PANTONE社による2024年の流行色「ピーチ・ファズ」と日本流行色協会による流行色「ハロー!ブルー」
一粒万倍日と天赦日、天恩日が重なる奇跡の最強開運日で幕を開けた2024年。さまざまなトレンドが目まぐるしく移り変わるビューティ業界は、新年の幕開けの元旦に発売になるアイテムも多数ある。2023年の業界の動きや、すでに発表されている春コスメ、新商品情報、日々の取材活動から、2024年の注目トピックをピックアップ。
メイクアイテムもプレステージ品が登場か?
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ハイプレステージ、プレステージ市場はコロナ禍を経てさらに市場が拡大。各社のが注力分野のひとつとして、より開発に力を入れている。主流はスキンケアカテゴリーのエイジングケアで、1万円以上10万円を超えるアイテムも続々登場している。
ハイプレステージ、プレステージブランドといえば、30代以上、コアターゲットは40代以上が中心となるが、コロナ禍のオンライン会議やおうち時間の充実で肌を見つめ直す時間が増えたことで、より肌そのものへの関心が高まっている20代でも、「高くても効果のあるものに投資する」といった消費者動向が見られる。それを裏付けるように、幅広い層のコメントから決定する、「@cosme ベストコスメアワード 2023」では総合トップ10のうち7アイテムがプレステージブランドが占め、1万円を超える3アイテムがランクインした。
そしてこのハイプレステージの波は、メイクカテゴリーにも。これまでリップカテゴリーでは「トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)」や「シャネル(CHANEL)」などで8000円前後、「エルメス(HERMÈS)」の限定色が1万円台でこのあたりが高価格帯だったが、2023年はそのエルメスが同1万4300円のアイシャドウ「オンブル ドゥ エルメス パレット クワテュール」を、さらにはシャネルが美のオブジェに昇華させたリップ「トランテアン ル ルージュ(31 LE ROUGE)」(同2万5300円)を発売。そのほか「ディオール(DIOR)」が日本未発売ではあるが、約8万円の「ルージュ プルミエ」を展開し、“ラグジュアリーを超えたラグジュアリー”なメイクアップが次々と発表された。
ただ、スキンケアは年を重ねることに感じるエイジングにアプローチしたいニーズに対し、「使い続けることで感じる変化」「効果を期待させる技術や成分」「より内側から輝く肌」を求めて“投資”する一方で、メイクアイテムに同じ実感を求めるわけではない。ある意味、メイクアイテムには価格よりも、さまざまなカラーや質感を楽しみたいから、百貨店ブランドからプチプラブランドまで多くのブランドを試したいというニーズも根強いのではないか。また2023年年末にかけ発表された各ブランドの春コスメを見ても、これまで以上の高価格帯のアイテムは発表されておらず、2024年すぐにより高価格帯にシフトするとは考えにくい。
今まさに、リップやアイシャドウでスキンケア効果を高めたアイテムの提案も増えていることから、エイジングケアのニーズにもメイクアップで叶えることができそう。その上で、ラグジュアリーなメイクアイテムを持つ高揚感のニーズが高まれば、ラグジュアリーメイクアップ市場も活性化しそうだ。
“24時間365日”スキンケアがルーティーンに
2023年のベースメイクで特にファンデーションや日焼け止めは、「スキンケア発想」がトレンドだった。「メイクをしている日中もスキンケアができる」のは当たり前の時代に。美容・スキンケア成分を高配合したものや、美容液のようになめらかに肌になじみ、心地よい使用感を追求したもの、同ブランドの「スキンケアと同じ美容成分やテクノロジーを採用した」と謳うものまで続々と登場。実際の反響・売れ筋でも、2023年に登場した︎"美容液ファンデ”は好調だというブランドの声が多数だった。各社のベストコスメでも、ファンデーション部門はスキンケア力を評価したものが多く見受けられた。
(参考)“スキンケア発想”や高配合のスキンケア成分を訴求する製品
ファンデーション
・SHISEIDO
・スック(SUQQU)
・ボビイ ブラウン(BOBBI BROWN)
・カネボウ(KANEBO)
・アディクション(ADDICTION)
・ルナソル(LUNASOL)
・シュウ ウエムラ(shu uemura)
・インウイ(INOUI)
・セルヴォーク(Celvoke)
・ジバンシイ(GIVENCHY)
日焼け止め・UVケアアイテム
・イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)・
・ゲラン(GUERLAIN)
・オバジ(obagi)
・コスメデコルテ(DECORTÉ)
・ポーラ「B.A」
※2024年発売が決定しているものも含む
さらに2023年は、日中のケアに対する意識が広まるとともに、朝自宅で準備を済ませるベースメイクや日焼け止めだけではなく、「外出先」での「追いケア」にも注目が集まった。花王の「ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトミスト」は、ミストタイプの日焼け止めで外出先での「塗り直し需要」と手軽さで人気となり、2023年2月の発売から6ヶ月弱で累計出荷数量600万本を突破するほどのヒット商品に。また「イプサ(iPSA)」の「ザ・タイムR デイエッセンススティック」はスティックタイプの美容液で、持ち運びしやすさと肌へのなじみやすさで外出先での保湿ケアアイテムとして例年人気のアイテムだ。
2024年、すでに発表されているメイクアップでも、“スキンケア成分配合”“スキンケア発想”のアイテムはこれまで以上に多く見受けられる。意識せずして“24時間365日スキンケア”ルーティンが当たり前の年になりそうだ。
美容医療(メディカルビューティ)とのシナジーを狙った動きが活発
「ダーマコスメ」の注目が高まっている。ダーマコスメとは、「皮膚科医(ダーマトロジスト)」+「化粧品(コスメティックス)」の造語で、皮膚科学発想・皮膚科医との協力によって生まれた化粧品のこと。皮膚の専門家が扱うプロフェッショナルなコスメのイメージから、日本でもダーマコスメやドクターズコスメのニーズは昔から高い。さらに近年ではコロナ禍でマスク着用による肌荒れやストレスから、よりダーマコスメ・ドクターズコスメを求める人が増加。同時に、美容医療もSNSでの情報拡散から目にする機会が増えたこと、またコロナ禍でマスク着用やリモートワークの日常化で、「施術後のダウンタイムを誤魔化せる」と、美容医療への注目が集まっている。
化粧品メーカーでは以前から、美容クリニック専売品の販売や、クリニックと協業したコンテンツや共同製品の開発なども行なってきた。例えば世界最大手のロレアル(L'OREAL)は、ダーマコスメとして「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE-POSAY)」などを擁していて、2020年には日本のクリニック発ブランド「タカミ(TAKAMI)」を買収した。2023年はActive Cosmetics事業部の名称を、Dermatological Beauty Divisionに変更して強化し、同社の2023年1〜6月決算で同事業部の売上高は前年同期比29.0%増の32億8400万ユーロ(約5150億円)と大きく伸長した。
そして2023年は、日本の化粧品メーカーによる美容医療とのシナジーを狙った動きがあった。資生堂は中国形成外科領域の権威上海第九人民医院とパートナーシップを締結したほか、アメリカの皮膚科医発スキンケア「Dr. Dennis Gross Skincare」の買収を発表し、日本にとどまらないグローバル市場でのダーマコスメトレンドを追求し、美容医療市場とのタッグを強めた。ポーラ・オルビスグループは新会社ポーラメディカルを設立し、メディカルコスメシリーズ「ダイヴ(Dive)」をローンチ。同会社では美容と医療の両面からのアプローチを掲げ、メディカルコスメのほか美容医療の現場のサポート事業も視野に入れている。これら2企業の2024年の動きにも注目だが、今後も化粧品メーカーのM&Aや協業によるダーマコスメや美容医療の領域への参入が行われそうだ。
TOPIC1
ベージュメイクブーム到来?「質感レイヤード」「上品」がキーワードに
コロナ禍ではマスクの影響で目周りのカラーメイクが流行したが、2023年は一転してベージュメイクの勢いが顕著になった。ファッショントレンドである「クワイエットラグジュアリー」が、ビューティにも波及。アイスタイルによるトレンド予測でも「クワイエットラグジュアリーメイク」が登場し、「低彩度」で落ち着きのあるカラーパレットで上品な印象に仕上げるのがポイントだという。
ベージュメイクは使いやすい「王道カラー」であり、定期的な周期でトレンドに上がってきたが、今の特徴はアイメイクのトレンドである「質感のレイヤード」と掛け合わせること。一見ナチュラルなのに立体感があり、繊細な雰囲気に。2023年のアイシャドウカテゴリーを賑わせた「RMK(アールエムケー)」や「イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」の新作は、異なる質感の4色をセットにしたアイシャドウパレットを展開し人気を集めた。
アイメイクだけではなく、リップにもベージュ系がトレンドに浮上。「ディオール(DIOR)」や「イヴ・サンローラン・ボーテ(Yves Saint Laurent Beauté)」はアイコンリップのリニューアルに合わせて、ヌードカラーのシェードを豊富にラインナップ。2000年代に流行ったベージュメイクは彩度を抑えたものが主流だったが、現在はほどよい血色感やツヤ感のあるのが特徴で、より上品な雰囲気を演出できるのが人気だった。程よい血色感やツヤ感は2024年もトレンド。このニーズを叶えるベージュ系は続き注目を集めそうだ。
TOPIC2
大手化粧品メーカーのインナービューティ強化、手軽さのニーズが上昇?
サプリメントやクリニックで処方される内服薬はこれまでもあったが、上記の通り美容医療のハードルが下がったことで、施術と組み合わせる「内側からのケア」提案に触れるユーザーが増えている。日本にさまざまな美容トレンドをもたらす韓国でも、インナーケアはトレンド。特に手軽に飲めるサプリが流行し、日本でも話題を集めた韓国で人気のドイツ発インナーケアブランド「オーソモル(orthomol)」が2023年末に日本展開を開始した。
資生堂は2022年にインナービューティブランド「インリュー(INRYU)」を立ち上げ、2024年はインナービューティ事業をさらに本格化させることを発表した。「外からも中からもケアする」トータルビューティの提案は、今後も美容業界全体で高まっていきそうだ。
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