久保嘉男が手掛ける「ヨシオクボ(yoshiokubo)」が、「Rakuten Fashion Week TOKYO 2025 S/S」でランウェイショーを開催し、2025年春夏コレクションを披露した。ブランド創立20周年の節目となったショーの舞台は、吉本興業が運営する新宿のお笑い劇場「ルミネtheよしもと」。間寛平率いる吉本新喜劇とのコラボレーションによって、喜劇とファッションショーを組み合わせたランウェイショーが催された。吉本興業の劇場でファッションイベントが開催されたことはこれまでもあったが、事実上初となる喜劇とランウェイショーを融合させた試みとなった。
ヨシオクボは、オートクチュールデザイナー ロバート・デニス(Robert Dennis)の元で4年間キャリアを積んだ久保が2004年に始動。「今まで見た事のないパターンやディテールを追求したい」という想いを込めたコレクションを展開している。2017-18年秋冬シーズンには、「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」が新進デザイナーを支援するプログラムに選出され、ミラノでコレクションを発表。2023年春夏コレクションを最後にランウェイショー形式での新作発表を一旦ストップし、新たな発表の形を模索しており、2024年春夏コレクションでは品川区の水族館「マクセル アクアパーク品川」で1時間限定の展示会を、2024年秋冬コレクションでは展示会とランウェイショーを組み合わせた「ランウェイエキシビション」を開催した。2025年春夏シーズンはブランド創立20周年の節目。ここ2年とりやめていたランウェイショーの名目でイベントの告知をしており、どのような内容になるのか注目が集まっていた。
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「全力!脱力タイムズ」「千鳥のクセがスゴいネタGP」などに携わる宮地ケンスケが脚本・演出を手掛けたショーは、「ホンワカパッパ」という吉本新喜劇お馴染みの音楽とともに開演。間寛平が先代大将を務め、劇団員 すっちー扮する女性が働く老舗うどん屋「花月うどん」を、劇団員 島田珠代演じる「ヨシオクボ」ショープロデューサーが訪れる場面から喜劇がスタートした。20分以上コミカルな劇が続き、観客がランウェイショーに来たことを忘れ純粋にお笑いに没頭し始めた頃に、ショープロデューサーがショー会場のダブルブッキングがあり「ヨシオクボ」のショー開催が困難になったと告白。間寛平が「花月うどん」をショー会場に提供すると申し出ると、舞台袖から新作コレクションをまとったモデルが登場し、客席の間を歩いた。間寛平とすっちーがモデルとして姿を現すと、会場は大きな盛り上がりを見せた。
Image by: FASHIONSNAP
コレクションでは、2024年秋冬シーズンで提案したギャザーのアイテムを筆頭に、これまでの20年間で展開してきたアイテムをアップデートして復刻。「温故知新」。久保は、自らのこれまでの道のりを振り返り、新たな一歩に繋げるという想いを込めたという。
Image by: FASHIONSNAP
新作を披露し終えると、演者とモデルがステージ上に集結。舞台袖からショーの仕掛け人である久保が現れ「(吉本新喜劇と組み合わせてショーを実施することについて)夢だったので嬉しいです。ありがとうございました」とコメントした。最後は、間寛平が「会場としての使用料、300万円いただきます」と言うと、モデルを含めたステージ上の全員が「金とるんかい」とズッコケ、大きな笑いと拍手喝采の中、ショーの幕が降りた。
吉本新喜劇に出演をオファーした意図について、久保は兵庫県西宮市出身の自分のルーツについて触れ、「これまでの人生、自分はお笑いに影響を受けてきた。関西人にとって『おもろい』は『クリエイティブ』と同義だから、新喜劇と組み合わせてランウェイショーをやったらとてつもなくクリエイティブなショーができると考えた」と説明。今回のショーについては「夢だったので本当に嬉しい」と満足感を滲ませながらも「カメラを回しているお客さんが多かったが、そんなこと忘れてもっと大笑いしてほしかった」と冗談混じりに付け加えた。
今後の発表形式については考え中としながらも、久保は「これまでのランウェイショーの形式には魅力を感じなくなってしまったし、もう戻れない」とコメント。「先輩たちが色々やってきているので新しいことを探すというのは大変だが、お客さんが新しい感覚でファッションを楽しめる発表形式をこれからも探していく」と語った。
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