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音楽をはじめ、コンテンツをすっかりデータで楽しむものになった時代に、アナログレコード市場の成長が続いている。
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日本では2023年にアナログレコードの生産実績が金額にして62億6700万円を記録。1989年以来34年ぶりに60億円を超えた(日本レコード協会発表)。ブームは日本だけではない。Business Research Insightsによると、2021年に2億3940万米ドルだったレコードの世界市場規模は今後CAGR15%で成長を続け、2031年には10億米ドル近くまで成長するとの予想だ。
レコード人気を裏付けるガジェットがクラファンで注目
そんな世界的なアナログレコード人気を背景に誕生したのが、超軽量ポータブルレコードプレーヤー「VIBESPIN」。クラウドファンディングサイトKickstarterにてプロジェクトを実施中だ。
本体サイズ幅28センチ×奥行き11センチ×高さ5センチ、746グラムという小型&軽量を実現。バッテリーとスピーカー内蔵で、外出先で気軽にレコードを楽しめるというものだ。針は日本の中電社製のカートリッジを採用。レトロで可愛いデザインと、約1万6000円からという手頃な価格も人気の理由といえそうだ。
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「人生でずっとアナログレコードとレコードプレイヤーを収集してきた」という開発者だが、コメント欄には長年のレコードマニアと見られる層による「レコードブームに便乗しているだけ」といった厳しい意見が。
とはいえプロジェクトは残り約30日の時点ですでに目標金額を達成、Kickstarter公式のお気に入りプロジェクトにも選ばれている。マニアからではなく、ブームをきっかけにレコードを聴き始めたライト層に支持されているのかもしれない。
パンデミック以降若者世代を中心に人気
冒頭でも触れたとおり、日本のアナログレコード市場は数十年ぶりの伸びを見せている。日本レコード協会の発表によると、アナログレコードの2023年生産実績は数量で前年比126%の269万1000枚。金額では前年比145%の62億6700万円とななった。
なぜ今アナログレコードなのだろうか? 新型コロナウイルス流行期の「おうち時間」をきっかけに、Z世代の若者がアナログレコードの「良さ」に気が付いたとされている。「ジャケットがカッコイイ」と、インテリアの一部としてレコードを買い求める若者も多いそうだ。
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2023昨年12月には東京・渋谷のスクランブル交差点に面するショッピングモールMAGNET by SHIBUYA 109に中古レコードショップ「RECOfan」がオープン。在庫数2万5000枚という同店舗に限らず、若い人の来店が増えているとのこと。
同じく渋谷のタワーレコード渋谷店は、2024年2月末のリニューアルオープンでアナログレコード専門店TOWER VINYL SHIBUYAを大幅拡大。フロア面積は約2倍、在庫も3万枚以上増えて合計で10万枚を超える品揃えとなった。
デジタル時代にこそ光るアナログの魅力
1982年のCD誕生以降、80年代のピークから生産が激減したアナログレコード。音楽愛好家や音にこだわる層に支えられてきた。DJやコレクターにとっては貴重な財産であり、ライブやレコーディング、DJセットなどに頻繁に使用されている。
2007年には「レコード・ストア・デイ」というイベントがアメリカで誕生。毎年4月の第3土曜日と11月のブラックフライデーに開催され、イベント参加店舗でだけ特別生産レコードが販売される。2015年には日本でもレコードメーカーの東洋化成が11月3日の「レコードの日」にイベントを開始。2016年にはレコード製造販売プラットフォーム「QRATES」にて卸販売システム「Store Delivery」が始まり話題になった(同サービスは現在リンク切れ)。
上のグラフからもわかるとおり、2010年に底をうった後はレコードの売り上げは少しずつ回復していた。また、ブーム前のパンデミック当初に一旦は減少している。多くのレコード店が閉店を余儀なくされるなどしたほか、製造や流通にも影響が出たとされる。
その後の人気は上述のとおりだ。目の前のフィジカルな「盤」から生み出される音の豊かさや深み、美しいジャケット、ターンテーブルでレコードを回す独特の感覚に、多くの人が惹き寄せられている。一過性のブームに終わらず、今後も成長が続きそうだ。
引用元:
Kickstarter
2023年音楽ソフト年間生産実績(一般社団法人日本レコード協会)
(文・根岸志乃)
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