

環境に優しく、肌にも負担が少ないことで注目されているオーガニックコットン。タオルや下着、お子様の洋服だけでなく、大人の服にもオーガニックコットン生地が使われることが増え、気になっている方も多いのではないでしょうか。そもそも通常のコットンとどのように違い、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。オーガニックコットンの特徴や生産工程、お手入れ方法についてもあわせて紹介します。
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【目次】
オーガニックコットンとは
オーガニックコットンとは、農薬や化学肥料を使わずに有機農法で栽培された綿を使用して作られた生地です。綿花の栽培から製品の加工まで、太陽・水・大地など自然の恵みを生かした方法で行われています。オーガニックコットンと名乗るには、「化学薬品の使用を最低限に抑える」「生産者の安全や健康に配慮する」「児童労働を行わない」など、厳しい基準を満たして生産されなければなりません。
コットンとの違いは?
オーガニックコットンと普通のコットンは、科学的検査に通した場合、ほぼ同じ品質といわれていますが、実は栽培方法、収穫方法、加工方法に違いがあります。
栽培方法コットンは、一般的に種をまく前に化学肥料や防カビ剤、殺菌剤を散布し、雑草や害虫が発生した場合には除草剤や殺虫剤で駆除するため、大量の薬剤や化学肥料が使用されています。一方、オーガニックコットンは、化学肥料を撒く代わりに堆肥や牛糞などの有機肥料を使用して栽培します。雑草は除草剤で枯らすのではなく、農業機械を使用して土に埋めます。また、オーガニックコットンの害虫対策は、畑の周辺にトウモロコシなどの雑穀を植えて、害虫を食べてくれるてんとう虫を引き寄せる方法がとられています。オーガニックコットンは薬剤や化学肥料を必要最低限しか使用しないため、環境や農家の人々に優しい栽培方法といえるでしょう。
収穫方法コットンは、収穫が早いほど高く売れるため、一度に効率よく収穫するために落葉剤で葉を枯らしてから収穫されます。落葉剤は、土壌や水質の汚染をはじめとする環境負荷が懸念されるだけでなく、収穫作業者や選別作業者の健康に悪影響を及ぼす危険性もあります。飛行機で大規模に空中散布する地域もありますが、効率的に散布できる一方で、広範囲に影響を及ぼすリスクも考えられます。一方、オーガニックコットンの収穫では落葉剤を使用せず、水を与えるのをやめて自然に葉が落ちるのを待ってから収穫します。そのため、収穫までに時間がかかり、摘み取り作業の手間も増えますが、その分、農家の人々の健康面や周辺環境に優しい方法といえるでしょう。
加工方法オーガニックコットンと普通のコットンは、製品になるまでの工程にも違いがあります。普通のコットンは、糸にする段階で染色しやすくするために塩素系漂白剤を使用し、毛羽立ちを防ぐ柔軟剤や、見た目の白さを際立たせる蛍光剤などが使われるため、生地になるまでに多くの化学処理が施されます。また、本来の風合いを再現するために柔軟剤などが使用されるので、洗濯を重ねるうちに柔軟剤が取れていき、生地が硬くなってしまいます。一方、オーガニックコットンを糸や生地に加工する際は、素材本来のふっくら感や持ち味を活かすため、天然のワックスやでんぷんなどが使用され、化学処理はほとんど行われません。繊維本来の風合いを保ったまま生地にするため、洗濯後には洗濯前よりも繊維がふっくらと仕上がり、柔らかい肌触りが得られます。
オーガニックコットンのメリット
①素肌に優しい
化学肥料や農薬を使わないオーガニックコットンは、肌のかゆみやかぶれなどの原因となる残留農薬が非常に少ないため、安心して着用することができます。また、コットン自体が通気性・吸水性・保湿性・保温性に優れている素材であるため、特に汗っかきな赤ちゃんやお子様が身に着けるものとして最適です。さらに、化学繊維と比べて静電気が起きにくいため、乾燥しがちな時期でもさらっと着こなせるのが大きな特徴です。
②農家・環境への負荷が少ない
前述したとおり、コットンの栽培には大量の薬剤や化学物質が使用されています。世界有数の綿花の産地では、農薬による健康被害にも苦しめられています。オーガニックコットンは漂白剤や農薬・殺虫剤を使用しないため、水質や土壌を汚染せず、自然環境に優しい栽培方法で作られています。商品の加工過程で使用する水の量も、一般的なコットンと比較して90%削減できるという報告もあります。環境に配慮し、労働者の生活や栽培地、さらにはその周辺地域に及ぼす影響を軽減できる点は、オーガニックコットンの大きなメリットといえるでしょう。
③耐久性に優れている
これはオーガニックコットンに限った話ではありませんが、コットンには「繊維が強く、耐久性が高い」という特徴があります。繊維がしっかりしているため、何度洗濯してもその柔らかさと吸水性が持続します。長持ちするため、短期間で買い替える必要がなく、コストパフォーマンスも優れているといえるでしょう。
④保湿性に優れている
オーガニックコットンは残留農薬が少ないため、化学繊維と比較して保湿性に優れています。自然のままの色合いと風合いで肌あたりが良く、乾燥しやすい季節でも比較的なめらかな着心地で、肌になじむ安心感やリラックス感が美容と健康の維持に役立ちます。

オーガニックコットンのデメリット
①生産数が少なく、値段が高い
先ほど述べた通り、生産工程で化学薬品を使用しないため、手間やお金がかかり、通常のコットンのように大量に収穫することができません。流通量が少ないため、オーガニックコットンは通常のコットンよりも1枚当たりの金額を高くする必要があるのです。一般的なコットンに比べて、採れる種が少ないことや、農薬や化学肥料を使わず手摘みで収穫するなど労働コストが高いことに対し、品質は変わらないため、なかなか栽培する農家が増えないのが現実です。
②ほかの天然繊維に比べて、やや乾きにくい
オーガニックコットンは、吸水性に優れている一方、吸った水分の蒸発が遅く、比較的乾きにくいというデメリットがあります。特に生地の厚いエプロンやバッグといったアイテムは乾きにくく、カビが生えるリスクに気を付ける必要があります。雨の多い時期や湿気の多い環境での使用は避け、洗濯後は風通しのよい場所で乾燥させるようにしましょう。
③カラーバリエーションが少ない
オーガニックコットンは製品にするまでの工程で、漂白剤や化学染料を使用しないため、製品のカラーバリエーションが少なくなってしまいます。しかし、自然由来の染料を使用することができるため、お好みの色を見つけることも可能です。
お手入れ方法
オーガニックコットン製品を洗濯する際は、風合いを保つために高温の水で洗わず、30~40度以下の水でやさしく手洗いするのがよいでしょう。その場合、つけ置き洗いはしないように注意が必要です。洗濯機で洗う場合は、毛羽立ちを抑えるため、洗濯ネットを使用しましょう。塩素系漂白剤や蛍光増白剤を含む洗剤の使用は、変質や色むらが生じる原因となるため、無添加タイプの石鹸がおすすめです。洗濯後はすぐに取り出し、やさしく四方に引っ張りながら歪みを直して干すと、型崩れしにくくなります。また、直射日光が当たる場所に干すと変色や繊維が劣化する恐れがあるため、風通しの良い日陰で自然に乾かすのが良いでしょう。乾燥機は傷みや伸縮の原因になりやすいため、使用はおすすめできません。なお、天然素材の染料は他のものと一緒に洗濯すると移染する場合があるため、薄い色や生成りの衣類や製品は、他のものと分けて洗濯するのがおすすめです。中には、洗濯不可や手洗いのみ可能な製品もあるため、アイテムごとの洗濯方法は製品についている洗濯表示の確認をお忘れなく。
いかがでしたでしょうか。オーガニックコットンは、農家の人々にも地球環境にも優しく、お子様にも安心して使用できる素材です。栽培や加工に手間がかかる分、通常のコットンよりも価格帯が高くなりますが、地球にも肌にも優しいオーガニックコットンを選択する価値はあります。オーガニックコットン製品がどのように製造をされているかについて知り、タオルやTシャツなど身近なものから取り入れてみてくださいね。
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