■日本には家族・親族・友人・知人・職場の人などに配る「ばらまき土産」という言葉があるほど、深く根付いたお土産文化がある。
ADVERTISING
旅行に来たのか、お土産を買いに来たのか、その目的がわからなくほるほど、日本のお土産文化は旅行に欠かせない。
出張や観光でアメリカに来る日本人にとってアメリカならではのお土産を購入するのは旅行中の大きな懸案の一つになる。
38年ぶりとなる"超"円安の1ドル161円となれば、お土産を何にするか?は悩みの種になるのだ。
バラマキ用のお土産として定番のチョコレート類は安くていい。トレーダージョーズに行けばここでしか買えないキャンディ類などの食品は豊富だ。
ただ食品をお土産にする課題には、かさばってしまうことがある。多くの数量が買えないのだ。キャンバス生地のトレーダージョーズのエコバッグは若干、旬が過ぎた感じもある。
ではアパレルに目を向けるのはどうだろうか?1980年代にアメリカに訪れた日本人は競ってTシャツなどメイド・イン・USAの衣料品を購入していた。
Tシャツ等の衣料品ならかさばならいしそれほど重くもない。食品類とは異なりアパレルなら、いつまでも着続けてくれるのでコスパも良かったのだ。
しかし1990年代から衣料品製造もどんどんアウトソーシングされて今ではアメリカ製ファッションを探すのが困難になっている。
アメリカ・アパレル・フットウェア協会(American Apparel & Footwear Association)の2022年のデータによると、米国内で販売されている衣料品のうち米国製はわずか3%未満だ。
仮にアメリカ製アパレルを見つけたとしても高額になるだろう。しかも超円安なら気軽には買えない価格になる。ばらまき土産としての衣料品にもう適さないのだ。
驚くべきことに独立記念日となった日からチェーンストア最大手がアメリカ製Tシャツを格安で販売し始めた。
ウォルマートは4日、スーパーセンターなど1,700店で「アメリカ製(AMERICAN MADE)」とプリントしたカラー4種類(赤・白・青・グレー)のTシャツの販売を開始した。
正真正銘の「メイド・イン・USA」となる12.98ドル(約2,100円)のコットン100%Tシャツはアパレル企業のスタートアップ「アメリカン・ジャイアント(American Giant)」と提携して生産したもの。
2012年に設立されたアメリカン・ジャイアントはサプライチェーンで米国内に複数のパートナーシップを持ち、カロライナ州からロサンゼルスまで製造施設を構えている。
「史上最高のパーカー」と知られる同社のパーカーやその他の衣料品では使用される綿の多くをノースカロライナ州エンフィールド地区のラトロス農場の綿花で生産されているのだ。
その綿をサウスカロライナ州ギャフニーのパークデール・ミルズ工場に運び糸に紡がれる。
さらにその糸はサウスカロライナ州クローバーで生地に織り込まれ、サウスカロライナ州ガフニーのカロライナ・コットン・ワークス工場に運ばれ、そこで染色と仕上げが行われているという。
最後にノースカロライナ州ミドルセックスのイーグル・スポーツウェアで衣服が裁断され縫製される。
ウォルマートが大量購入したことことで50ドル前後もするアメリカ製Tシャツを13ドル以下になったのだ。
ウォルマートはアメリカン・ジャイアントに注文した正確な数量を明らかにしていないが、アメリカン・ジャイアントの創業者でCEOのベイヤード・ウィンスロップ氏は"かなり大量"となる注文を受注としている。
また「サプライチェーンのパートナーは長期的に収益が保証されるなら、低いマージンでも受け入れる用意がある」と同氏は語っているのだ。
リアル・メイド・イン・USAのTシャツをお土産にするならストーリーも必要かもしれない。
アメリカン・ジャイアントの創業者は、1950年代に軍隊から支給されていた父親のU.S.NAVYスウェットシャツからインスピレーションを得たという。
父親のクローゼットに長い間しまわれていたスウェットシャツと現在の衣料品と比べて、シンプルなアメリカ製品の丈夫さに感銘をうけてアパレルメーカーを立ち上げたのだ。
クリエイティブ・ディレクターには初代iPhoneの開発に関わった工業デザイナーをヘッドハントし、メイド・イン・USAアパレルの製造を開始。
一切海外での生産は考えず原料の調達から紡績、製造、販売まで全てをアメリカ国内でのみにこだわった。
店舗も持たず広告費もかけず、オンラインショップと移動販売という手段だけでコストを最低限までに抑えながら、製品自体のクオリティを最大限に高めていった。
この結果、高品質なコスパ製品で口コミが広がり「史上最高のパーカー」として知られるようになったのだ。
このストーリーを語りながら、ばらまき土産として13ドルのアメリカ製Tシャツをウォルマートで購入すべきなのだ。
トップ画像:ウォルマートで13ドルで販売されているリアル「アメリカ製」Tシャツ。安くてかさばらず、お土産にはちょうどよい。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤の姉と母、弟、さらにおばとおいの5人が先日、ロサンゼルスに観光にやってきました。6人が乗れるようにミニバンをレンタカーし(運転役はずっと私!)、90歳となる母親には車椅子もレンタルしました。観光の定番となるマリナ・デル・レイのヨットハーバーにベニス・ビーチやサンタモニカビーチのピア、UCLAにも行きました。ハリウッドの足形手形のチャイニーズシアターにファーマーズ・マーケットも訪問。絶景のスターバックスとして有名なパロスバーデス店にも訪れました。またディズニーランドにユニバーサル・スタジオも堪能し、ドジャーススタジアムでは大谷選手のホームランも見ましたね。食事はイン&アウトバーガーにチックフィレ、マンハッタンビーチにある"いかにも西海岸的な"高級シーフード・レストランにも行きました。お土産「天国」となったのはトレーダージョーズ。あまりにも評判がいいので2回も行きました。さらにイン&アウトバーガー・カンパニーストアにも2回訪れてTシャツ等を購入していました。
アマゾン・フレッシュにアマゾンゴーでもDX体験。ウォルマートには行きませんでしたが、13ドルのアメリカ製Tシャツがあったなら絶対に購入していたと思いますね。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境