アシックスが過去最高業績更新　オニツカタイガーはインバウンド売上が昨年の3倍に

　アシックスが、2024年12月期決算説明会で、売上高、営業利益、当期純利益の各項目で過去最高実績を更新したことを発表した。売上高は前期比18.9％増の6785億円、営業利益は前期比84.7％増の1001億円で1000億円の大台を突破。当期純利益は前期比80.9％増の538億円で、昨年から引き続き大幅な成長を見せた。

　同社の2024年12月期は、全カテゴリーが全地域において増収増益を記録。中でも、「SPS（スポーツスタイル）」と「OT（オニツカタイガー）」の売上高は前期比で50％以上伸長した。SPSは、「ゲルカヤノ 14（GEL-KAYANO 14）」といったアーカイヴ復刻モデルを含む「ヴィンテージテック（VINTAGE TECH）」コレクションが引き続き堅調。今年1月には新たに「ゲルカヤノ 20（GEL-KAYANO 20）」を発表し、ブランド力強化を図っている。オニツカタイガーは、日本国内でのインバウンド売上高が2023年12月期の約3倍となる219億円を計上。今年1月には日本製デニムを軸にした新ライン「DENIVITA」を発表するなど、グローバルでのブランド価値向上を目指すとしている。

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　これらのカテゴリーについて、同社の富永満之社長は「オニツカタイガーにおいては、昨年パリでイベントを開催するなど、ヨーロッパでの取り組みをきっかけに日本でも売り上げを伸ばしたほか、スポーツスタイルもコラボレーションを発端に成長したりと、徐々にライフスタイルシーンで受け入れられるようになった。今後もイノベーションを通して更に売上を上げていきたい」と意気込んだ。

◆パフォーマンスカテゴリーも大幅増収　東京開催の世界陸上に期待

　テニスやインドアスポーツを軸に展開している「CPS（コアパフォーマンススポーツ）」カテゴリーでは、欧州や中華圏、東南アジアなどの地域で2桁増。同カテゴリーではテニスに注力してるが、富永社長は「テニスにスター選手が多いことや、ライフスタイルスポーツの典型で、子どもから大人まで楽しめるスポーツであること、近年ではテニスに似たピックルボールやパデルが北米やヨーロッパで流行していることなどからテニスに注力している。まだまだ成長の余地があると見ている」と話した。

　全地域で2桁増収となった「P.RUN（パフォーマンスランニング）」は、主に北米で展開しているランニング専門店での売上高が38.6％増となり、12月の北米地域での販売シェアが前年同期の3位から2位へと上昇。富永社長は、今年1月の箱根駅伝でシェアが拡大したことについても言及し「箱根だけではなく、各大会において『メタスピード（METASPEED）』シリーズがアスリートの皆さんから高い評価をいただいている。今年9月には東京で世界陸上が開催されるので、オフィシャルパートナーとして、引き続きアスリートの皆さまのパフォーマンスをサポートしていく」と力強くコメント。世界陸上に加え、テニス4大大会や東京2025デフリンピックといった主要スポーツイベントが国内で開催されることを受け、さらなる成長に期待を寄せた。

　会見では、一般財団法人「ASICS Foundation」の設立も発表。運動・スポーツに関わる社会課題に取り組むことを目的に、スポーツインフラの整備やスポーツ用品の提供などを行うという。財団設立に至った理由について、富永社長は「通常のビジネスでは経済的に厳しい方々を支援するのは難しい。利益率が高くなっている今だからこそ、同財団によるサポートを通して、アシックスのブランド哲学である『Sound Mind, Sound Body（健全な身体に健全な精神があれかし）』を体現したい」と話した。