パルコが2025年春シーズンの広告を公開した。クリエイティブディレクターには、「ルイ・ヴィトン（LOUIS VUITTON）」や「プラダ（PRADA）」、「モンクレール（Moncler）」などのキャンペーンを手掛けたことでも知られるレスリー・チャン（Leslie Zhang）を日本企業として初めて起用している。

　同広告のタイトルは「春叙（チュンシュ）」。1990年代の上海を舞台に、似た者同士の2人が手紙を通じて出会い、恋をする様子を描く。伝統と新しい文化が巡っていた当時の空気感を表現し、情報が錯綜する現代では⾒落としてしまうような⽇常にありふれた美しいものや幸せなもの、嬉しいことを見出せるような作品に仕上げたという。4月中旬に公開予定の夏シーズンのムービーでは、同ストーリーのエンディングを描き、2シーズンを通してストーリーが完成する。

　レスリー・チャンは、今回の作品に込めた思いについて「私が育った1990年代のころの、シンプルな愛のかたちをもう一度見つめ直したいと思いました。手紙を書くということは、純粋な思いを表現するとてもシンプルな方法でした。この作品を通して、誰もが抱いていたであろう繊細な気持ちや思いを、中国で生まれ育った私と同世代の人たちだけではなく、世界中の人々に思い起こしてもらいたいと思っています」とコメントしている。

　同氏は1992年、中国・揚州生まれ。写真や映像、セットデザインを手掛けるクリエイティブスタジオ「FuFu」をプロデューサーのアダム・チェンとともに主宰している。2018年にはBritish Fashion Awardsで「NEW WAVE: Creatives（ファッション業界で最も注目すべきクリエイター100人）」の1人に選出。中国の伝統的な要素と現代的な文化を融合した作風で、さまざまなブランドのキャンペーンを手掛けている。