メンズの間ではかなり以前から定番となっているMA-1。毎年さまざまなアウターがトレンドに躍り出る中でMA-1は何度もトレンドに浮上し、メンズのみならずレディースでも注目を集めています。MA-1はアメリカ空軍のフライトジャケットですが、毎年マイナーチェンジやアップデートを繰り返しながら定番化。カジュアルの枠にとどまらず、さまざまなブランドから登場するようになりました。そこで今回は、今年もトレンドとしてその名が上がっているMA-1について深掘りしていきます。
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MA-1とは?
MA-1はアメリカ空軍のフライトジャケットで、ミリタリーウエアの一種。軽量かつタフな中綿入りのナイロン素材で、襟元や袖口はリブになっています。日本で大ブームとなったのは、ハリウッド俳優のトム・クルーズが主演を務め大ヒットした映画「トップガン」から。映画の中でトム演じる戦闘機パイロットのマーヴェリックがG-1と呼ばれるフライトジャケットを着用し、そこからフライトジャケットが注目されはじめました。ただ、G-1は防寒性が高いレザー製。一方MA-1はナイロン製であることから普段使いしやすく、一般にも受け入れられやすかったのだと考えられます。また、1990年前半にはアメカジのヴィンテージレプリカがブームとなり、MA-1を中心にフライトジャケットの人気が高まりました。
ブルゾンとの違い
MA-1タイプのブルゾン、などという言い回しを耳にすることがありますが、MA-1とブルゾンはどう違うのでしょうか。そもそもブルゾンとはフランス語の「blouson」が語源で、短め丈の上着の総称のこと。MA-1は製品名なので、例えるならスニーカーとコンバース、のような感じでしょうか。つまりMA-1はブルゾンの一種なのですが、MA-1タイプなどと言われるようにMA-1にはいくつかの特徴があります。まずは中綿入りのナイロン製であること。襟や袖口がリブ編みで着丈はウエスト辺り、袖にたるみがあるのが大きな特徴です。しかしこれら以外にもより細かなディテールを備えているので、次の章ではディテールについて見ていきます。
MA-1のディテール
発祥が空軍のフライトジャケットであるため、本来のMA-1には実用的ないくつもの工夫がなされています。まず外側の色はミリタリーらしいセージグリーン。しかし緊急時に救出部隊に発見されやすくするために裏地は消防士を思わせる鮮やかなオレンジになっています(初期のものは裏地もセージグリーンだったそう)。また、ジッパー付きのユーティリティーポケットや4本のペンポケット、脇下には機内通信システムのコードを留めるタブがあるなど、多彩な機能が凝縮されていました。現在では、多くのブランドがMA-1にヒントを得て独自のMA-1風ブルゾンをデザインしているため、ブランドにより特徴は異なります。
昨今のMA-1
もともとは軍用で機能優先、かつ無骨なイメージがあったMA-1。しかし幾度ものブームを経て定番化した現在では、よりスタイリッシュにデザインされたものが多数リリースされています。MA-1に着想を得たブルゾンを出しているのはカジュアルブランドばかりではなく、ディオールやロエベ、バレンシアガ、ジバンシィやヴァレンティノといったハイブランドからも続々登場。MA-1の雰囲気を残しながらも、バレンシアガはフードを付けたり、ディオールはストーンアイランドとコラボしたりと、デザイナーのアイデアが生かされた仕上がりに。短めの丈がMA-1の特徴でもあるのですが、なかには膝丈などのコートにアレンジされたものもあります。
レディースのMA-1
日本でブームとなった当初は男性人気がメインだったMA-1ですが、女性の間でもMA-1人気が高まったのは2013年頃の再ブレイク時あたりから。もちろん以前からMA-1を愛用するアメカジ好きの女性はいましたが、その頃はレディース向けにブラッシュアップされたMA-1というより、メンズのものをユニセックスに着こなすのが主流でした。しかし再ブレイクを受け、女性がよりおしゃれに着こなせるMA-1を多数のブランドが発売。この再ブーム以降は肩を落として羽織る着方がポピュラーになり、サイズもあえてやや大きめのものを選ぶのが定番化しました。レディースブランドがリリースするMA-1は、中綿入りのナイロン素材であることや襟元や袖口がリブになっている特徴は残しつつ、ペンポケットなどを取り除いたシンプルなものが多め。機能よりもデザインに特化し、MA-1の魅力を残しつつもきれいめな仕上がりになっています。今ではGUやユニクロなどがMA-1に着想を得たブルゾンを発売しており、MA-1はすっかり一般的になったと言えるでしょう。なお、MA-1は製品名であることから、ミリタリー品以外のMA-1タイプのブルゾンはボンバージャケットやボマージャケット、キルティングブルゾンなどの名称で販売されていることも多いです。
最近のMA-1人気の火付け役
すでに定番となっていたMA-1ですが、過去にも幾度となくスポットを浴びてきたように、再び注目度が上がっています。その火付け役と言われているのが2022年にプラダが発売したボンバージャケットで、同時期にファッショニスタとして知られる海外セレブやインフルエンサーたちがMA-1タイプのジャケットを着用する画像がSNSでも顕著に見られるようになりました。
着こなしのコツ
ひと昔前のMA-1の着こなしといえば、ボトムスにデニムやチノパンツを合わせる王道のアメリカンカジュアルが主流でした。しかし現在ではそういったスタイリングが古臭く見えることもあり、メンズ、レディースともによりクリーン、かつきれいめなスタイリングの外しアイテムとして取り入れるように。特に女性の場合はパンツスタイルではなく、シンプルなロングワンピースやスカートに合わせるなど、女性らしいアイテムと組み合わせるスタイルが人気。ややオーバーサイズのものをゆるっと羽織るブームは今も継続中です。ただ、MA-1を女性らしいアイテムに合わせる場合、足元はサイドゴアブーツや編み上げブーツ、スニーカーなどメンズライクなものがおすすめ。パンプスやバレエシューズなどのフェミニンな靴だとMA-1のボリュームに負けてしまうほか、トータルで見た時にMA-1だけ借り物のように浮いてしまう可能性があります。
タイプ別おすすめカラー
MA-1のスタンダードはセージグリーンですが、これだけ定番化するとカラーバリエーションもかなり豊富に登場しています。セージグリーンはデニムとの相性も良く、カジュアル好きにはもってこい。一方黒はシャープな印象になるので、モードなスタイルのアクセントにもなってくれます。定番のセージグリーンや黒以外だと、女性らしく品よく見えるのがホワイト、きれいめに着こなしたいならライトグレーやベージュがお似合い。1着目にはベーシックなカラーを抑えておき、2着目として個性的な色を選ぶのも良いのではないでしょうか。
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