

1980年8月から続いてきた定点観測は46年目に突入。ここ数年ストリートファッションを牽引してきたメンズっぽいカジュアルなスタイルが秋口から徐々に更新され、年明けとともにフェミニンなムードが急浮上。2025年最初のカウントアイテムは「女性ファー/ボア素材アウター、うちミドル丈」となりました。ズームアップアイテムは、昨年ファッショナブルな男性を中心に増加し幅広い層に浸透してきた「ボトムスレイヤードスタイル」と、スカーフやニットキャップの人気ともリンクする「フードかぶり/バラクラバ巻きスタイル」をそれぞれ取り上げました。
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カウントアイテム:女性ファー/ボア素材アウター、うちミドル丈
今年はトレンドの大きな転換点?グラマラスな女性像=ギャルのリバイバルがはじまった!
実は昨年2月にもズームアップアイテムとして同アイテムを取り上げていたのですが、1年経って着用者がさらに増加。特に今年はゴージャスなファー素材のアウターが増加しており、ギャルっぽいムードがリバイバルしている点が最大のポイントです。コンサバ系の女性には、ファーのみならず、シャギーニット風のアウターも人気。テクスチャー感のある素材づかいが共通点。モノトーンカラー中心のミシンプルでシックな装いが主流化している今冬、インパクトのある素材感のアウターをプラスしてリュクス感やボリューム感をプラスする人が増えているようです。
同じ「ボアアウター」といっても、2018年頃からマス化した茶ベージュ〜オフホワイト系カラーのカジュアルでほっこりしたアウトドアっぽいテイストとは大きく異なります。2024年10月を境に「女性ロングヘア」や「女性グレーウェア」等、フェミニンで大人っぽいコンサバなスタイルが久しぶりにストリートに戻ってきていましたが、よりグラマラスな女性像=ギャルが台頭。すっかり一般化したストリートっぽいカジュアルなスタイルはベースとして残りつつも、トレンドの大きな転換点となりそうな予感です。

(左)海外のスナップに影響されてファーのアウターを買ったと話してくれた女性。「ギャルっぽいテイストも好きですが、最近はキレイめでお姉さんぽいイメージも好き」とのこと。 (中)MaxMaraのテディベアコート風のボアアウターも幅広い世代に人気。キャップをプラスしたシティボーイ風コーディネートでコンサバ感を軽減。 (右)マダム感たっぷりのグラマラスなファーロングコートにグラフィカルでタイトなニット帽でストリート感をプラス。いよいよカジュアルなストリートスタイルを更新するタイミングか。
ズームアップアイテム①:ボトムスレイヤードスタイル
男性から火がついたトレンド。ボトムスやシューズのフォルムが肥大化しスタイルの重心が下半身に。
定点観測で最初に記録されているのは、99年~00年代前半にたびたび取り上げていた「スカパン(スカートオンパンツ)」 。スカートだけだと女の子っぽすぎるというマインドの表れであり、脱・裏原=フェミニン/ギャルテイストへの移行というトレンドの変遷も反映していました。一方で男性にボトムスレイヤードが浸透し始めたのは、『TUNE』全盛の2010年代(モード史的には80年代からメンズスカートも登場していますが、レイヤードスタイルではありませんでした)。ボトムスをコンパクトにしたいといういまと真逆の理由から男性のレギンススタイルが浮上しましたが、その後はしばらく下火に。ところがボトムスやシューズのフォルムが肥大化し下半身に重心の置かれたようなスタイルが一般化したことで、スカートによるレイヤードスタイルの男性が2023年頃から登場しはじめ、そのトレンドが女性にも波及。「シャツ腰巻き」や「パンツオンパンツ」など、レイヤードのバリエーションも多様化が進行しています。

(左)トレンドのファージャケットにリメイク風のデニムスカート✖️チェック柄パンツをあわせたハイパーなレイヤードスタイルがファッショナブル。(中)ジーンズとデニムスカートによる同素材のレイヤードスタイル。ストレートのロングヘアが引き続き多い。(右)レイヤードするスカートは膝下丈で長めのバランスが旬。真冬にもかかわらずショルダーラインを見せたルーズなスタイリングが新鮮
ズームアップ・アイテム②:フードかぶり/バラクラバ巻きスタイル
モードでクールなムードのヘッドアクセサリーが今冬はマストレンドに。
2021年頃からランウェイレベルのトレンドワードとしては浮上していたバラクラバですが、ストリートに本格的に浸透したのは2023年頃でした。それに伴い2017年以来にフードかぶりスタイルが復活し、さらにはマフラーをバラクラバ風に巻きつけて頭まわりを覆うスタイルが台頭しています。昨年2月にも「フードかぶり」をズームアップとして取り上げましたが、昨年に比べるとマフラーの頭巻きが増えているように思われます。いわゆるバラクラバが減少し、マフラーにフードがついたようなデザインの巻物が増加しているのも一因。かぶりものでモードっぽくクールなムードを演出したいという意味では、昨年11月に取り上げた「ニットキャップ」を目深にかぶるスタイルとも通じていそう。あるいは顔まわりに何かプラスしたいというデコ感覚という点においては、昨年9月に「ヘッドアクセサリー」を取り上げた際に多く見られたスカーフの頭巻きスタイルにも共通点を見出せるトレンドです。

(左)ダークでモードなバレンシアガっぽい装いの男性がまだまだ多い。キャプ+フーディーではなくマフラーの頭巻きでストリート&エレガントな雰囲気に。(中)レオパード柄人気が加速している。ファーアイテムといい、90s後半〜00sのギャルっぽいテイストが浮上している。(右)厚手のソックスをくしゅくしゅにしたり、襟元〜頭を厚手のニットアイテムでぐるりと巻いた着こなしがいまっぽい。
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