カジュアルファッションの王道アイテム「パーカー」。スカートやパンツなど、どんなボトムスにも合わせやすい便利なアイテムですよね。素材やデザインが幅広く、身近なアイテムとして人気ですが、ここ数年でファッション誌やアパレルショップなどでよく目にするのが「フーディー」という言葉。一見すると「パーカー」の言い換えであるように思いますが、実は語源が異なります。今回は、パーカーとフーディーの歴史、代表的な形や素材に加えて、今季の着こなしについて紹介します。
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パーカーとは
実は日本語のパーカーは和製英語。イヌイット語の「Parka」が語源にあたり、元々はアザラシやトナカイなどの動物の毛皮で作ったフード付きの防寒着のことを指しています。日本においては、薄めの生地のフード付きスウェットのこともパーカーと呼びますが、欧米でパーカーというと、防寒着としての意味合いが強く、モコモコとしたフード付きのものや、かなり厚手で防風機能もあるアウターのことを指します。
フーディーとは
フーディーの正式名称は「フーデッドスウェットシャツ」で、フードの付いたスウェットのことを指す言葉です。1930年代のニューヨークで誕生した労働者の作業着のことです。海外ではフードのついたインナーやトップスの総称として「フーディー」と呼ぶことが多いようです。海外では、パーカーとフーディーを明確に区別していますが、日本ではまだまだフード付きのスウェットシャツを指す言葉としてパーカーが使われており、フーディーとの使い分けは曖昧なようです。
それぞれの歴史
パーカーは英語ではなく、和製英語。その語源はアラスカやカナダ北部で暮らすイヌイット民族の言葉で「Parka=動物の毛皮」という意味があります。彼らは氷点下30度の極寒の地で生き抜くため、アザラシやトナカイなどの動物の毛皮を利用し、頭からすっぽりフードを被れる防寒着を作ってきました。パーカーが一般的にファッションとして取り入れられるようになったのは、1980年代。登山やスキーなどのアウトドアスポーツにおける防寒用上着として使用されるようになりました。フーディーは前述のとおり、1930年代のアメリカのスポーツ衣料メーカーが開発し、ニューヨークで販売したのが始まりとされています。「hood=頭巾」という単語が由来です。倉庫で働く労働者の作業服として長く販売されていたフーディーですが、1970年代には、ヒップホップアーティストたちが着用したほか、1976年の映画『ロッキー』が公開され、主人公がフーディーを着てトレーニングする姿が人気を博したことにより、ファッションとして着られるようになりました。
代表的な形は2種
ジップアップ
ジップアップは、前部中心にファスナーが配置されており、着脱が容易で、温度調節をしやすいのが特徴です。近年ではUVカット加工などが施された商品も販売されています。ゆったりしたものからタイトなものまでシルエットの種類も豊富で、着こなし方もさまざまです。ファスナーの位置を少し、または全部下せば、インナーを活かしたコーディネートができます。ファスナーのスライダーが上下2つあるダブルジップアップタイプやファスナーそのものが大きく、デザインのアクセントとなるメガジップタイプ、胸元まで開閉できるファスナーが特徴のハーフジップタイプもあります。機能性だけでなく、ファッション性を重視したものが多いため、好みやコーディネートに合わせて選ぶことができます。
プルオーバー
プルオーバーは、頭から被るタイプの形状です。単体でコーディネートが完結するため、インナーを選ばずに着ることもできます。ゆったりとした着心地とカジュアルな雰囲気が魅力。ジーンズやチノパンと合わせて、カジュアルに着こなしたり、スカートと合わせてフェミニンに着こなしたりと、様々なスタイルを楽しめます。近年では、プリントや刺繍、パッチが施されたデザインが流行しています。特にストリートファッションにおいては、大きめのロゴやグラフィックが人気です。また、オーバーサイズやボックス型のシルエットもトレンドとして注目されています。
パーカー(フーディー)といえばこの素材
スウェット
スウェットとは、綿(コットン)をメリヤス編み(ジャージー織り)にしたニット生地のこと。表と裏で質感が異なり、表面は編み目が細かく滑らかなのに対し、裏面はタオル地のような質感や起毛感のある素材、ストレッチ性に優れているのも特徴です。また、裏面の仕上がりにより「裏毛」と「裏起毛」の2つに分けられます。裏毛は裏パイルとも呼ばれている生地で、程よい厚みがあり、裏毛を用いたアイテムはモコモコしにくく、すっきりとしたシルエットになるのが特徴です。吸水性も高く、快適な着心地が期待できます。一方で、裏起毛は裏フリースとも呼ばれ、生地の裏面が起毛したスウェット生地を指します。裏毛よりも多くの空気を含むことができるため保温性が高く、秋冬のアイテムに使用されることが多いです。
フリース
フリースは、ポリエチレンテレフタレート(PET)と呼ばれるポリエステルの一種から作られた起毛素材で、さまざまなファッションアイテムに幅広く使用されています。ポリエステルは通気性に優れているため、水分を吸ってもすぐに乾きます。そのため、洗濯後の乾燥はもちろん、汗の発散も早いので、フリースパーカーは春・秋はアウター、冬はインナーとして重宝する素材です。また、水に強く、速乾性があり、シワにもなりにくい素材なので、基本的にアイロンがけが不要なのも気軽に使えるポイントです。
今季らしい着こなし方
今季も昨年に引き続き、オーバーサイズやビッグシルエットのパーカー(フーディー)の人気が継続中。シャツの上にニットやスウェットを重ねるなどのレイヤードスタイルやキャップ、スニーカー、ブルゾンなどのスポーツテイストのアイテムを取り入れた着こなしがトレンドとなり、インナーの色や丈感によってバランスを調整するリラックス感がありながらも洗練された雰囲気を融合させたコーデが人気を集めています。ゆったりサイズであれば、ボトムスはスキニーパンツやセンタープレスパンツ、ミニ丈ボトムス、スカートならタイトスカートや細身のフレアスカートが相性抜群。上下どちらもダボッとしているとだらしなく見えてしまうため、ボトムスでコンパクトなシルエットのものを選び、バランスを調整しましょう。小物はカチッとしたハンドバッグやヒール、ローファー、ツヤのあるパンプスなどきれいめなものを合わせてメリハリを。柄物のスウェットアイテムには、落ち感のあるプリーツスカートを合わせると落ち着いた大人の女性の雰囲気に仕上がるでしょう。ダーク系、スモーキーな小物で合わせれば上品さもプラスされます。
いかがでしたでしょうか。インナーからアウターへとオールシーズン活躍してくれるパーカー(フーディー)は一着持っておくと安心ですが、ラフに着られる定番アイテムだからこそ、コーディネートがマンネリ化しがち。シルエットの大きさに注目してボトムスを決めれば、全体としてバランスが取れたコーディネートになります。 秋冬から春にかけてのマストアイテムで、さまざまな着こなしを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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