(左から)レナータ・ブレナ、イェネサイ、ヤク、アモーメント
新しいファッションの創造は、ランウェイだけで起こっているわけではない。2024年秋冬パリメンズコレクションウィーク期間中に出会った、次の時代を担うアップカミングなブランドを紹介。第2弾は「アモーメント(AMOMENTO)」「レナータ・ブレナ(RENATA BRENHA)」「イェネサイ(Yenesai)」「ヤク(Yaku)」をフィーチャーする。
韓国発「アモーメント(AMOMENTO)」
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韓国のセレクトショップ「SHOP AMOMENTO」のオリジナルブランドとして2016年に誕生。今年1月のパリ・メンズファッションウィーク期間中、マレ地区にある天井から自然光が差し込むギャラリーを"HOME"に見立て、初めてパリでプレゼンテーションを披露した。
1階の中央に置かれたベッド、吹き抜けを貫くパッチワークが施されたカーテン、黙々と毛糸を編む女性――童話的でありながら親密さを醸し出すセットデザインは、バルセロナ在住のアーティスト、イザベラ・キローラン(Isabella Killoran)によるもの。ドレスやセットアップにはシーツのような織物、ヘッドバンドやケープにはボアが印象的に使われた。ディレクターのイ・ミギョンの個人的な感情や経験の瞬間から生まれたというコレクションは、白昼夢にいるような詩的な雰囲気をまとっている。
ブラジルのエナジー「レナータ・ブレナ(RENATA BRENHA)」
ブラジル出身のデザイナー、レナータ・ブレナによって、2019年にロンドンでスタート。繊細なプリーツや手作業によるスモッキングのドレスやシャツに、ブラジルのエナジーが感じられるサッカーユニフォームを合わせるなど、一見すると相反する要素がミックスされたスタイリングが目を引く。
アップサイクルやリサイクルなどサステナブルな素材を使用し、クラフトのテクニックを惜しまずに用いることでアップグレード。それゆえ、多くの製品は一点ものだ。今回のコレクションでは、アップサイクルデニムのシリーズが新登場。そのイメージビジュアルは、故郷ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ近郊にあるジョアティンガ・ビーチで撮影された。
フューチャー&ノマド「イェネサイ(Yenesai)」
ロンドンを拠点とし、厳選されたテック素材と構築的でシャープなシルエットで、フューチャリスティックなノマドを表現。着る人の第二の皮膚となるよう、動きやすいカッティングで作られている。ブランド名は、世界最長の河川のひとつであり、数千年の歴史を持つ遊牧民文化の伝統的な生命維持システムである、ロシアに流れるイェニセイ川に由来。
今シーズンは、退廃的なコンクリート建築でブランド初のショー(オフスケジュール)を行い、28ルックを披露した。アフターパーティは、デヴィッド・リンチがデザインしたクラブ「サイレンシオ」で開催され、イヴ・トゥモアがDJプレイを披露するなど、エッジの効いたコミュニティを作り上げている。
現実とデジタルを行き来する「ヤク(Yaku)」
セントラル・セントマーチンズのメンズウエア修士を卒業した、ヤク・ステイプルトン(Yaku Stapleton)によるブランド。円谷英二の「ゴジラ」、オンラインゲーム「Old School RuneScape」、深海生物などからインスピレーションを得ながら、アフロ・フューチャリズムの視点、そして拡張現実、仮想空間、ゲームといったデジタル媒体を介してコレクションを制作する。
今シーズンは、ヤク自身の家族をRPGのキャラクターとして再現し、それをまた現実世界の衣服へと落とし込むという奇抜な方法でデザインをおこなった。ゆえに6本の腕、甲冑、モンスターの皮膚など、思わぬシルエットやテクスチャーの発想が生まれ、新しいデザイン領域へと踏み込んでいる。
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