展示会より
Image by: FASHIONSNAP
「アース ミュージック&エコロジー(earth music & ecology)」が2023年春シーズンのリブランディング以降、復調している。顧客の年齢層拡大および若年層の新規顧客獲得を目指し、リブランディング後はフェミニンを軸に4つのレーベルを展開。かつては「ナチュラルかわいい若者向けのブランド」というイメージが強かったが、広報担当者は「『アースらしさ』を更新できた」とし、2024年1月期の売上実績では既存店ベースで前年比15%の増収となった。今期(2025年1月期)も20%増と、2年連続の2桁伸長を見込む。
アース ミュージック&エコロジーは1999年にデビュー。宮崎あおいがCMキャラクターを務めていたブランド全盛期の2010年代前半は、レースや刺繍を取り入れた「ナチュラルでかわいい」デザインと、手に取りやすい価格帯で当時10〜20代の女性を中心に支持を集めていた。2010年代後半からは宮崎に加えて広瀬すずと鈴木京香をCMキャラクターに起用し、エイジレスを提案。ベーシックなデザインも増やし、この頃から「ナチュラルかわいい」からの卒業を目指してきたが、イメージからの脱却は難しく、幅広い年齢層の取り組みに苦戦した。加えて、コロナの影響からリアルに強みを持つが故の大きなダメージを受け、直近は売り上げが低迷。店舗の閉店が相次ぎ、セールも恒常化していた。2022年夏には外部からディレクターを招きリブランディングを実施したが、エッジのあるデザインはファンには響かず、顧客離れが進んだ。
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今回の“再リブランディング”にあたり、課題となったのは「ブランドイメージの更新」と「若年層獲得」。リブランディング着手前は、コロナ前の2018年と比較して20~30代の構成は8%減少した一方で、40~50代が11%増加するなど、顧客の平均年齢が上昇傾向にあった。また、顧客向けアンケートでは全盛期のブランドイメージが残ったままだっただけではなく、「セールが多い」という印象が強いことがわかった。
幅広い年齢層に支持してもらうために、上品さと甘さのあるスタイルが揃う「優しげフェミニン」、韓国カルチャーなど若者のトレンドを反映した「親しみトレンド」、ベーシックな中にフェミニンさを感じさせる、既存のファンも手に取りやすいデザインを展開する「こなれシンプル」、大人の女性に向けたカジュアルスタイルを提案する「大人カジュアル」の4つのレーベルを設立。他社ブランドコラボやキャラクターコラボなどのコンテンツも充実させることで、幅広い購入客層に応じた品揃えを展開している。ものづくりの面では、ブランドチームに若手社員がジョインし、長年企画を担当してきたベテラン社員と、トレンドに敏感な若手社員の意見の両方を取り入れることで、40〜50代の既存顧客が安心して手に取れるデザインは残しながら、フェミニンをベースにトレンドを取り入れた新しいデザインの提案に力を入れたという。これまでの進捗として、「20代後半〜30代前半の層はまだ薄い」(アース ミュージック&エコロジーの橋本将司MD統括チームマネージャー)というが、2023年度の20~30代の売上は全体の約41%で、前年から2%上昇。過剰なセールも取りやめた結果、売り上げ増にもつながった。
2024年秋シーズンはアパレルのみで110型、小物を含めると125型。4レーベルの展開型数に偏りはなく、引き続き若者を中心に幅広い客層にアプローチしていくほか、今期からはインフルエンサーを起用したプロモーションや展示会への招待といった取り組みも行っている。円安が進むが、商品価格は一部値上げしたのみで大半の商品は価格設定を維持しているという。
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リブランディング後、ブランドではスタッフを対象にしたワークショップを実施したところ、多くのスタッフがイメージする「新生アース」像は揃っていたという。「アースっぽいデザインだと思って手に取った商品が、全く新しい商品だったことがある」と広報担当者。内外ともにイメージ改革は順調に進んでいるようだ。今後の目標としては、20~30代の構成比率を45%程度までに引き上げたい考え。
この秋にはブランド設立から25周年を迎える。この節目を前に、初のパーパス「いいことある服。」を発表した。ブランドアンバサダーに俳優の南琴奈を起用。橋本氏は「いまのアースは過去の“ナチュラルかわいい”とは違うんだと伝えたい。いいものをしっかりと作っているので、発信していきたい」と、25周年の先に意欲を示した。
パーパスヴィジュアル(夏)
Image by: earth music & ecology
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