「ジル サンダー（JIL SANDER）」が、大手ビューティ企業のコティとの提携により、ブランド初のプレミアムフレグランスコレクション「オルファクトリー シリーズ」を発表した。6種の香りをラインナップし、価格は100mLで各4万3780円。ジル サンダーの銀座、表参道、京都BAL、公式オンラインストアで先行販売中で、今後展開店舗の拡大を計画している。

　オルファクトリー シリーズのコンセプトには、「明確さ」を掲げる。植物学とテクノロジーを融合させ、6つのミニマルでユニセックスの香りを生み出した。魅惑の香料で知られるアルデヒドをすべての香りに配合し、そこに再生利用したアルコール炭素排出物、水を掛け合わせた。この3つの天然成分の洗練された組み合わせで、独特の香りへと昇華させ、立ち昇る香りをまとう姿まで表現したという。

　コレクションのインスピレーションの土台となるのは、「目に見えない自分自身」を表現すること。ジル サンダーのデザインコードである衣服の裏側やブレスレットの内側の仕上げのような秘められたディテールのエッセンスを取り入れ、繊細な力強さを引き出し、違う自分を見つけるためのフレグランスとして提案する。

　6つの香りは、5人の著名な調香師とそれぞれ共同で制作。ジュリー・マッセが手掛けた「リーフ オードパルファム（LEAF EAU DE PARFUM）」はアルデヒドにシトラスとマンダリン、アップサイクルされたキーライム、 CO2抽出されたカルダモン、インド産のコーンミントを組み合わせ、青々しさとインパクトのある、シャープさとソフトさが共存する香りへと仕上げた。同じくマッセによる香り「アース オードパルファム（EARTH EAU DE PARFUM）」は、アップサイクルされたダマスク・ローズのアブソリュートエッセンスと、フランス・グラース産のセンティフォリア・ローズという2種類のバラの繊細な特徴に、湿り気のある土っぽいパチュリの葉のノートを融合。みずみずしくも躍動感のある、現代的なシプレローズの香りを生み出した。

　フローラルアンバリー系の「コーヒー オードパルファム（COFFEE EAU DE PARFUM）」はポール・ゲランとの共作で、アルデヒドによる鮮やかで華やかな様相が、CO2抽出されたコーヒー豆、アップサイクルされ、3年がかりで熟成したオリスの根、エルサルバドル産のペルーバルサムを横断。朝日が差し込む中、入れたてのコーヒーが漂うかのような情景を醸し出す。

　マチルド・ビジャウイによる「ミエル オードパルファム（MIEL EAU DE PARFUM）」は、アルデヒドのシャープな微粒子と、アップサイクルされたシダーウッド、マダガスカル産のベチベルソウ、CO2抽出されたジャスミン（オオバナソケイ）が溶け合い、より晴れやかで多層的、輝きのあるフローラルノートに仕上げた。

　「スモーク オードパルファム（SMOKE EAU DE PARFUM）」はベレニス・ワトーとの共作。アップサイクルされたシダーウッド、スペイン産のケード、CO2抽出されたエレミのがウッディでスモーキー、スパイシーなノートを醸し出し、クリーンで多層的なアルデヒドが加わることで、男性的でありながら女性的という謎めいた鮮やかな香りを生み出した。

　「ブラック ティー オードパルファム（BLACK TEA EAU DE PARFUM）」は、ナタリー・ローソンが調香。アルデヒドが中国産のキンモクセイやアップサイクルされたスリランカ産のシナモン、ブラックティーの温もりを強調する。キンモクセイの温かみとなめらかな心地よさに、スモーキーなブラックレザーの色調を帯びた香りを表現した。

　フレグランスボトルは、ミラノのロッテルダムを拠点とするデザインスタジオ「フォルマファンタズマ」とのコラボレーションで制作。デザイナーと熟練したガラス製造者が時間をかけて試作を重ね、それぞれボトルは有機的で非対称な形で、独自のガラス配分によって製造した。よく見ると分かる、不規則な不完全さをあえて残し、香りを自分の個性として映し出すように、すべてのボトルを唯一無二のものにデザインした。また、容器を覆う鐘型の白いアルミ製のキャップは、日光や照明から香りを守るという実用性とともに、香りをまとうためにキャップを外す動作が“自分だけの貴重な作品”を大切に手にとるような、美しい仕草を同時に生み出す。

　なお、ジル サンダーとコティは、2023年に今後10年間の契約延長を発表している。

■ジル サンダー：公式サイト