日本最大級の学生向けファッションコンテスト「YKKファスニングアワード」、8600点以上の応募からグランプリが決定

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第24回「YKKファスニングアワード」の受賞者たち

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日本最大級の学生向けファッションコンテスト「YKKファスニングアワード」、8600点以上の応募からグランプリが決定

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 学生を対象とした日本最大級のファッションデザインコンテスト「YKKファスニングアワード」の授賞式が、11月6日に東京・両国のYKK60ビルで開催された。第24回となる今回のアワードでは、8608点に及ぶ応募の中から、アパレル部門では大阪文化服装学院の岩野蓮祐が、ファッショングッズ部門では文化服装学院のラ ショウカ(Lo Hsiang Hua)がそれぞれグランプリを受賞。会場では、入選作品30点によるファッションショーとともに、同アワード出身のデザイナー ワン チポン(WANG QIPENG)が手掛けるブランド「ブラリイスペース(BLURRY SPACE)」によるゲストコレクションも披露された。

 YKKファスニングアワードは、才能ある若いクリエイターたちが世界に向けて「ジャパンオリジナル」を発信し、グローバルに活躍することを願って創設されたファスナーメーカー YKK主催のファッションコンテストとして、2001年にスタート。ファスナーやバックル、スナップ&ボタンなどの「ファスニング商品」を活用した作品を対象に、「アパレル」「ファッショングッズ」の2部門に分けて審査が行われる。学生を対象とした日本最大級のファッションコンテストとして広く知られており、過去には「ホウガ(HOUGA)」デザイナーの石田萌や、「コッキ(KHOKI)」を手掛けるKoki、「ユウタセトガワ(YUTASETOGAWA)」の瀬戸川裕太などが受賞している。

 今回のアワードには、デザイナー・モデリストの坂口英明、アーティストの舘鼻則孝、デザイナーの廣川玉枝、藤田恭一、「WWD JAPAN」編集長の村上要、アーバンリサーチ クリエイティブディレクターの村手謙介の6人とYKK株式会社 代表取締役社長 大谷裕明が審査員として参加。授賞式後には、各審査員による作品講評が行われた。

 授賞式では、事前にノミネートされた入選作品30点をファッションショー形式で発表。物理の「作用・反作用の法則」を取り入れ、さまざまな場所にあしらったファスナーを開閉することでシルエットやデザインの変化を楽しめるドレスや、ファスナーを開けて中身を広げることでトレンチコートへと変貌するバッグなど、YKKの多様なファスニング商品とファッションの可能性を追求した作品の数々が披露された。

 アパレル部門でグランプリを受賞した岩野蓮祐は、「『個』としての美しさ」をテーマに作品を制作。ファスナーにストリング機能を持たせることで大胆なギャザーをあしらったベストとハーネス付きのキルトスカート、YKKの面ファスナー「POWERHOOK®」に切り込みを入れ、パズルのように織ったものをテキスタイルとして用いたブルゾンとショートパンツという2つのスタイルを組み合わせ、“ジェンダーにこだわらない在り方”を現代的解釈でスタイルに落とし込んだ。

 岩野は作品について「本当は一人ひとりの個人にそれぞれの名前や思い、人生があるにもかかわらず、『男』『女』『若者』『大人』といった属性で括られてしまうことに以前から違和感があった。よりフラットな考え方を反映することで、毎日“個”として自分の足で立って頑張っている人たちを讃える“人間讃歌”のようなものを作れたらという思いを込めた」と説明。通常は「オス」「メス」と呼ばれるパーツを上下に重ねて用いる構造の面ファスナーを、「上下関係ではなく並列の関係にしたい」との思いから考案したテキスタイルや、伝統的な衣装として男性がスカートを着用する文化があるスコットランドの「キルトスカート」から着想を得るなど、自身の思いと“ジェンダーにこだわらない在り方”のイメージを重ねながら、YKKのパーツを使ってどう表現できるかを模索したという。

 審査員の藤田恭一は、「この作品では、1970年代のパンクスタイルと1990年代のストリートスタイルが、ファスナーや『POWERHOOK®』というYKK商品の多様性とともに表現されている。従来の作品に多かった変身したり擬態化するような形ではなく、ファッション性のある新しいアプローチを持ち込むことで、“ハイファッション”を作り上げたことが素晴らしい」と作品を高く評価。それを受けて岩野は、「装苑賞に続いて今回も作品を評価していただけたことで、自分がこれまで服を作ってきた方向性やデザインの仕方、ものの見方は間違っていないんだ、続けてもいいものなんだと受け止めることができた。他にも良い作品がたくさんあった中で、グランプリに選出され本当に嬉しい」と受賞の喜びを言葉にした。

 ファッショングッズ部門でグランプリを受賞したラ ショウカは、「Protection」と題したトランスペアレントなトランク型のバッグ作品を発表。「AquaGuard®」コイルファスナーや回転バックルを用い、バッグの中央に球体のケースに入った水晶、くまのぬいぐるみ、四角いボックスに入ったアイスクリームなどを固定して持ち運べるようになっている同作品は、「私自身が父親から貰って大切にしている水晶をはじめ、生活の中にある美しく大切なものを、守りながらみんなと分かち合えたら」という思いをきっかけに制作したという。

 審査員の舘鼻則孝は「バッグは通常荷物を入れて持ち運ぶという用途が主だが、この作品は作者の記憶を守り、保管し、持ち運べるようなツールになっていて、ラさんにしか作れないストーリーが表現されている。本人が本当に大切にしているものや思いが詰まっているということが、とてもよく伝わってくる作品」と評価のポイントについて言及。ラは、「これからも自分が伝えたい思いを、日常的に使えるさまざまなバッグを作ることで届けていけたら」と今後の意気込みを語った。

 全体的にクオリティやレベルの高い作品が揃っていたという今回のアワード。舘鼻則孝は総評として、「特にアパレル部門では、グランプリにしてもいいと思う作品がいくつもあったため、どの作品を選ぶべきか全審査員がかなり悩んだ。それくらい皆さんのレベルが高いということなので、今回残念ながら賞を取れなかった入選者の方たちも、自分に自信を持ってこれからも頑張ってほしい」と入選者たちを鼓舞し、授賞式を締めくくった。

 また会場には、歴代の受賞者であるデザイナーたちも多く来場。学生たちによる熱意と創造性に富んだショーと授賞式を見ての所感を、5人のデザイナーに訊ねた。今回「Everlasting Problem」と題した、ファッション業界の環境問題に対する問いを投げかけるようなゲストコレクションを発表したワン チポンは、「今日のショーの作品からはデザインへの熱意を強く感じて、久しぶりにとてもワクワクした」とコメント。昨年のアワードでゲストコレクションを披露した「ユウタセトガワ」の瀬戸川裕太は、「本質的に新しいことをやるのはなかなか難しい中で、YKKのパーツが助けになって自身の作品が向上したり新しい表現が生まれたりするのが面白いなと改めて思った。このアワードを通じて出会った仲間やYKKの皆さんとの繋がりや交流が、いまだに続いているのもありがたい」と話した。

 文化ファッション大学院大学で教員を務め、今年から自身のブランド「ミキ イマムラ(MIKI IMAMURA)」をスタートした今村未来は、「これまで仕事として、学生やその作品に近くで寄り添う立場だったが、YKKのコンテストは、副資材の機能性や特性を考えながらデザインに落とし込むことが特徴。私自身もそうだったように、『製品を作る』という面で、学生時代にその第一歩として貴重な体験ができる機会だと思う」と言及。また、YKKの展示会「YKK FASTENING CREATION for 2025」で「METALUXE®」を用いたガーメントを制作した「ホウガ」の石田萌は、「皆さん本当にクオリティが高く、情熱を感じる作品が多くあったので刺激を受けた。完全に自由に作るのではなく、ファスニング商品を活かしたデザインを考えて作品を作ることが他のコンテストとは全く違うところ。だからこそ、パーツを起点に自分のデザインや考えが広がっていったり、新しい発想が生まれたりするところが魅力」と言葉にした。

 11月7日に自身のブランド「ルア(LUA)」を立ち上げたばかりのYASUOは、「審査員の方たちの講評を聞きながら、このコンテストではパーツの使い方をはじめとした物理的・動的な機能面だけでなく、“精神的な機能面”も評価のポイントになっていると感じた。ファッションにできることの一つは、着る人の精神に作用すること。そのことを自分も改めて再認識できた」と、ショーと授賞式から得た気づきについて語った。

■第24回 YKKファスニングアワード 受賞者一覧
<アパレル部門>
・グランプリ
 大阪文化服装学院 岩野蓮祐「『個』としての美しさ」
・優秀賞
 エスモード東京校 Yoon Myat Su Lin「Adapta Raincoat」
・審査員特別賞
 大阪文化服装学院 白草於登巴「LAUNDRY」
 名古屋ファッション専門学校 田中愛友「MT or AT」
・YKK特別賞
 文化ファッション大学院大学 呉耀祖「カメレオン」

<ファッショングッズ部門>
・グランプリ
 文化服装学院 Lo Hsiang Hua「Protection」
・優秀賞
 大阪モード学園 寺尾佳樹「MA-1 ニット帽」
・審査員特別賞
 国際トータルファッション専門学校 齋藤瑛莉花「HAND FAN bag」
・YKK特別賞
 エスモード東京校 村上諒天「二面性」

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第24回「YKKファスニングアワード」の受賞者たち

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ファッションショーフィナーレの様子

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アパレル部門 グランプリ 岩野蓮祐「『個』としての美しさ」

アパレル部門 グランプリ 岩野蓮祐「『個』としての美しさ」

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アパレル部門 優秀賞 Yoon Myat Su Lin「Adapta Raincoat」

アパレル部門 優秀賞 Yoon Myat Su Lin「Adapta Raincoat」

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アパレル部門 審査員特別賞 白草於登巴「LAUNDRY」

アパレル部門 審査員特別賞 白草於登巴「LAUNDRY」

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アパレル部門 審査員特別賞 田中愛友「MT or AT」

アパレル部門 審査員特別賞 田中愛友「MT or AT」

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7
アパレル部門 YKK特別賞 呉耀祖「カメレオン」

アパレル部門 YKK特別賞 呉耀祖「カメレオン」

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ファッショングッズ部門 グランプリ ラ ショウカ「Protection」

ファッショングッズ部門 グランプリ ラ ショウカ「Protection」

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9
ファッショングッズ部門 優秀賞 寺尾佳樹「MA-1 ニット帽」

ファッショングッズ部門 優秀賞 寺尾佳樹「MA-1 ニット帽」

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ファッショングッズ部門 審査員特別賞 齋藤瑛莉花「HAND FAN bag」

ファッショングッズ部門 審査員特別賞 齋藤瑛莉花「HAND FAN bag」

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ファッショングッズ部門 YKK特別賞 村上諒天「二面性」

ファッショングッズ部門 YKK特別賞 村上諒天「二面性」

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「BLURRY SPACE」によるゲストコレクション

「BLURRY SPACE」によるゲストコレクション

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「BLURRY SPACE」によるゲストコレクション

「BLURRY SPACE」によるゲストコレクション

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アパレル部門 グランプリ受賞の岩野蓮祐と作品

アパレル部門 グランプリ受賞の岩野蓮祐と作品

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アパレル部門 グランプリ 岩野蓮祐「『個』としての美しさ」のスチール

アパレル部門 グランプリ 岩野蓮祐「『個』としての美しさ」

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アパレル部門 グランプリ 岩野蓮祐「『個』としての美しさ」のデザイン画

アパレル部門 グランプリ 岩野蓮祐「『個』としての美しさ」のデザイン画

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ファッショングッズ部門 グランプリ受賞のラ ショウカと作品

ファッショングッズ部門 グランプリ受賞のラ ショウカと作品

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ファッショングッズ部門 グランプリ ラ ショウカ「Protection」のスチール

ファッショングッズ部門 グランプリ ラ ショウカ「Protection」

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ファッショングッズ部門 グランプリ ラ ショウカ「Protection」のデザイン画

ファッショングッズ部門 グランプリ ラ ショウカ「Protection」のデザイン画

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第24回YKKファスニングアワード キーヴィジュアル

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