衣料品に限らず、様々な分野でネット通販は過渡期というか、停滞期に入ってきたと感じる。
ADVERTISING
アパレルで言うと2020年のコロナ特需をきっかけにネット通販が大幅に伸びた企業が多かったが、2023年、2024年は前年並み、前年割れしているブランドや企業も珍しくない。
中には「実店舗での売れ行きが回復したので、梱包・発送作業に手間と人出がかかる上に運送の2024年問題もあるのでネット通販在庫を減らして実店舗へ誘導するようにしています」と答えた企業もある。
もちろん、この企業の姿勢を全企業に当てはめることは難しいが、ネット通販がイケイケドンドンだった時代とはムードが異なってきているのは確かといえるのではないか。
今後、ネット通販は売れる企業と落ち込む企業の格差がさらに鮮明化し、実店舗と同じく売れる店は売れるが売れない店は全然売れないという状況に落ち着くと見ている。
そんな中、改めて基本に立ち返る必要があるのではないかと思っている。
ネット通販の利用度合は人によって異なるが、当方の場合、以前にも書いたが毎日定期的にすべての登録サイトを見て回っているわけではない。さすがにそこまで暇人ではない。
ポイ活でもやっていればメリットがあるからこちらからサイトを覗きに行くという習慣づけも可能だろうが、そういうメリットがない公式通販サイトを毎日覗きに行くほどの熱意は何に対しても当方は持ち合わせていない。
当方がサイトを覗きに行くきっかけはやはり「メルマガ」なのである。
メルマガが嫌われているのは知っている。当方も極力メルマガは登録しない。登録サイトが増えれば増えるほどメルマガも増えるのでなるべく取らないようにしている。めんどくさいから。
しかし、以前にも書いたがユニクロ、ジーユ―のメルマガはそのままにしてある。内容はさして読んでいない。
理由は
1、新製品入荷情報が来るから
2、値下げ情報が来るから
大きく分けるとこの2点である。
この2つが来ると、公式通販サイトへ行って商品と価格をチェックするのである。いくら当方が安物好きだからと言って、ユニクロとジーユーを毎日定期的に見に行くほどの愛情はない。
メルマガをアラート機能として活用しているわけである。
ほかにもニュースサイトからメルマガが来ることがあるが、これもほとんどは流し見する程度だが、たまに目を引くニュースの見出しがあれば、そのニュースを読むためにサイトに飛ぶことはある。
当方のメルマガの使い方が世の中の皆さん全員に当てはめられるかどうかはわからないが、こういうメルマガの使い方をしている消費者は当方だけではないと思っている。
まともなEC系コンサルタントやアドバイザーは、当方の知っている限りにおいてはだいたいがメルマガの効力を説いておられる。
「ほとんど読まれないかもしれませんが、お知らせを発信し続けることは重要で、1%でも反応があれば続けるべき」
というのが、だいだいの彼らの主張だが、当方はその通りではないかと思っている。現に当方がメルマガで新商品入荷と値下げ開始を知って、通販サイトや実店舗に見に行っているわけだから。
これと並行して必要なのがアプリではないかと思っている。
最近は何でもアプリでスマホ上にアプリが増えすぎて「これ以上アプリを増やしたくない」と思っておられる人も多いのではないかと思っている。当方も同様である。
しかし、アプリの通知機能で知ることもある。
メルマガを滅多に配信しないブランドでもアプリから配信する場合もある。「新商品入荷」とか「値下げ開始」とか「再入荷しました」とか、である。
当方はその通知が届いたタイミングでアプリを開いて商品と値段を確認する。
メルマガを取っていないブランドならアプリからの通知で確認作業を行っている。
通販サイトは今や無限にある。
人びとはみなそれなりに忙しいから登録しているすべてのサイトを毎日確認できるわけではない。それこそ可処分所得もそうだが可処分時間の奪い合いなのである。
そうなると、新商品入荷、値下げ開始、再入荷などは通知をしないとわざわざ見に来てもらえない。それはよほどの人気ブランドに限られている。貴社は消費者にとってそれほど人気が高いのか?
通知の手段としては、メルマガとアプリだろう。この2つで通知をしないと通販サイトは埋没してしまう。
少し前にワークマンの通販サイトのことを書いた。直近のネット通販売上高は公表されていないので分からないが、恐らくは30億円内外ではないかと推測している。
売上高1300億円の会社がネット通販売上高は30億円しかない。ネット通販売上高が少ない理由としてはメルマガとアプリが無いということも大きな部分を占めるのではないかと考えている。
当方はワークマンの公式通販サイトにメールアドレスを登録している。しかし、一度もメルマガが来たことがない。新商品入荷も再入荷も皆目わからない。スマホにアプリをダウンロードしようとして検索したが出てこないところを見るとアプリも存在しないらしい。となると、アプリからの通知も来ない。
必然的にワークマンの公式通販サイトを見る回数はユニクロ、ジーユ―、ドットエスティに比べると格段に少なくなる。いくら暇人の当方とはいえ、毎日毎日ワークマンの公式通販サイトをチェックするほどの思い入れも情熱も愛情も無い。
ネット通販のコロナ特需が終わった今こそ、基本に立ち返ってメルマガ配信を行うべきではないかと思う。もしくはアプリを作るか。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【南 充浩】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
銀行やメディアとのもたれ合いが元凶? 鹿児島「山形屋」再生計画が苦境