毎年その季節の終盤に差し掛かるとネクストシーズンのトレンドが話題にのぼりますが、その時々で大きく移り変わるのがトレンドカラー。昨今ではパーソナルカラー診断が身近になったこともあり、コーディネートをする際に色を意識する人が格段に増えました。ファッションの仕事をするうえでトレンドカラーを抑えておくことは必須ですが、それと同じくらい重要なのが、色が与えるさまざまな効果。そこで今回は、トレンドカラーを軸に、色が持つ効果や印象を紹介します。
ADVERTISING
2024年秋冬の注目トレンドカラー
春夏には目にも鮮やかなブライトカラーが流行することが多いですが、秋冬はシックな色味がトレンドに浮上するのが毎年の定番。しかし今年はシック一辺倒ではなく、どこかニュアンスのあるカラーに注目が集まっています。では早速2024年秋冬の代表的なトレンドカラーを見ていきましょう。
オリーブグリーン
ミリタリーやワークのテイストを思わせるオリーブグリーンは、秋冬トレンドの最注目カラー。やや黄みがかった暗めの緑は日本人の肌にとても似合います。ネイビーや黒、バーガンディーといった秋冬らしい色との相性が良いためコーディネートもしやすく、コートなど面積の大きなアイテムで取り入れても黒ほど重たく見えないのもポイント。定番のワーク風スタイルに取り入れるのはもちろん素敵ですが、オフホワイトや淡いピンクなどのフェミニンなカラーを合わせ、女性らしく着こなすのが今年らしく見せるコツです。オリーブグリーンはタフな印象のある色なので、あえて甘い色と合わせることでより新鮮に映ります。
パウダーブルー
砂糖菓子のような白みがかったパウダーブルーは、透明感とクリーンさ、程よい甘さを感じさせる人気カラー。この手の色は春夏のイメージが強いかもしれませんが、空気が冷たい秋冬に着ることで透明感が際立ち、夏のブルーよりも一層清廉な印象を与えます。パウダーブルーはシャツなどが取り入れやすいですが、トレンドのチュールアイテムをこの色にするのも新鮮。黒はもちろんですが特にグレーとの相性が良いので、グレーコーデの差し色に使うのはいかがでしょう。軽さのある色なのでダークトーンの外し色としてプラスするほか、パウダーブルーのブラウスの袖口をニットから覗かせるなどのチラ見せテクにも使えます。ただし足元やバッグにこの色を使うと寒々しく見えるので、小物よりも服で取り入れるのが正解です。
パッションレッド
鮮烈な印象を与えるナンバーワンカラーといえば、やはり赤。例年だと秋冬の赤はワイン系の深みのある赤が定番でしたが、今年は目にも鮮やかなパッションレッドがトレンドにエントリー。誰もが視線を奪われる華やかなレッドは一見難易度が高そうですが、合わせる色によってはデイリーにも着回し可能。例えばベージュやグレーと合わせると赤の持つ強さが緩和されモダンな印象になり、黒や白と合わせると赤の色味が一層引き立ちます。そのため普段使いならベージュ×赤で落ち着いた雰囲気に、赤を主役にしたい時は赤以外はモノトーンで統一するなど、赤の分量と配色によって着こなしに変化を。パッションレッドの服に抵抗がある場合は、バッグや口紅から試してみてはいかがでしょう。
バターイエロー
今にもとろけそうなバターを想像してみてください。黄色ほど強くはなくベージュほど保守的でもない。そんな色が注目カラーのバターイエローです。この色はほのかな黄みが肌をフレッシュに見せ、明るく上品な印象を与えるだけでなく、ダークトーンばかりになりがちな秋冬の装いの差し色にも活躍。上半身にバターイエローを取り入れると顔色が明るく見え、バッグや靴などの小物で取り入れるとコーデにほどよく抜け感が出ます。ボトムスに使うには少し難しい色なので、ニットやブラウスなどのトップスか、シューズで挑戦するのがおすすめ。ファッションはもちろんですが、アイメイクに取り入れれば目元の印象を華やかにしてくれるほか、赤みやくすみなどの肌悩みもカバーしてくれますよ。
ファジーホワイト
少しくすんでいたりどこかニュアンスのある白。それがファジーホワイトです。真っ白よりも温かみのある印象なので秋冬にぴったりなうえ、コージーでリッチな雰囲気を添えてくれるのが魅力。肌に溶け込む色なので顔写りもよく、コートやジャケットなどのアウターに取り入れると1枚でエレガントな印象に。ニュートラルな色ながらもファジーホワイト自体に主役級の存在感があるので、合わせる色はなるべく少なくするのが鉄則です。ワントーンコーデやモノトーンルックがおすすめで、よりモダンに着こなしたい場合はメイクもカラーレスに。シンプルにまとめるほどシックに、逆にピンクやパウダーブルーなどの可愛らしい色と合わせると子供っぽくなってしまうのでご注意を。
カラーによる心理的効果
もしあなたが自動販売機の前に立っていて、中の商品が赤と青で色分けされていたとしたら、無意識に赤は温かい飲み物、青は冷えた飲み物だと思ってしまいませんか?これは私たちが心理的に色にイメージを感じているからです。このように見た目で温かさや冷たさを示す色を暖色や寒色と呼ぶほか、ダークトーンには重さを、ライトカラーには軽さを感じるなど、温度以外にも色の印象から重量までを推測してしまう。これが色が人に与える心理的効果です。これはファッションにも応用でき、夏なら白やブルーなどの涼しげな色で目にも爽やかに、冬はキャメルやブラウンなど暖かみのある色を選びがち。つまり自分が見せたいイメージによって色を使い分けることで、ある程度、他者からの印象を変えることができるのです。
カラーによる生理的効果
赤いインナーを身につけると血液の循環が良くなる、なんて聞いたことはありませんか?実は色が人間の神経系に影響を与えることは知られていて、赤は交感神経系に刺激を与え、青は神経を落ち着かせる作用があるそう。病院などにブルーの内装が多いのは、この効果を活かすため。赤はエネルギッシュな印象の色ですが、こう感じるのは実際に色が神経系に影響を与えているからに他なりません。例えば可愛く見せたいときにピンクのチークを選んだりしますが、実際にピンクにはリラックス感や安らぎを与えてアンチエイジングにも効果があるとされています。
カラーによる感情的効果
リラックスという単語を思い浮かべた時、あなたの頭に思い浮かぶのはグリーンやアースカラーではないでしょうか。きっとポップでヴィヴィッドな色を思い浮かべる人は少数派だと思います。色が持つ効果は多々ありますが、中でも感情に作用し、ストレス緩和に効果を発揮する色を知っておくことは実生活でもすぐに役立つ知識。例えばグリーンは肉体疲労や人間関係のストレスに効果があり、ブルーは緊張を解き心をクールダウンする効果があります。インテリアにこれらの癒しカラーを取り入れるのはもちろん、緊張しそうな日にはブルーのシャツを、休日には幸福感を助長するピンク系の服を選ぶなど、なりたい気分に合わせてカラーコーディネートをするのも色とファッションを楽しむ秘訣です。
カラーによる文化的効果
色によって持つイメージは人それぞれですが、多くの人が赤=情熱的、青=冷静というように共通の認識を持っています。しかし国や文化の違いによってそのイメージは異なり、文化によっては日本とはまた違った色の捉え方をする民族も少なくありません。例えば日本や欧米では黒は喪をイメージしますが、中国では喪の印象よりも闇社会などダークな面を想像させるそう。また、可愛いイメージのピンクは、文化圏によってはセクシーなイメージになったりもします。ファッションにおいて色はあくまでもトレンドや理想のイメージを具現化するツールですが、文化の違いで色の捉え方が異なるということは覚えておきましょう。
TEXT:橫田愛子
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【Fashion HR】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境