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コーセーが、2024年12月期第2四半期(2024年1~6月)の連結業績を発表した。前期から引き続き、日本市場のハイプレステージブランドや、欧米を中心としたNY発自然派コスメブランド「タルト(tarte)」の好調により、売上高が前年同期比10.3%増(為替影響を除き6.2%増)の1591億3300万円、営業利益が同31.9%増の137億4800万円、経常利益が同34.3%増の188億8200万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同33.5%増の116億1000万円となった。消費低迷が続く中国を含めた日本を除くアジア地域が減収となったものの、日本では全てのセグメントにおいて売上が伸長し、加えて欧米を中心に展開するタルトが好調で北米地域の売上が増加した。
地域別では、日本市場が百貨店・化粧品専門チャネルにおいて「アルビオン(ALBION)」の好調や、Eコマースが伸長した「コスメデコルテ(DECORTÉ)」の堅調、さらにマスチャネルの「雪肌精」や「ワン バイ コーセー(ONE BY KOSÉ)」などの伸長により、売上高は同15.6%増の1011億5600万円となった。コスメデコルテは1月にリニューアル発売した「ルースパウダー」や「AQ」の新商品が実績をけん引した。雪肌精は「ブライトニング エッセンス ローション」が、ワン バイ コーセーは5月に発売した毛穴悩みにアプローチする拭き取り美容液「ONE BY KOSÉ クリアピール セラム」が好調だった。
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アジア地域は、中国が消費の低迷により店頭消化が弱含み、本土、トラベルリテールともにEコマース、店頭販売の売上が減収。トラベルリテール事業では流通側の代購業者への販売規制と在庫削減方針の影響に加え、同社の出荷のコントロールの継続により売上は大幅に減少した。その結果、アジア地域の売上高は同27%減の233億1300万円に着地した。
北米事業は、タルトが主力商品であるコンシーラーの堅調さに加え、新商品や強化カテゴリのリップ、マスカラが好調に推移し、プレステージメイクアップ市場において高いシェアを維持。SNSでの販売拡大も寄与したほか、さらに円安進行により売上高は同40.7%増の304億8400万円に成長。欧州などその他地域の事業は、引き続きタルトの売り上げがけん引し、売上高が同32.3%増の41億7700万円となった。
コーセーは中長期ヴィジョン「VISION2026」で、新たな顧客づくりの拡大領域としてグローバル(Global)・ジェンダー(Gender)・ジェネレーション(Generation)の頭文字をとった“3G”を掲げ、性別や年齢に捉われずより多くの人に寄り添う商品やサービスを提供する取り組みを強化。子どものスキンケアを習慣化する新規事業「Dear Child Skin」や、雪肌精による日焼け止めの重要性を発信する新プロジェクト「エール for エール」などで、幼少期からの啓発活動を実施する。また7月から第1期建設を着工している南アルプス工場での水資源を活用における持続可能な社会の構築に着手。その他、iPS細胞を用いたパーソナライズ美容商品に向けた実証実験を開始することなどで、新たな顧客づくりに挑戦し、美容の価値をより多くの人に届けていく。
小林一俊 代表取締役社長は「日本事業でのコスメデコルテは引き続き力強い成長で、下期もこの流れを止めずに注力していく。一方で、中国の消費の落ち込みは最大のリスクであると考えている。主力ブランドのコスメデコルテも含め、大型ネット通販セール『618』や『ダブルイレブン(11月11日)』での売り方を見直す必要がある。1人ひとり丁寧にカウンセリングを行い魅力を伝えるという、“本来の売り方”に本腰を入れてリセットし、見通しを立てていく」と振り返った。復調の兆しを見せる雪肌精については、「刷新や日焼け止めのユニバーサルな訴求により、男性客が12%ほどに増えた。インバウンド需要が比較的大きいブランドでもあるので、引き続きコーセーの看板商品として強化していく」と期待を寄せた。
2024年12月期通期の連結業績予想は当初発表を据え置くものの、上期までの業績や為替変動等を反映し、地域別・セグメント別売り上げについて内訳の見直しを実施。売上高はが前期比1桁半ば%増、日本での売り上げ計画は、前年にコロナ禍から本格的な市場回復したことを受け、期初計画の同5%増から微増を見込む。中国では福島処理水放出の影響を受けた前年下期対比では円ベースで増収を見込むも、化粧品需要の弱さや国内外メーカーによる競争激化の影響を勘案し、同5%増から同10%台半ばの減収に計画引き下げ。中国、韓国のトラベルリテールは同24%増から同10%代前半の減収に引き下げた。北米などではタルトの好調を受け、期初計画の同3%源から同20%前後増を見込む。
これらの内訳を踏まえた2024年12月期通期の連結見通しは、売上高が前期比3.9%増の3120億円、営業利益が同25.1%増の200億円、経常利益が同2.7%増の208億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同8.0%増の126億円を予想する。
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