2024年7月に、アパレル業界向けDXサービスを提供する株式会社GOOD VIBES ONLYは、デジタルファッションを活用した新しいブランディングサービス「Vision+」の提供を開始した。
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3DCGと実写を組み合わせた独自のアプローチで、ブランドの魅力を視覚的に際立たせ、従来の広告手法を超えるインパクトを実現できるとのことだ。
小嶋陽菜がクリエイティブディレクターを務めるアパレルブランド「Her lip to」がVision+を活用し、インプレッションが最大623%アップするという驚異的な成果を上げている。
このような最先端の技術が話題になることは多いが、具体的に何ができ、どのようなメリットがあるのか、疑問に感じている読者も少なからずいるのではないだろうか。
そこで今回は、株式会社GOOD VIBES ONLYの田尾 雄也さんに、Vision+の開発背景や特徴、活用のメリット、今後の展望について話を伺った。
PROFILE|プロフィール
田尾 雄也(たお ゆうや)
株式会社GOOD VIBES ONLY 執行役員ファッション専門学校卒業後、販売職を経て上京。その後、MD、卸&直営店舗営業など、デザイナー・パタンナーなどの技術職以外はすべて経験。その後、株式会社GOOD VIBES ONLYに参画
「売り上げを上げたい」という顧客のニーズから誕生したVision+
株式会社GOOD VIBES ONLYが提供するVision+は、3DCGと映画などで使用していた実写動画の技術を活用し、新しいブランディング動画の制作を行っているサービスだ。
「弊社は『アパレル業界の課題を最短、最速で解決する』をミッションに、商品企画からものづくり、販売、分析に至るまでの全プロセスをデジタルで一元管理する『Prock』などのサービスを展開してきました。
一方で、お客様の業務効率化・最適化だけでなく、売り上げ向上のニーズも多くいただいていたため、弊社のマーケティング・PR事業とプロダクトを掛け合わせた新たなソリューション『Vision+』を提供することにしました」と田尾さんは語る。
顧客のニーズから誕生したVision+。特に驚かされるのは「生地の質感の再現度」だ。アパレル商材で従来の3Dだと表現しづらかったマテリアル(衣服に使用される素材や材料)を、「デジタル生地データ」を使用することでリアルな3D制作が実現した。
「デジタル生地データとは、生地の質感を表現するテクスチャー(画像)データと物性データを組み合わせてデジタルで再現した生地です。
高精度なスキャナーを使用してテクスチャーデータを取り込み、物性データを加え、さらに調整を行うことで、実物と遜色のない高品質なデジタル生地データが生成されます」
特にニットなどは編み込みで柄を表現するため生成が難しいとのことだが、複数の生地商社やテキスタイルメーカーの協力により再現している。
また、前述したProckとの連携により、商品企画から製作までシームレスに行うことが可能となったという。
目新しさだけでなく、ROI・実用的な価値がある
このようにVision+では、3DCGと実写を組み合わせた独自の手法で、ブランドの製品をよりリアルに伝え、消費者の記憶に深く刻み込むことが期待される。
実際にさまざまなブランドで効果が出ており、「Her lip to」が期間限定で提供する『Her lip to Ice Cream -THE VACATION SHOP-』のPR動画を同社が制作し、投稿前の動画と比較してインプレッションが最大623%アップした。
また、従来の3D制作と比べて、コスト削減にもつながっているという。
「従来の3D制作会社だと一般的に50〜100万円ほど制作費がかかるところ、弊社は独自のデジタル生地を活用することで、15万円〜と単価を抑えてのご提供が可能となっています」
マーケティング施策を検討する際、多くの読者がもっとも気になるのは「ROI(投資利益率)」だろう。同社のサービスは、従来の手法と比較して、低コストでより高い効果が期待できる。
つまり、Vision+は単に最先端技術を用いた目新しいものではない。実際のアパレルビジネスでの成果を重視した実用的なソリューションだといえるだろう。
すべては「衣類廃棄0%」のために
「Vision+」の展望として、どのような未来を見据えているのか。
「今後の展望として、『プラットフォーム化』と『新たな3D技術を活用したデジタルコンテンツの提供』を掲げております。
現在、大手外資系のIT企業とAIによる3Dの自動化作成ツールの共同開発を行っていて、3Dの自動化を活用してモデリングから実写合成までの動画作成を数分以内に提供できるプラットフォームを検討しております。
3Dの自動化が可能になると、モール系のECサイトでのブランドを横断した試着体験や、デザイナーがリアルタイムに3Dを見ながらデザインができたりと、さまざまな形で転用できると考えております」と田尾さんは教えてくれた。
株式会社GOOD VIBES ONLYは、アパレル業界向けDXサービスとして「衣類破棄0%」を目指している。今後どのように、この目標を達成していくのだろうか。
「短期では、デジタルファッションへの置き換えを推進していきます。具体的には、デジタルファッションへのサンプルの置き換えや、3DCG×実写のクリエイティブ制作による認知獲得からの消化率の向上を図ります。
中期だと、PLMツールとAIによるサプライチェーンの改革を行い、最適なリードタイムと最適な発注数量、最適な顧客体験によって衣類廃棄0%を目指していきます」
今回提供を開始した「Vision+」も、同社が掲げる「衣類破棄0%」の目標達成に向けた取り組みの一環であることが見て取れる。
アパレル業界の衣類廃棄の問題は、ひとつの会社・プロジェクトだけで解決できるものではない。業界全体で課題解決の意識を共有し、協調した行動をとることが必要不可欠だ。
この問題に関心のある読者は、今後も株式会社GOOD VIBES ONLYの取り組みに注目してみてはいかがだろうか。
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