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年々短くなる春と秋 着る機会が激減した服を挙げてみた

年々短くなる春と秋 着る機会が激減した服を挙げてみた

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

春と秋が年々短くなっていることは多くの人が痛感されているのではないかと思う。

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当方の体感気温でいうと、4月末から5月の連休明けにかけて半袖生活に突入する。遅くとも5月の後半からは確実に半袖生活である。

そして、今年なら10月末日から11月頭まで、早くとも10月半ばまでは最高気温25度以上の夏日なので半袖生活である。

最長で半年間強も半袖生活をしている。

本格的に秋めいてくるのは11月に入ってからで、だいたい11月上旬すぎである。

最近の傾向は12月は暖冬傾向だが、急に寒波が襲来して寒くなるという気温変化となっていることが多い。そうなると元来「秋物」とされていた衣料品を着る機会があまりない。

春物衣料も同様である。

ただ、春の方が秋よりは長い傾向にあると感じる。最近だと2月はかなり暖かく、3月もそのまま暖かさが続けば4月下旬まで2カ月半ある。24年のように3月が少し寒くなることはあるが秋よりは長い場合が多い。

とはいえ、昔のように安定して続く「春」という期間は滅多に無くなっている。

こうなると「いつ着るのか?」と悩む衣料品が多数手元に出て来てしまう。

今回は当方のそんな愚痴である。

まず、挙げるのが以前にも書いた「綿100%定番オンスのデニム」である。

ハッキリ言って気温が高い時に穿くと暑いから当方の場合は、11月・12月と3月くらいしか着用しない。真冬は寒いから敬遠する人が多い。当方は真冬でも穿くことはあるが最近は合繊起毛パンツを穿く機会が増えた。

ただ、デニム生地の表面感とか見た目などは好きなのだが、着用しようとは思えない。

こういうものがあといくつかあるので列挙してみる。

1、革ジャン(革ジャケット含む)

皮革にせよ合皮にせよ、暑い時には暑く、寒い時には寒い。

本来なら気候の良い春秋に着用するのが最も良いのだろうが、今はいつ着れば良いのかわからないアイテムである。

当方も若い頃にイキって、今は亡きブランド「ドモン」の羊革のテイラードジャケットをバーゲンで買って今でも残っている。たしか2000年ごろだったと記憶しているが、当時のマストレンドで細身ジャケットである。定価が39800円くらいだったのが半額の19000円に値下がりしたのでなけなしの金を集めて買った。

買って着用してみて気が付いたのだが、夏に着ると暑すぎるし、真冬に着ると寒すぎるのである。

おまけにピチピチタイトシルエットだから下に分厚いセーターを着こむこともできない。今なら、この上からオーバーサイズのコートを着ると真冬でも着用できるとは思うが、当時はコートもピチピチだったのでとてもではないが革ジャケの上にコートを羽織ることはできなかった。

仮に今、オーバーサイズのコートを上から着ても分厚くなりすぎて動きにくいのではないかと思って着用していない。長年ハンガーに吊るしたままである。

ただ、革という素材の表面感や見た目は大好きなのである。着用しないけど。

2、綿セーター

シュっとした若者がトレーナーを着ているの様になるが、若くてもシュっとしていない人やオッサン・オバハンがトレーナーを着ると、寝間着の延長線みたいに見えてしまう。

そのため、30代ごろからトレーナーを避けて綿セーターを着るようになった。メンズクラブの影響も大いにあったかもしれない。

ただ、この綿セーターというものは着用してみてわかったのだが、真冬は本当に寒い。真冬はウールのセーターの方が格段に暖かい。

もちろん、真夏には暑すぎて着られない。

となると、必然的に春と秋にしか着用しない「ぜいたく品」だと言えるわけだが、春はともかく秋がめっきりと短くなって着用する機会が激減した。

ちなみにこれも編地を見るのは大好きである。着用しないだけで、実は昔に買って残っている物を合わせると自宅に綿セーターは50枚くらいある。ほとんどがタンスの肥やしだし、昔に買った物は大型パッキンに詰めたままである。

3、裏毛スエット(裏毛パーカも含む)

2010年代後半から世間のマストレンドに乗って久しぶりに裏毛トレーナー、裏毛のプルオーバーパーカを買い漁ってみた。

現在の売り場でもそうだが薄手生地(ライトオンス)から厚手生地(ヘビーオンス)まで各種あるが、ライトオンススエットなんて長袖Tシャツとほとんど同じではないかと思うが、着用してみると不思議な物で長袖Tシャツよりは暑いのである。もちろん真冬は寒い。

中肉からヘビーオンスにしてもそうで、もちろん真夏は暑いが真冬も寒い。そのため気候の良い春と秋にしか着用することが無い。あとは寝間着としての利用である。

以前にも書いたが、ヘビーオンス裏毛は初冬くらいなら着用できるが洗濯すると乾きにくくて甚だ不便である。

その結果、最近では少し厚手のダンボールニットの方が便利だと気付いて着用はダンボールニットの方が増えている。保温性はさほど変わらないが、ポリエステル100%なのでなにぶん軽量だし、真冬に洗濯しても速く乾く。

和歌山が綿裏毛素材の産地としては有名で何度か工場見学もさせていただいたことがあり、当方としては皮革、編地同様に見た目や表面感は好きなのだが、着用するには不便だと感じる。現在は春と秋の短期化に伴って着用回数がほとんど無い衣料品となっている。ちなみに、裏毛スエットだけで10枚以上、裏毛スエットパーカも10枚以上あるがほとんどがタンスの肥やしとなっている。

洗濯のお手軽さも手伝って今後は綿裏毛に変わってダンボールニットがマス層の需要を獲得するのではないだろうか。その結果、綿裏毛のマス需要は激減し、高額品だけが愛好家に支持されるという形に落ち着くのではないかと見ている。

春の不安定化と夏の長期化、秋の短期化、それに冬の高気温化にともなって体感温度による実需品目は15年前と比べて大きく変わってきている。古き良きノスタルジーは感じるものの、今挙げた品目は中長期的にはマス層の需要が減少し続け、少数の愛好家向けのマニア商品になるのではないかと思う。

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