雨の日は履けないなあ、とか、夕立の心配のある日は履けないなあ、とかめんどくさいことを想定しつつ買ってしまうということは、他の数寄者の方々のレベルではないにしろ、自分もその端くれなのだと感じずにはいられない。
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それをSNSにアップしたところ、関西圏にお住まいになる業界の某先輩が買いに行かれたそうである。先輩は恐らく60代前半だったと記憶している。
その先輩の感想が
「自分も含めてジーユーに高齢者客が多くて驚いた」
とのことだった。
当方とてすでに54歳という老齢だから、高齢者客の一人ではあるが、これは数年前から顕著に増えていると感じている。
たしか、今年の初めか昨年末ごろだったと記憶している。季節は冬である。
当方と同年代かもう少し上の60代と思われる男性が、その母親と思われる推定80代と思われる女性を連れて二人でジーユーに買い物に来ていた。
見ていると、男性が自分の服を買うのではなく、腰が曲がって杖をついた母親が自分の服を買って出て行った。こんな高齢者までがジーユーで買うようになっているのかとその時は驚いたものだった。
これ以外でもジーユーで自分より年上と思われる高齢者客を見かける度合は年々増えている。
コロナ禍がまだ明けていない時期だったので22年か23年のことだったと思うが、当方がジーユーで値下がりしたズボンを試着していたことがある。もちろん試着室でだ。
その際、別の試着室から推定60代と思われる女性の野太い声がのべつ幕なしに聞こえてくるのである。しかも音量がデカいから喋っている内容はまる聞こえである。
内容は実にたわいもないもので、販売員の若い女性に向かって
「わたしも昔は〇〇やったんやで~」
とかそういう雑談である。
しかし、ずっと喋っているのである。およそ沈黙する瞬間というものがない。当方はズボンを試着しながら「よくあれだけ喋る内容があるなあ」と感心していた。
ではなぜジーユーに高齢者客が増えているのか。
理由は
1、低価格
2、ビッグサイズ化
という2点が大きいのではないか。自分事として考えると低価格はもちろんのこと「ビッグサイズ化」の要因が大きい。
最近、年金生活突入後を頭の中でシミュレーションすることが増えた。当方の引退は間近といえる。
すべての物でわざわざ粗悪品を買おうとは思わないが、そこそこの品質でなるべく安値で済ませたい。年金支給だけでは足りず、貯金を取り崩すことになる。何歳まで生きるのかわからないから、なるべく少しずつ取り崩そうと考えるのは当たり前のことである。そうなると、すべての物はなるべく安く抑えたい。
インフレ後の定価設定は別として、値下げ後の安値においてはジーユーは一段突き抜けている。資産防衛するためにジーユーで買う高齢者が増えるのも無理からぬことだろう。
それよりもジーユーの「ビッグサイズ化」が大きいだろう。
ジーユーは元来若者をターゲットにしているため、当初はピチピチサイズだった。当方なんてピチピチだったので、2016年になるまで1枚も服を買ったことがなかった。
それが2016年で少しサイズ感が大きくなり、2017年以降ビッグサイズ化が顕著になった。これは何も中高年客を集めたくてジーユーがサイズ感を広げたわけではない。
ちょうどこのころからビッグサイズが最先端トレンドとして復活してきたわけである。
しかし、中高年の多くは若い頃よりサイズが大きくなってしまっている。それは1サイズくらいでとどまっている人もいれば、何倍にも膨れ上がってしまっている人もいる。
1サイズか2サイズ身体が大きくなってしまった中高年にとってビッグサイズ化したジーユーはまさにうってつけだったわけである。おまけに安い。
トラッド寄りで硬いアメカジイメージが強いユニクロに対して、ストリートカジュアル寄りで若者向けというイメージが強いのがジーユーである。しかし、無地の長袖Tシャツとか無地の合繊セーターとか年代を選ばないアイテムも探せば多々ある。
そういうもののサイズ感が大きくなれば、中高年客が注目するのも当然だろう。当方もその一人だし、元近鉄百貨店の部長だった人もその一人である。値下がり品を狙えばさらに安く買える。
これまでのファッショントレンドというのは中高年がそれを着用し始めると若者は去って全く別の先端トレンドが始まった来たが、恐らくこのビッグサイズ化というのは今後無くならないのではないかと思っている。
理由は様々あるが、例えば現在「最先端トレンド」として持ち上げられているのが「古着の取り入れ」なのだが、古着というのは当然最新商品ではない。もう何年も前の商品をリユースしている。そうなると「最先端のシルエット」なんていうものがあるわけがない。
その古着をオシャレと称する人が率先して使っているのだから今までのような最先端トレンドが生まれるはずもない。
タイトシルエットも1分野として定着するだろうし、ビッグサイズも1分野として定着する。何なら、同じ人が日によって気分によって着る服を使い分けるという感じだろう。
生活防衛のための低価格需要とビッグサイズ化で今後ますますジーユーを選ぶ中高齢者層は増える可能性すらある。
そうなると、ユニクロに次ぐ第二の国民ブランド化するかもしれない。
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