■チェーンストア最大手のウォルマートは今年1月、ダラス・フォートワース都市圏にある75%の世帯にドローン宅配を開始することを発表した。
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ドローン宅配の対象世帯数を180万世帯にまで拡大するとの意欲的な目標を明かしたのだ。
ウォルマートはドローン宅配でIT大手アルファベット(グーグル)の関連企業のウイング(Wing)やドローン開発のドローンアップ(DroneUp)、ジップライン(Zipline)、フライトレックス(Flytrex)と提携し、ウォルマートのドローン宅配実績はすでに3万件以上となっている。
同時にダラス・フォートワース地区にあるスーパーセンター等、ウォルマートの広大な駐車場を活かしドローン・ステーション(空港)の開設を拡大している。
ダラス・フォートワース地区がドローン宅配の主要拠点となった理由には年間を通じて天候に恵まれていることに加えて、置き配が可能なフロントヤード(前庭)など十分な広さの敷地を持つ住宅地が多数あることがある。
また多くのドローン宅配を必要とするレストランチェーンに、イノベーションを積極的に受け入れる住民の意識も挙げられるだろう。州政府と自治体も新しいハイテク産業に友好的であると考えられている。
直近ではダラス郊外のプリンストン地区でドローン宅配が承認され、ウォルマート・スーパーセンターからジップラインによる空輸が開始される計画だ。
当社のワークショップ研修でもダラス・フォートワース地区でドローン宅配の演習を行っている。
ウォルマートにあるドローン宅配のオペレーターにインタビュー後、近くの空き地に移動してスマートフォンからモバイルオーダーするのだ。
先日のダラス・フォートワース地区での研修ではドローンアップの協力のもと演習を行う予定となっていた。
残念ながら当日の悪天候により演習は断念。
が、オペレーターとのインタビューや質疑応答を通じて貴重なナマの話を伺うことができた。
ドローンアップはウイングと異なり現在のところドローン空港に2機のみで対応しているという。一方のウイングではドローン18機を構えるハブ空港で展開している。
ドローンアップの新しい試みは、自律型DBXエコシステムプラットフォームだ。ダラス地区でのドローンのスケール戦略となるのは「DBX(Distination Box)」。
高さ2メートル近くもあるドローンアップのドローン専用ポートになる。ロッカーにもなるDBXが注文品の入ったパッケージをドローンに自動装着するロボットになるのだ。
注文品が入ったパッケージに専用のバーコードステッカーを貼り、それをDBXにあるスキャナーで読み込ませて横のロッカードアを開ける。
ロッカー内にパッケージを置くと自動的に計量され、ドローンの最大積載量10ポンド(約4.5キログラム)以下であることを確認する。
パッケージはDBX上部に運搬され、指定されたドローンがパッケージ部分の取っ手を掴みピックアップして指定されたユーザー宅へ空輸することになる。
駐車場1台分のスペースをとるDBXではドローンにピックアップされるまでパッケージが一時的に保管されることで、一度に複数のパッケージが待機できることになるという。
そのため1時間で最大50個のピックアップキャパシティを有することができるのだ。つまりスタッフはドローンのピックアップを待つ必要がなく、DBXにパッケージが満杯になるまで預けることが可能になるのだ。
ウォルマートのドローン宅配で優位に立つのはウイングとジップラインだ。アメリカ連邦航空局(FAA)は7月、ダラス・フォートワース郊外の上空で目視監視なしで配送用ドローンを"同時"に飛行させる許可を両社に与えた。
両社はすでにFAAから目視外飛行(BVLOS:Beyond Visual Line of Sight)の認可を受けているが、無人飛行運行管理システム(UTM:Unmanned Aircraft System Traffic Management)技術により、今月から複数のドローンが同じ空域を共有して飛行することが可能となるのだ。
UTMシステムを利用しながらドローンが互いにコーディネートしながら安全に空輸するケースは米国では初となる。
ウイングとジップラインと提携してドローン宅配をダラス・フォートワース地区で急拡大するウォルマートにとってもゲームチャンジャーになる認可なのだ。
FAAはドローンアップにはUTMシステムの利用について認可をまだ下していない。
ダラス・フォートワース地区でのウォルマート・ドローン宅配はテストではなくスケール段階にある。今回は雨と強風でドローン演習ができなかったが次回はリベンジを誓いたい。研修カリキュラムとしてドローン宅配はカリキュラムとして続けていく。
トップ画像:当社のワークショップ研修では、ダラスにあるウォルマートでドローンアップのオペレーターとインタビューを行っている。
ドローンアップでは注文品が入ったパッケージの装着の手順を解説していただいた。飛行距離やバッテリー時間、注文対応の商品数に人気商品などに質問が及んでいた。
パッケージを装着したドローン。当日はあいにくの悪天候(強風に雨も)だったため、ドローン演習は断念したが次回はぜひともリベンジしたい。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤のコンサルタントとしての「強み」とは行動力であり、フットワークの軽さです。もっといえば身銭を切れる覚悟があり、ガッツのある決断力です。例えばロサンゼルス市内で展開しているロボタクシー。「コレだ!」と思ったら、いち早く乗車して、操作性や乗り心地等を確認後、すぐにカリキュラムにいれる決断を下しました。効果的な研修を実現するため、研究のため何度も無人タクシーの乗車を繰り返しましたね。先日のロサンゼルス研修では、透明人間?が運転するロボタクシーでの移動を達成したのです。日本にはまだない、稀有な体験を参加者全員に味わってもらうことができたのです。ダラス・フォートワース地区でスケールするドローン演習も後藤の"ガッツ"により、デザインできたものです。研修前にダラス・フォートワースに飛んでレンタカー。ドローン宅配を行っているウォルマートを回りながら、当社のドローン演習に協力してくれるオペレーターを探し出したのです。これが他のコンサルタントにはできない差別化でもあります。
結局のところコンサルタントにとっての価値とは頭の良さではなく、自ら一次情報を取りにいける行動力です。身銭を切ってまで調査に行く覚悟が"顧客(クライアント)の創造"になるのです。
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