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「無印良品」を展開する良品計画が、11月23日付で代表取締役社長を交代する人事を先月発表した。それに伴い、11月15日にメディア関係者向けに経営方針説明会を実施し、清水智新代表取締役社長が登壇。「営業収益1兆円・営業利益率10%以上達成」を早期の目標に掲げ、「世界での成長拡大」を軸とした今後3年間の経営方針や具体的な戦略を発表した。
10月11日に発表された人事では、新代表取締役社長に現副社長の清水智氏が昇格。現社長の堂前宣夫氏は代表権を持たない取締役会長に着任し、現取締役会長の金井政明氏は顧問に就く。
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清水氏は、1974年3月14日生まれ。1996年に良品計画入社後、2011年から無印良品有楽町店の店長として勤務し、2015年に取締役東アジア事業部長に就任。2022年に取締役副社長に着任し、現在は同職と中国大陸・台湾・香港事業と生活雑貨部の管掌役員として従事している。
同社は今回の人事の理由について、「経営体制変更のため」と説明。清水新代表取締役社長は、「現社長の堂前は、戦略を立てることに極めて長けている人物。この3年間で会社の成長を目指すためのあらゆる基盤が整ったため、今後は実行力を強みとする自分が実際に各戦略に着手して推進し、より早く成果を出すことに努めていく」と話した。
良品計画は、2024年8月期の通期実績(2023年9月〜2024年8月)で全利益段階において過去最高業績を達成。営業収益は前期比13.8%増となる6616億円、営業利益は同69.4%増となる561億円を記録するなど、好調に推移している。2025年8月期通期予想では、営業収益が前期比10.9%増の7340億円と2桁の伸長、営業利益は同2%減の550億円と減益ながら、為替影響を除けば実質増益を見込む。
◆世界での成長拡大に向けた8つの戦略
清水新代表取締役社長は、今後3年間の経営方針として「世界での成長拡大」を目指していくと説明。同社が過去3年間で進めてきた重点施策をベースに、「出店拡大」「商品開発体制の強化」「重点カテゴリーの強化」「生産/SCM(生産管理拠点)改革」「OMO強化」など、8つの軸で戦略を実行していくという。
「出店拡大」については、日本国内では収益性を重視しながら生活圏への出店拡大を継続するとともに、東アジアでは安定出店による規模拡大、東南アジアでは出店の加速を推進。日本国内で実績のある、600坪規模の郊外型大型店舗を海外にも波及させるほか、世界の主要都市に旗艦店を出店し、無印良品の世界観を各国・地域に印象付けることを目指す。
「商品開発体制の強化」としては、生活雑貨の海外での日本の品揃えに対する充足率を、2026年までに現状の平均58%から80%まで拡大。最終的には、日本企画開発商品のグローバル展開を拡大し、全世界統一MDの実現を目指す。また、日本以外に中国大陸や東南アジアなどに開発拠点を構築することで、各国の地域ニーズを反映した商品の開発強化を行う。
「重点カテゴリーの強化」では、全世界で重点開発商品を「ヘルス&ビューティー」と「衣服」に定め開発に注力するとともに、「食品」「ハウスウェア」は各国のニーズに対応した現地での商品開発を強化する。
「生産/SCM(生産管理拠点)改革」としては、生産の内製化による原価低減と商品開発力の向上に着手。開発・生産・企画拠点が日本に一極集中していた従来の体制を改め、海外に6つの生産拠点(べトナム、インド、インドネシア、カンボジア、上海、深セン)を設けて分散することで、商品生産の効率やスピードの向上を図る。
「OMO強化」では、実店舗・オンライン含めた既存の複数のチャネルの在庫管理を一元化。商品の取り寄せや返品対応などがよりスムーズになるほか、販売機会損失の削減を目指すという。
あわせて、清水新社長は2025年8月期から2027年8月期までの「3ヶ年ローリング計画」を発表。2027年8月期には、通期で営業収益8800億円、営業利益790億円、営業利益率9%を目指し、3年間の年平均成長率は、営業収益10.0%、営業利益12.1%、オンラインを含む既存店の売上伸長率は年平均102%を見込む。店舗数については、年間で国内60店舗、海外60店舗(うち中国大陸30店舗)の純増を目指し、国内出店は現状のペースを維持しながら、東南アジアでの出店を加速。中国大陸はスクラップ&ビルドを推進していく。現在構造改革を進めている欧米事業については、現地経営者の採用や日本並みの商品の拡充を進めながら、2028年以降に本格的な出店拡大や成長を目指す計画だという。
2021年に掲げた「2030年8月期に3兆円達成」という目標に対して、清水新社長は「達成できるポテンシャルは高まってきている」と言及。「まずは『早期に営業収益1兆円、営業利益率10%以上達成』をマイルストーンに、2030年の3兆円という目標も引き続き視野に入れていきたい」と新体制下の事業に対して前向きなヴィジョンを示した。
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