
■スーパーマーケット最大手クローガーのCEOが突然、辞任した。クローガーは3日、ロドニー・マクマレン氏の個人的行為に関して内部調査を受けて辞任と発表したのだ。
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同社の取締役会が先月21日、問題を認識した直後に外部の弁護士を雇い調査を依頼したという。
マクマレン氏の問題の行為は財務実績や業務などクローガーの事業とは関係ない一方で同社の企業倫理に反することだった。クローガーの他の関係者も関与していないようだ。
なおマクマレン氏の辞任を受けて同社取締役のロン・サージェント氏が会長兼暫定CEOに指名され就任している。クローガーはまた正式なCEO探しを開始したことも明らかにしている。
サージェント氏は2006年からクローガーで取締役を務めており、2001年から2016年までオフィススーパーストアのステープルズでCEOを務めた経験もある。
1978年にアルバイトでクローガーに入社したマクマレン氏は叩き上げCEOとして知られていた。
ティーンの頃から食品スーパーの現場で品出しや袋詰などの下積みからキャリアを積んでいったのだ。
1995年には最高財務責任者(CFO)、2009年には最高執行責任者(COO)と昇進を重ね、11年前の2014年にはクローガーCEOに任命された。翌年には会長役も兼務している。
マクマレン氏政権では約2億ドルを投じてウィスコンシン州で展開するスーパーのラウンディーズ(Roundy's)やピック・アンド・セーブ(Pick N’ Save)、シカゴのグルメスーパーのマリアノズ等を買収し、中西部での事業範囲を拡大した。
デジタル・トランスフォーメーションへの投資にも積極的で2018年にはイギリスのネット専業スーパー最大手のオカド・グループとの提携を発表した。
この提携により国内にロボットを導入したネットスーパー専用物流倉庫「カスタマー・フルフィルメント・センター(CFC:Customer Fulfillment Center)」を20ヵ所まで増やす計画を明かしたのだ。
ネット通販最大手アマゾンがホールフーズ・マーケットの買収で、その影響を受けてのネットスーパー投資だったのだ。
マクマレン氏はCEO就任中、980億ドルのビジネスを1,500億ドルと急成長させたものの直近では大きな挫折も経験している。
クローガーは2022年10月、同業で第2位のアルバートソンズを買収すると発表した。当時の発表ではクローガーがアルバートソンズを一株当たり34.10ドルで買収することになり、総額で47億ドルの負債を含む246億ドルに達するものだった。
クローガーは3年前、35州に傘下のスーパーであるラルフスなどを含む2,750店を展開し、アルバートソンズは34州にセーフウェイなど2,200店を展開していた。
買収が完了し合併すれば店舗数がおよそ5,000店で年間売上高約2,000億ドル、従業員数が70万人超のメガ・スーパーマーケットチェーンが誕生するとしていたのだ。
両社の合計時価総額も約470億ドルとなり、売上規模でもコストコ・ホールセールとほぼ同規模になる可能性があった。
結局、約250億ドルの合併計画は昨年12月、2つの裁判所が消費者にとっては価格上昇をもたらすという独占禁止当局の主張を認めて、合併差し止めを命じる判決を下した。
これを受けてアルバートソンズはクローガーが計画承認に向けて必要な合意内容を完全に履行しなかったとクローガーに対して6億ドルの違約金支払いに加えて損害賠償を求める訴えを起こすことになったのだ。
DX展開では1年前、オカドと提携しているネットスーパー物流のスポーク拠点3ヶ所を閉鎖することを発表した。
スクラップとなる物流拠点には傘下の食品スーパーのない地域も含まれており、クローガーの野心的なネットスーパー戦略で大きな後退を意味していた。
ただオカド側は先週、クローガーとのCFCの追加開設について協議中である旨と発表した。
同計画ではノースカロライナ州シャーロットとフェニックスのクローガーCFCの開設が含まれており今年後半か来年初めに稼働を目指しているようだ。
トップ画像:クローガーCEOのロドニー・マクマレン氏。取締役会からの調査で突然の辞任となったのだが、個人的な問題とは何をやらかしたのだろう、生島ヒロシ?
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。スーパーマーケット最大手チェーンのクローガーで、叩き上げCEOがコンプライアンス(法令遵守)まで行かないまでも、個人的な問題で唐突な辞任です。有名人トレンドから「オンカジか!」と思いました。苦節47年のアメリカン・ドリームが一瞬で吹っ飛ぶような行為とはなんぞや?と興味津々です。ピンハネかピンポン・ダッシュか、ピーピング・トムみないな...はずい3Pを疑っています(笑)。ところで後藤は30年以上にわたりコンサルティングしていますが運がいいのは、これまで様々な企業のトップに会えたことです。中小零細チェーンの社長からグループ全体で数兆円にもなるような大手企業のCEOまで一緒に仕事をさせていただく機会がありました。社会的にみて"偉い人たち"ですが、後藤の見方は違っていてCEOや社長は"職位"というより"機能"だと捉えています。流石に横柄に振る舞う人はほとんどいませんがトップの多くが「ビジネス謙虚」だいうことはよくわかります。環境が人を作るように低姿勢な役を演じていたりします。
でもね、エラい地位に長い間いれば、どんなに優秀で仕事ができていた人もどこかで慢心したり老害化するもの。エラい人の歴史はそういった繰り返しの上で成り立っています。
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