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ジーンズが若者の着用率向上で復調の兆し、一方ブランドや型は明確化されず

ジーンズが若者の着用率向上で復調の兆し、一方ブランドや型は明確化されず

繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー
南 充浩

本格的な猛暑日が始まってだいたい10~2週間程度が経過したが、以前にも書いたように暑さが苦手で汗っかきの当方はもう半ズボンしか穿かなくなった。

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しかもこの半ズボンは、ナイロン100%とかポリエステル100%の合繊生地タイプで、5~6枚くらい持っている綿100%生地の半ズボンはタンスに眠ったままである。多分もう穿くことはほとんどないだろうと思う。

理由は猛暑日では汗を吸っても乾きが遅いし、当方は真夏以外は運動する時以外に半ズボンを穿かないからである。春秋冬はカジュアルとして半ズボンを穿くことはない。

さて、そんな当方は猛暑日の人々のカジュアル服を毎日観察しているのだが、これも以前に書いたように若い男性の半ズボン着用比率は低く、一説には4%ほどだというリサーチもある。猛暑日が始まってからは少し着用率が上昇したように感じるが、それでも1割程度ではないかというのが体感である。

圧倒的に長ズボン着用率が高い。

当方とて猛暑日が始まるまでは長ズボンを穿いていた。主には吸水速乾性の高い合繊100%生地の長ズボンだが、今夏に若者に目立っているのが、ブルーデニム生地を使ったジーンズの着用率の高さである。これは男性に限らず女性もそうである。

たしかに、3年くらい前から徐々に若者のジーンズ着用率が高くなってきたが、今夏は最もそれが高くなっているという体感がある。今後さらに高まるかどうかはわからないが、ここ3年間くらいでは今夏が最も高いというのが当方の体感である。

そういう意味では、ブルージーンズ復調、ブルージーンズがトレンドと言っても過言ではないだろう。クソ暑いのに我慢強いなあと当方は感心するばかりである。

しかし、過去のジーンズブームと比較すると明確に異なると感じる点がいくつかある。

1、復調と言っても過去のブーム時ほどジーンズ着用率が高いわけではない

2、復調を牽引しているブランド、ジーンズの型が明確ではない

というのが当方の感じる異なる点である。

90年代半ばのビンテージジーンズブーム、2000年前後のローライズジーンズブーム、2000年代半ばのブーツカットプレミアムジーンズブームと比較すると、復調したと言ってもジーンズ着用比率は低い。それらのブーム時はカジュアル服でのジーンズ着用比率は体感的に80~90%ほどだと感じられたが、今夏だとジーンズ着用比率はザックリとした体感で3割程度だろうか。半数には届いていない。

また型も様々で、さすがにスキニーはほとんど見かけなくなったが、細めストレートからレギュラーストレート、ややゆとりのストレート、ワイドシルエットなど相変わらず分散化傾向にある。腰回りとワタリが太くて先細になるテイパードも着用者がいる。当方はどちらかというとテイパードの長ズボンを穿くことが多い。

そして、復調を牽引しているブランドがあまり明瞭でない。これまでのブームとは大きく異なる点である。もちろん、過去のブーム時でもブームとなったら参入するのがアパレル業界なので、様々なブランドが乱立したが、ブーム時だけの短命に終わった物を含めると、牽引するブランドや代表的なブランドがいくつかあった。ビンテージブーム時ならリーバイスでありエヴィスであり、ローライズ時ならアールジーン、ブーツカットプレミアム時ならセブン、シチズンオブヒューマニティ、トゥルーレリジョンなどなどという具合だ。

当方の勉強不足かもしれないが、今回の復調に関してはそういう「代表ブランド」が見当たらない。

これらのブーム時には必ず、大手ジーンズショップやジーンズ売り場も往年よりは廃れたと言われながらも恩恵を被っていたのだが、今回はその形跡もない。

例えばライトオンとマックハウスの直近の業績を見てみよう。

ライトオンの24年8月期第3四半期決算は

売上高 303億6600万円(対前年同期比17・3%減)

営業損失 21億4300万円

経常損失 21億7600万円

当期損失 25億3800万円

となっており、大幅減収の大幅赤字である。

ちなみに24年8月期通期の見通しは

売上高 410億円(同12・6%減)

営業損失 24億円

経常損失 25億円

当期損失 32億円

となっており、壊滅的である。

またジーンズチェーン店2位のマックハウスの25年2月期第1四半期決算は

売上高 33億1600万円(同22・9%減)

営業損失 1億7300万円

経常損失 1億6000万円

当期損失 2億200万円

となっており、大幅減収な上に赤字継続(前第1四半期も赤字)で、こちらも壊滅的に悪い。

ちなみに、24年2月期決算も売上高154億900万円(同16・5%減)と大幅減収だったうえに、すべて赤字だったので、相当に厳しい。

そして25年2月期決算の見通しも

売上高135億円(同12・4%減)とさらなる大幅減収と全部門赤字を見込んでおり、縮小が止まらない状況にある。

ということは、今回のジーンズ復調において、この大手2社はなんら恩恵を被っていないということがわかる。例え赤字になっても恩恵を被っていれば売上高くらいは持ち直すが逆に前期よりさらに大幅減収している。

この2社の業績は年々縮小する一方で、ピーク時の4割前後にまで縮小しているのが実状である。

その一方で、

GUが話題の新作「バレルレッグジーンズ」の発売延期で謝罪、予想を大幅に上回る人気のため (fashionsnap.com)

「ジーユー(GU)」が、2024年秋冬シーズンの新商品「バレルレッグジーンズ」の全店発売時期を7月上旬から9月上旬に延期することを発表し、謝罪した。一部店舗および公式オンラインストアでは先行販売を行っていたが、「予想を大幅に上回る売れ行きのため」今回の発表に至ったという。

という景気の良い報道(適正数量を読み切れなかったMD的には失敗だが)もある。

間違いなく、ジーユーはジーンズ復調の恩恵を被っているといえる。

ところで「バレルレッグ」とは何か?というと、

バレルレッグジーンズは、膝のあたりに丸みを持たせた樽(樽=バレル)型のボトムスで、ジーユーが2024年秋冬シーズンのイチオシと位置付ける新作シリーズ。

というシルエットで、検索するといろいろなブランドのバレルレッグジーンズの画像が見られるが、膝のあたりの丸みはべつに寸法が決まっているわけでなく、すごく大きく膨らんでいるものもあるが、ジーユーのは万人向けの最大公約数的なシルエットに落とし込んでいると思われる。

膝が大きく膨らんだピエロみたいなズボンを日常的に穿きたいなんていう変態はそんなに多くないからだ。

ただ、ジーユーのモデル着用写真を見てもそれほどカッコイイとは思えず、モデルよりも体型的にイケてない一般人が穿くとかなり面白い感じになるのではないかと危惧している。

そして、バレルレッグと思われるジーンズの着用者比率はやはり過去ブーム時と比べるとそこまで高くない。

ジーンズ復調に加えて、久しぶりの新ヒット商品が生まれたが、過去ブームを体感した人からするといささか物足りないと感じるのではないだろうか。

過去のブームと比較すると、ジーンズも他のアイテム同様に専門ブランドが独占できるアイテムではなくなったと感じるし、大手専門チェーン店はその「買い場」ではなくなったということがわかる。ジーユーを筆頭とする大手SPAブランドで買う人が主流になっており、ジーンズ専門ブランドやジーンズ専門店チェーンはますます存続が厳しくなっている。

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