(左から)TKA、モルデカイ、ウェストフォール、ホーティ
新しいファッションの創造は、ランウェイだけで起こっているわけではない。2024年秋冬パリメンズコレクションウィーク期間中に出会った、次の時代を担うアップカミングなブランドを紹介。第1弾は「モルデカイ(MORDECAI)」「ウエストフォール(WESTFALL)」「TKA」「ホーティ(Horti)」をフィーチャーする。
今季デビュー「モルデカイ(MORDECAI)」
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試験的なコレクション「シーズン0」を経て、今季デビューコレクションを発表した「モルデカイ」。クリエイティブ・ディレクターのルドヴィコ・ブルーノ(Ludovico Bruno)は、以前モンクレールの協業プロジェクト「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」にて、藤原ヒロシ、クレイグ・グリーン、マシュー・ウィリアムズといったゲストクリエイターと仕事をしてきた人物だ。
今回のコレクションで注目すべきは"軽さ"。身軽に旅をしたいというデザイナーの願望から始まり、余分な要素を可能な限り排除することで軽量化を図っている。流れるようにゆったりとしたフォルムには緻密に計算されたパターンワークが光り、コニャック、バーントブラウンといったカラーパレットや、超軽量のマットナイロン、カシミアのパシュミナといった素材使いも魅力。
パンクスピリット溢れる「ウェストフォール(WESTFALL)」
ロサンゼルス在住のアーティスト、ブレット・ウェストフォール(Brett Westfall)によるブランド。2023年春夏のデビューとともに、「コム デ ギャルソン・シャツ(COMME des GARÇONS SHIRT)」とコラボレーションを果たしたのも記憶に新しい。エッジの効いた色彩感覚、グラフィックデザイン、カットオフ、ハードなダメージ加工などパンクスピリットに溢れ、チームがアトリエで手染めしハンドステッチを多用するなど、プロダクトの細部にまで美学が吹き込まれている。
4シーズン目となる今季は、バッファローチェックのネルシャツやウォッシュドデニム、オーバーサイズのコートやセットアップなど、アウターウェアを拡充。初登場のケルベロス(=ギリシア神話に登場する番犬)のグラフィックは、ブレットの娘が手掛けたものだそうだ。
中尾隆志がパリで立ち上げた「TKA」
「ハイダー アッカーマン(HAIDER ACKERMANN)」、「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のウィメンズデザイナーとして活躍してきた中尾隆志が、パリを拠点に今シーズンからスタート。スイスのメーカーによる高級エンブロイダリーレースや、フロッキープリントのジャージーなどを使用し、イブニングウエアをカジュアルで現代的に落とし込んだ。
ミニマルなフォルムゆえにシンプルな作りに見えるが、細かいダーツによって立体感を持たせたり、マネキンの上で一度生地を寝かせ、重力で生地が伸びることを考慮するなど意匠を凝らしている。ウィメンズを想定したコレクションだが、ルックブックには男性モデルが起用され、アンドロジナスな雰囲気を醸し出す。
英アクセサリー・レーベル「ホーティ(Horti)」
イギリス人デザイナー、ホリー・シンプソン(Holly Simpson)によって設立されたロンドンのアクセサリー・レーベル。ホリーは「アレキサンダー マックイーン(Alexander McQueen)」「セリーヌ(CELINE)」「アリクス(1017 ALYX 9SM)」でウィメンズデザインを手掛けてきた。ブランド名の由来でもある園芸(Horticulture)からインスパイアされ、イギリスの国花であるバラをネクタイやブローチと融合し、英国のクラシカルなモチーフをチャーミングに昇華。シャツだけでなくカットソーなどとも合わせられ、身につける人の個性を際立たせる。印象的なキャンペーンフォトは、イギリスの写真家ロジー・マークス(Rosie Marks)が手掛けた。
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