■米国には様々な食品スーパーがあるが、地元民が誇る「おらが町のスーパー」で最も名前に上がりやすいのがHEBだ。
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HEBはテキサス人(テキサン)の誰もが誇る「おらが州のスーパー」なのだ。なぜなら国内ではテキサス州しか展開していないからだ。
アラスカ州についで2番めに広いテキサス州は、メキシコから独立した1836年からアメリカ合衆国に併合される1845年までの9年間、「テキサス共和国」として独立していた時期があった。
このような歴史的な背景もありテキサンは、テキサス共和国時代の国旗を州旗にし、強い帰属意識をもっているのだ。
州旗にある一つ星が人目を引くことからローン・スターの名で知られ、州のニックネームは「ローンスター・ステート」となっている。
創業から120年近い歴史をもつHEBはテキサス州のみで展開し、テキサンが誇るスーパーマーケットチェーンになっているのだ。
メキシコを含めれば約430店を展開するHEBは数年前までテキサス州内でも南部に集中展開していた。
本社のあるサン・アントニオ地区を中心にオースティンやヒューストンに店舗が集中していた。
それがここ3年ほどでテキサス北部となるダラス・フォートワース都市圏でのオープンを一挙に進めているのだ。
HEBは2022年9月、ダラス郊外フリスコ地区(4800 Main St, Frisco, TX 75033)に111,000平方フィート(約3,100坪)でオープンした。
フリスコ市はダラス・フォートワース都市圏で働く専門職階層のベッドタウンとして急成長しており約20万人が住んでいる。
同年11月にはプレイノ地区(6001 Preston Rd Suite 100, Plano, TX 75093)にも118,000平方フィート(3,300坪)で出店している。
2023年7月にはマッキニー地区(8700 Eldorado Pkwy, McKinney, TX 75070)に118,000平方フィート(3,300坪)でオープンした。
また同年10月にはアレン地区(575 E Exchange Pkwy, Allen, TX 75002)に111,000平方フィート(3,100坪)でオープン。
2024年に入っては4月にフォートワース近郊のアライアンス地区(3451 Heritage Trace Pkwy, Fort Worth, TX 76177)に117,000平方フィート(3,300坪)で出店。
昨年6月にはマンズフィールド地区(1670 E Broad St, Mansfield, TX 76063)にダラス・フォートワース都市圏では最大級となる128,000平方フィート(3,600坪)でオープンしているのだ。
HEBのダラス・フォートワース出店攻勢は続いており昨年8月にはフリスコ地区に2番目の店舗(9700 Wade Blvd.Frisco, TX 75035)が120,000平方フィート級でオープンしている。
他にもメリッサ地区、プロスパー地区、ロックウォール地区、アービング地区にも「近日オープン(Coming Soon)」と出店計画が進んでいるのだ。
これらのダラス・フォートワース都市圏でのHEBには共通した特徴がある。
3,000坪以上にもなる広さにはグローサントの「ツルーテキサスBBQ(True Texas BBQ)」があり、BBQに強いこだわりをもつテキサンの胃を満たしているのだ。
しかも店内ではテキサンの誇りを「テキサス・プライド(Texas Pride)」「テキサス・タフ(Texas Tough)」で刺激しているのだ。
さらにHEBの新店ではさらなるネットスーパー成長を見越した倉庫併設型店舗になっている。
カーブサイド・ピックアップや宅配などネット注文品を一時的に保管する場所が広く取られている。その結果3,000坪を超える店舗になるのだ。
どれだけビッグビジネスになっているかはカーブサイド・ピックアップの駐車スペースを数えれば理解できる。
駐車記号はA~Zのアルファベットで示されており26台の他にAA、BB、CC、DDと30台までのスペースを確保しているのだ。
テキサス州の北部となるダラスも夏場は猛暑となる。移動手段が車しかないテキサスでは、スーパーでの買い物も大変な仕事になるのだ。
したがって他の地域よりネットスーパーが盛んになっていることは容易に想像できる。
米国のネットスーパーの実情を探りたければHEBを視察するとよい。同時にテキサンがあまり歩かないことも理解できるかもしれないのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。HEBは2022年10月、サンアントニオ地区にて次世代セルフチェックアウトレジ「ファスト・スキャン(Fast Scan)」の実験を始めています。サンアントニオ郊外のHEBプラス・シャーツ店(17460 I-35 N, Schertz, TX 78154)でテストされているファスト・スキャンで特徴的なのは、万引き防止策の重量ステーションがあることです。利用者はお店の入り口近くにあるスキャナーを手にとり、購入する商品のバーコードを一つ一つスキャンしショッピングカートに入れていきます。決済前に重量ステーションとなるファスト・スキャンにショッピングカートを置き(カゴ用の重量ステーションもあります)、表示されているQRコードをスキャンーでスキャンするのです。ファスト・スキャンとスキャナーが同期することで、ショッピングカートの重量を割り出します。計算以上にショッピングカートが重い場合は「重量の不一致」を表示させて、スタッフに知らせます。スキャンしていない商品がカート内にあることで、万引きの可能性を示唆するものです。
ただファスト・スキャンは知る限り1店舗のみで予想に反してHEBの同DXは進んでいない印象です。若干、使いづらそうな印象がありますからねぇ。
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