■チェーンストア最大手のウォルマートが16日に発表した第1四半期(2月~4月期)決算が市場予想を上回り、増収増益・既存店増と好決算となった。
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生活必需品や値引き品を求める価格に敏感な低所得者層から奏功するネットスーパーが富裕層もひきつけた。
食品や生活必需品などが牽引し会員費等を含む総売上高が前年同期比6.0%増となる1,615.1億ドルとなった。純利益は前年同期の16.7億ドルから205.1%増加となる51.0億ドルと大幅な増益となった。
売上全体の7割近くを占める国内のスーパーセンターやディスカウントストアなどウォルマートUSの売上高は1,087億ドルと前年同期比4.6%の増加だった。
ウォルマートUSの既存店・売上高前年同期比(ガソリン販売は除外)は3.8%の増加となった。これにより2014年8月~10月期から39四半期連続で前年を上回っている。
既存店ベースの前年同期は7.4%の増加だったことから大幅なペースダウンとなった。
内訳は客数を示すトランザクション(処理件数)が富裕層等のトレードダウン客が増えたことで3.8%の増加。また客単価はインフレの影響で横ばいとなっている。
ネットスーパーを含め国内のEC売上高はカーブサイド・ピックアップやデリバリー、マーケットプレイスが牽引し前年同期比で22%の増加となった。
ウォルマート・マーケットプレイスが拡大していることで広告代理店事業「ウォルマート・コネクト(Walmart Connect)」売上も前年同期比で26%増加した。なおグローバル広告売上高は前年同期比で24%の増加。
メンバーシップ・ホールセール・クラブのサムズクラブでは売上高が214億ドルとなり前年同期比4.6%の増加となった。
既存店ベース(ガソリン販売は除外)は4.4%の増加となっている。既存店の内訳は客数が5.4%で増加するも客単価は1.0%の減少となった。
サムズクラブのEC事業は18%の増加と二桁成長を維持している。
ウォルマートは30日、若い世代に向けた新食品プライベートブランド(PB)「ベターグッズ(bettergoods)」を発表。
約30年前に発売された食品PB「グレートバリュー(Great Value)」以来の大規模ローンチによりトレーダー・ジョーズやホールフーズ・マーケットから富裕層客を獲得するのが狙いだ。
ベターグッズのアイテム数は300品目にも上り、価格帯は2~15ドル。約7割が5ドル以下の食品となり、お値打ち感を訴求している。具体的には冷凍・乳製品・スナック・飲料・パスタ・スープ・コーヒー等。
1992年から発売しているグレートバリューと大きく異なる点はベターグッズがミレニアムやZ世代を対象に開発されているところだ。
若い世代に向けたベターグッズはアップグレードされたレシピ用、植物由来、グルテンフリーなどフリーフロムの3つのカテゴリーに分類されている。
今後はベターグッズがどれほど若い世代から富裕層に浸透していくかが注目されている。
ウォルマート第1四半期(2月~4月期)
総売上・前年同期比:6.0%増
既存店・売上高前年同期比: 3.8%増(ウォルマートUS)
ウォルマート店舗数(24年1月31日)
アメリカ国内店舗数:5,214店
スーパーセンター:3,560店
ネイバーフッドマーケット:675店
ディスカウントストア:360店
小型店:20店
サムズクラブ:599店
海外店:5,402店
総店舗数:10,616店
トップ画像:ウォルマートでは驚くほど多くのピッカーがネットスーパー注文品をピッキングしているところを見かける。富裕層を引きつけているのだが、ネットスーパーを体験すればその理由は明らかだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。ウォルマート・スーパーセンターやネイバーフッド・マーケットに視察に行くと、驚くほどピッカーがネット注文品をピッキングする作業を目にします。視察に行けば行くほどウォルマートにとっていかにネットスーパーが成長戦略の要になっているのかが無視できないのです。実際、ネットスーパーを含めEコマース売上高は、前年同期から22%の増加です。前期となる第4四半期は17%の増加、その前の第3四半期も第2四半期もそれぞれ24%増となり、1年前の第1四半期も27%の増加で二桁成長を維持しているのです。世界一の小売チェーンはとんでもなくネットスーパーを強化しているのです。ウォルマート・アプリを使って生鮮品を購入すれば即座にそのスゴさを実感できます。当社のワークショップ研修で、参加者がiPad Proを使ってウォルマート・アプリを介して買い物をします。誰もがネットスーパー体験に感動します。相変わらず年収10万ドル(約1,500万円以上)の富裕層をひきつけていますが、その理由にユーザー体験にあることを得心するのです。
ウォルマートの次の打ち手はトレーダー・ジョーズ・キラーとなる食品プライベートブランド「ベターグッズ(bettergoods)」です。このPBをもって、ネットスーパーをやらないトレジョに対していかに顧客を奪うのかに関心が向きます。
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