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資生堂24年12月期、日本の成長は継続 引当金の計上で108億円の最終赤字に

資生堂24年12月期、日本の成長は継続 引当金の計上で108億円の最終赤字に

 資生堂が2024年12月期の連結決算を発表した。売上高が前期比1.8%増の9905億8600万円、コア営業利益が同8.7%減の363億5900万円、親会社の所有者に帰属する当期損益は108億1300万円の赤字(前期は217億4900円の黒字)と増収減益だった。日本や欧州で注力ブランドが力強く成長し、注力ブランドも順調に軌道に乗っていたもの、早期退職プランなどを含むグローバル構造改革の実施により288億円を計上したことに加え、2021年に譲渡した「ベアミネラル(bareMinerals)」「ローラ メルシエ(LAURA MERCIER)」「バクサム(BUXOM)」の売却対価が回収できない可能性が生じたため、引当金128億円を計上。これにより、昨年11月に発表していた業績予想の黒字から一転して赤字での着地となった。

 事業別の売上高は、日本事業が同9.2%増(実質9.5%増)の2837億7600万円だった。「SHISEIDO」の「バイタルパーフェクション(VITAL PERFECTION)」がグローバルで好調だったほか、“ファンデ美容液”が引き続き人気をけん引し、新規・若年層開拓に貢献。「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」はアイコン美容液のリニューアルが奏功し、「エリクシール(ELIXIR)」や「d プログラム」も年間で2桁成長するなど、強いブランド基盤の構築に向けた投資の選択と集中が実を結んだという。

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 中国事業は同0.8%増(実質4.6%減)の2499億5200万円で着地。厳しい市場環境が継続したものの、「ナーズ(NARS)」のメイクアップ、「アネッサ(ANESSA)」、クレ・ド・ポー ボーテが中心となり足元を支えた。SHISEIDOはエイジングケアライン「フューチャーソリューション LX」が好調だったが、全体では苦戦。大型Eコマースイベントである「ダブルイレブン」でクレ・ド・ポー ボーテがランキングを上げるなどシェア拡大の流れもあり、「楽観視はできない」(藤原憲太郎 取締役 代表執行役 社長 CEO)としながらも、今期はル・セラムのリニューアルの導入を計画するなど、「付加価値のある商品を強みに質の高い成長を狙う」とした。トラベルリテールは訪日旅行者の増加により日本では堅調だったものの、基盤となる中国海南島・韓国での消費の大幅減少を受け、18.6%減(実質23.8%減)の1078億3400万円となった。

 欧州事業はSHISEIDOやナーズが伸長し「ナルシソ ロドリゲス(narciso rodriguez)」や「イッセイ ミヤケ パルファム(ISSEY MIYAKE PARFUMS)」の新作が好調をけん引し、同13.4%増(実質8.2%増)の1326億6500万円を計上。米州事業はナーズや「トリー バーチ(TORY BURCH)」が増収だった一方で、「ドランクエレファント(DrunkElephant)」が一時的な生産減や出荷減が発生したため売上回復が遅延し、同7.5%増(実質7.0%減)の1185億4700万円となった。アジアパシフィック事業では、台湾で市場鈍化の影響を受けたが、タイを中心とする東南アジア地域がけん引。アネッサ、クレ・ド・ポー ボーテ、フレグランスが成長し、同6.5%増(実質2.5%増)の716億5000万円で着地した。

 同社では、昨年11月に経営改革プランを発表。売上1000億円を超えるSHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテ、ナーズをコア3、次世代の1000億円ブランドとしてアネッサ、エリクシール、ナルシソ ロドリゲス、イッセイ ミヤケ パルファム、ドランク エレファントをネクスト5と設定し、SHISEIDOのサンケアカテゴリーを合わせて2025〜2026年の累積で300億円規模のマーケティング投資を行うほか、コスト構造改革を掲げ、2025年にかけて400億円超え、2026年は250億円規模を目標としたコスト削減を推進している。前期は日本と中国を中心に大幅なコスト削減を行ったほか、2022年末比でSKU数を約20%削減するなど収益改善を実行。主に高付加価値商品を対象とした戦略的な値上げを行うなど、持続的な高収益構造の構築へと舵を切った。

 今期について、藤原社長CEOは、「2025年は対象をグローバルに拡大し、厳しい決断をしながら、成長につながる構造改革を完遂させていく。迅速な行動力でアクト アンド デリバーな成長体質を構築していく」と意気込む。前期まで日本と中国を中心としていた構造改革をグローバルに波及。2024〜2025年累計で400億円のコスト低減実現へ向け、廣藤綾子 代表執行役 チーフファイナンシャルオフィサー チーフ DE&I オフィサーが直接指揮を執る。構造改革およびコスト削減で積み上げた成果は、2026年の第2四半期を目処に回収できる見通しだという。

 商品面では、コア3・ネクスト5への積極投資を継続。社名を冠したSHISEIDOはブランド独自価値創造を引き続き強化し、ほぼ全世界同時ローンチとなる5代目「アルティミューン」や、次世代マイクロニードルを採用した「ビオパフォーマンス」シリーズの新作、次世代ミネラルサンスクリーン技術を搭載したサンケアに期待を寄せる。また、中国・米州それぞれで人気のカテゴリーを強化するなどローカル戦略も進める。そのほか、クレ・ド・ポー ボーテの新セラム「ハク(HAKU)」のアイコン美容液リニューアルなど、同社の強みである最先端のサイエンスを応用した商品群で成長を図るとした。ナーズではライトリフレクションシリーズの成長拡大や、グローバルでのコンシーラー再強化に加え、昨年リニューアルしたチーク「ブラッシュ N」のイノベーションキャンペーンを実施するなどで底上げする。

 そのほか、米州でドランク エレファントのオープンセル販売(セミセルフ)やDtoCビジネスの拡大を図り回復を狙う。欧州では3月に「ザディグ エ ヴォルテール(ZADIG & VOLTAIRE)」の新フレグランスを発売予定。アジアパシフィックでアネッサとフレグランスカテゴリーの成長を加速させ、インドの成長基盤を強化などに取り組む。

 2025年通期業績予想では、売上高が前期比0.4%増(実質4%増)の9950億円、コア営業利益が同0.4%増の365億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は60億円の黒字(前期は108億円の赤字)を見込む。

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