いをクリエイションのテーマとするCFCLが、写真家の蓮井幹生とともにブランドデビュー時から続けているポートレート撮影プロジェクト「SILHOUETTE」の作品を紹介。「現代的な生活を送る人」だと高橋が感じる友人や知人67組の姿をアナログフィルムに収めてきた中から、近年プロジェクトをともにしてきた4人をピックアップし、高橋との出会いのエピソードと、「あなたにとって衣服とはどんな存在か?」「あなたにとって現代生活とはどんな生活か?」「今考えていることはどんなことか?」という3つの質問に対する答えとともに展示している。

高橋悠介
「Clothing For Contemporary Life」を頭文字とするCFCLが、日々アップデートされ続ける「現代生活のための服」を定義するために続けているプロジェクト。「ファッション」や「衣服」というのは包括的な言葉だからこそ、人によって全く異なる考え方や捉え方をしていることがわかる興味深い展示になっていると思います。
プレスプレビューに登場した高橋は、今回の展覧会開催の背景について「今年CFCLは5周年を迎え、5年前は私が1人で起業してブランドを立ち上げ、全てを1人で行っていましたが、今では社員が60人ほどにまで増えました。やれることが限られていた昔とは違い、何でもやれるようになった今だからこそ、改めてCFCLの原点や強み、やるべきことを明確にしたいという思いがありました」と説明。また、ブランド設立当初からクリエイションとサステナビリティの両立を掲げ、2021年には国内アパレル企業初のB Corp認証を取得するなど、サステナビリティ文脈で注目を集めることが多かったことを受け、「“サステナブランド”というイメージが強くなってしまった側面もあったため、今回はクリエイションやプロダクション、生産、ブランドの哲学などにフォーカスした展示内容になっています。CFCLが純粋にニットと向き合うクリエイションの姿をぜひ見ていただきたいです」と話した。
そのほか、期間中には表参道GYREの吹き抜けスペースで、全長10メートルほどの複数のニットドレスを天井から吊るしたインスタレーションも併せて展開している。





インスタレーション
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■CFCL: KnitwearからKnit-wareへ
会期:2025年3月23日(日)〜4月28日(月)
会場:GYRE GALLERY
住所:東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3階
営業時間:11:00〜20:00(不定休)
主催:CFCL
協賛:Tokyo Creative Salon
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