伊勢丹新宿店の外観
Image by: FASHIONSNAP
三越伊勢丹ホールディングスが2024年3月期(2023年4月〜2024年3月)の通期決算を発表した。総額売上高は前年比12.5%増の1兆2246億円、営業利益は2021年11月に開示した当初の長期計画500億円を上回る543億円を達成。また、国内百貨店計のインバウンド売上高は1088億円(コロナ前の2018年度比で45%増)と過去最高を更新した。インバウンド売上が1000億円を突破したのは初めてだという。
インバウンド売上高は、これまでコロナ前の2019年3月期の755.5億円が過去最高だった。1000億円を突破した背景として、伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店の3店舗では、中国本土除くアジア地域が大きく牽引。地域別の売上高のシェアでは、中国本土の40%を上回る49%(コロナ前の18年度は21%)に拡大した。
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なお、基幹店の一つである伊勢丹新宿本店では売上高3758億円を計上し、昨年に引き続き過去最高を記録。同社広報担当者によると、特に「高付加価値」のあるモノに動きがあるといい、ファッションでもラグジュアリーブランドやデザイナーズブランドに加え、インフルエンサーや顧客関心度の高いDtoCブランドなどはイベントを行うと好調に推移しているという。その他、三越銀座店でも売上高1047億円を計上し、過去最高を更新した。
外商売上も好調で、単日ベースでの過去最高売上はこれまで初売り商戦などのイベントがある日が中心だったが、2023年度は丹青会や逸品会といったグループ上位顧客向けのイベントが開催された日が最も売上が良く、2024年2月開催時は過去最高の売上高を計上した。これらのイベント売上にも海外外商顧客が寄与し、約160組が来場したという。
今期(2025年3月期)は百貨店特有のマスを意識した“館”業から、顧客一人ひとりに合わせたMD戦略を目指す“個客”業へのスイッチに向けて、総額売上高1兆2800億円(前期比4.5%増)、営業利益640億円(同17.7%増)を予想。当期純利益は前年度法人税等調整額の関係で、530億円(同5.6%減)と減益を見込むが、実質増益を計画する。伊勢丹新宿本店の売上高は、過去最高売上をさらに更新し4000億円超えを目指す。
国内百貨店のインバウンド年間売上は、4月に過去最高の月間売上高を更新するなど直近足元の実績を踏まえ、前年比44%増の1563億円を計画。この数字は、コロナ前の年間売上高の2倍強にあたるという。
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