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米家電店チェーン最大手「ベストバイ」、業績好転も関税引き上げが打撃に

米家電店チェーン最大手「ベストバイ」、業績好転も関税引き上げが打撃に

在米28年のアメリカン流通コンサルタント
激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

■家電店チェーン最大手のベストバイが4日に発表した第4四半期(11月~1月期)では3年以上マイナスが続いてた既存店ベースが反転した。

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ただトランプ大統領の関税の引き上げにより、極めて高い確率で製品の値上げが起こり業績に悪影響を及ぼすと示唆した。

売上高は前年同期の14週間から13週間と1週間短かったことに加え店舗閉鎖が影響して前年同期から4.8%減少となる139.5億ドルとなった。

純利益は1.17億ドルと前年同期の4.60億ドルから74.6%の大幅な減少。粗利益率は会員向けサービスが好調で20.9%と前年同期の20.5%から0.4ポイントの増加となった。

一般販売管理費率は16.0%と前年同期の15.5%から0.5ポイントの上昇で利益分が相殺された。営業利益率は1.6%と前年の3.8%から2.2ポイントの大幅な減少となった。

既存店ベースはCEにアプライアンス、さらにゲームなどのエンターテイメントが低迷したもののノートブックパソコンなどが好調で0.5%の微増となった。

ベストバイの既存店ベースは前期まで12四半期連続して前年を下回っていたが反転したことになる。

国内店の既存店ベースは0.2%の増加。前年同期の国内の既存店ベースは5.1%減だった。

 売上高の40%を占めるオンライン売上は2.6%の増加となった。

ベストバイではネット注文の45%がカーブサイド・ピックアップやボピスなどの当日受け取りが占めている。

そのうち90%以上の注文がわずか30分以内に受け取りが可能となっているという。フルフィルメントではスピードが10%改善したと明かしている。

ベストバイではストアアプリの顧客体験を大幅に改善していることで、アプリを介したネット売上比率は過去3年間で2倍に増加し、オンライン売上の約20%以上に達していると以前の決算で明かしていた。

また昨年のブラックフライデーではアップルのアプリストアでベストバイ・アプリがショッピングアプリとして1位を獲得し、ベストバイ・アプリを介してのトラフィックは前年同期から20%も伸長した。

 商品カテゴリー別の既存店売上前年同期比では売上の44%を占める「コンピューターとモバイルフォン(Computing and Mobile Phones)」はタブレットが好調だったことで6.5%の増加となった。前年同期は4.2%の減少だった。

売上全体の31%を占める、ホームシアターなどの「コンシューマーエレクトロニクス(Consumer Electronics)」は前年同期から2.2%の減少だった。前年同期は9.0%の減少だった。

全体の10%となる白物家電の「アプライアンス(Appliances)」は金利高による住宅市場の不活発が続いており11.4%減と二桁になる大幅な減少が続いている。前年同期も13.7%の減少だった。

全体の5%となる「エンターティメント(Entertainment)」は10.9%の減少となった。

技術サポートや設置、修理などを提供する「サービス(Services)」は売上全体の5%となり、既存店ベースは9.9%の増加(前年同期は6.3%の増加)だった。

1%の「その他」となるカテゴリーは18.7%の増加となっている。

 ベストバイでは顧客体験の向上のためパーソナライゼーションの強化やデジタル・ウォレット、お気に入りの製品のセール時に通知されるディール・アラート、ギフト検索などの新機能を追加している。

便利なチェックアウト機能やコンテンツの読み込み時間の短縮など、アプリの改善と刷新に注力しているのだ。

 2025年1月通期の売上高は前年の53週から52週になったことで4.4%減となる415.3億ドルだった。純利益は前年から25.3%減となる9.27億ドルだった。

既存店ベースは2.3%減で前年は6.8%の減少だった。

 ベストバイによると国内店の12店舗を閉鎖し、2店舗を新規オープンした。今年は最大10店を閉鎖し、小規模店をいくつか新規にオープンする計画だ。

 なお第4四半期決算の発表で話題の中心になったのが関税だ。ベストバイが扱う製品の第1位と第2位の供給元は中国とメキシコであり(直輸入では2~3%程度)サプライチェーンではそれぞれ55%と20%と最大の供給元になっている。

トランプ大統領の関税引き上げによりコスト分をベンダーが製品価格に転嫁することを予想しており今年後半にも値上げが反映されるのだ。

これらのネガティブな予測によりベストバイ株価は1日だけで12%以上も暴落している。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。企業を取り巻く外部環境を分析する手法をPEST分析といいます。PEST分析は「政治(Politics)」「経済(Economy)」「社会(Society)」「テクノロジー・技術(Technology)」と4ツに分けて、自社に影響を与えるであろう事柄を予測します。。大手チェーンストアの直近の決算では、PEST分析から通期予想で特に政治に焦点があてられています。政治とはトランプ大統領が掲げる高関税政策です。トランプ大統領は4日、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を導入しました。先月4日に発動した中国への追加関税については10%を上乗せして、20%に引き上げる措置を講じたのです。これによりアメリカ国内の物の値段も上昇し、さらなるインフレとなります。ターゲットはメキシコにイチゴ、バナナ等の生鮮品でメキシコに依存していることから"値上げ必至"としています。数ヶ月前まで関税を理解していたアメリカ人は20%ほどでしたが、今では50%近くになっているとのこと。つまり物価高は高関税が原因となりやすいイメージです。

 ベストバイの決算発表では高関税から値上げ必至で、同社の株価が1日で10%以上も暴落しました。インフレ再燃となればバイデン政権に怒ってトランプ氏に投票していた人もパニックです。

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