登壇した柳井康治上席執行役員
Image by: FASHIONSNAP
ファーストリテイリングが、今冬から全世界で100万着以上のヒートテックを寄贈するプロジェクト「The Heart of LifeWear」を発表した。メディア・投資家向けに開催された説明会には、同グループの柳井康治上席執行役員や、田中大執行役員などが登壇した。
同社は、今年でユニクロ誕生40周年の節目を迎えた。原点に立ち返って「自社が服を通じてどのように社会に貢献していけるのか」ということを考え、今回のプロジェクト実行を決めたという。「ファーストリテイリングは、『What Makes Life Better?(人々の生活をより良くするものは何か?)』というメッセージをお客様に向けて発信している。こういった問いを投げかける以上、ファーストリテイリングがどのようにお客様の暮らしに貢献できるのかを改めて示していく必要があると思った」と柳井グループ上席執行役員。
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「The Heart of LifeWear」プロジェクトでは、日本、グレーターチャイナ、韓国、東南アジア・インド・豪州、北米、欧州といった地域ごとに、世界の難民や被災者など、困難な状況に置かれた人々に向けてヒートテックを寄付。日本では、能登半島地震・豪雨の被災者や児童養護施設などに10万着を配付する。そのほか、上記の地域以外の難民、国内避難民などに国連難民高等弁務官事務所(以下、UNHCR)を通して50万着を寄贈し、全世界合わせて107万着を提供することを目指す。なお、寄贈先の気候によっては、ヒートテックからエアリズムに商品を変更するという。
プロジェクトの第一歩として、モルドバ共和国に逃れたウクライナ難民に向けて、今年10月にヒートテックを寄贈した。柳井グループ上席執行役員は、「ヒートテックは、本格的な冬を乗り切るために非常に役立つアイテムだと思っている。今回の取り組みを通じて、困難な状況に置かれている人々の生活に少しでもポジティブな影響を与えられたら」と語った。
◆経営ヴィジョン「LifeWear=新しい産業」の進捗
ファーストリテイリングは、2021年に生活を豊かにする「究極の普段着」というLifeWearの考え方を進化させた経営ヴィジョン「LifeWear=新しい産業」を策定。顧客が必要とするものだけを作り、服の生産から輸送、販売までのプロセスで環境や人権を尊重しながら、循環型社会を実現することを目標に掲げている。
同ヴィジョンでは2030年までの具体的なアクションプランとして、「店舗やオフィスなどの自社領域において温室効果ガス排出量を2019年比で90%削減」「サプライチェーンにおいて温室効果ガス排出量を2019年比で20%削減」「全使用素材の約50%をリサイクル素材に切り替え」といった3項目を設定。2023年の説明会では、生産パートナーの集約を進め、サプライチェーン全工程を自社管理する生産体制の確立を目指すとしていた。
今回まとめた2024年の発表によると、自社領域では、店舗・主要オフィスにおける温室効果ガス排出量を2019年比で69.4%削減。サプライチェーンにおける温室効果ガス排出量は同年比で10%カットした。また、全商品におけるリサイクル素材の使用割合は、2023年の8.5%から2024年では18.2%と大きく伸長。いずれも「目標に対して順調に推移している」(田中執行役員)といい、「引き続き環境への負担を減らすためにできることを考え、実行していく」とした。
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