一般的に紫外線がつよくなりはじめるのは、4月以降からと言われている。日差しが強くなってきた今日この頃、適切な紫外線対策ができていると言える人はどれだけいるだろうか?紫外線対策のひとつに日やけ止めを塗る方法がある。多くの人が取り入れている手段だろう。しかし、自分の肌に合うもので、かつ正しく塗らないと、その効果を最大限発揮できないという。そこで注目されているのが、花王からリリースされた「ALLIE AI Beauty UV」。スマホで素肌を撮影するだけで、AIが日やけ止めを選ぶための肌タイプ「UV肌型」と、肌と日やけ止めの相性を数値化した「美成膜値」を算出し、簡単に自分の肌に合った日やけ止めを選ぶことができるサービスである。このALLIE AI Beauty UVについて、ALLIEマーケティング担当の朱 和玲(チュウ ファリョン)さんにお話を伺った。
ADVERTISING
PROFILE|プロフィール
朱 和玲(チュウ ファリョン)
2019年に立教大学を卒業後、国内化粧品会社に就職。デジタルマーケティングの経験を経て、2023年に花王に入社。入社後はALLIEにて、「ALLIE AI Beauty UV」やSNS運用を中心に、ブランドのマーケティング業務を担当。
日やけ止めと肌の相性がわかる
ーはじめに、「ALLIE AI Beauty UV」を開発した背景について教えてください。
2020年、私どもの研究所はコロナ禍の影響で人を集めて新しい研究ができない状況にありました。そんな中、過去の日やけ止めの検証データを見返していると、まったく同じ日やけ止めを使用しても、人によって密着感の違いがあることに気づいたのです。
試しに、異なる肌状態での日やけ止めの効果検証を行いました。荒れている肌と健康な肌に同じ日やけ止めを同じ条件で塗布し、日やけ止めを映す特殊なカメラ(UVカメラ)で撮影すると、見え方に違いがあるとわかりました。これにより「肌の状態によって日やけ止めの密着感に差が出る」という事実を発見しました。
「相性の良い日やけ止めを使うことで、美しい仕上がりを目指せる」とお伝えすることで、お客様に日やけ対策をより実感しやすい価値があるものととらえていただけるのではないかと考えました。肌特性ごとにグループ分けし、それぞれ仕上がりが良かった日やけ止めを数値として見える化する。これが、「ALLIE AI Beauty」で提示している、UV肌型と美成膜値のはじまりです。
このサービスで、お客様も一目で自身の肌と商品の相性を理解することができ、日やけ止めを選ぶ際の指標のひとつとなります。紫外線から肌を守るうえで、適切な日やけ止めの選択は非常に重要です。そのお手伝いができると考え、このサービスの提供を決めました。
ー「UV肌型」の分類基準と、5つのタイプについて教えてください。
「UV肌型」は、肌のキメ、水分・油分バランス、やわらかさをもとに、花王の「Kirei肌AI」によって分類しています。
キメは、肌の表面を表す数値です。この数値が高いほど、凹凸が少なく、肌が均一な状態になります。
水分・油分バランスは、肌の水分と油分のバランスが整っていることを表す数値で、日やけ止めのなじみやすさに関わります。この数値が高いほど水分・油分が同程度あり、日やけ止めがなじみやすい肌ということになります。一方で、数値が低い場合の原因は肌によって異なり、過剰に皮脂が出ている場合と、乾燥している場合などがあります。
やわらかさは、肌の硬さ・やわらかさを表す数値です。この数値が高いほど、日やけ止めをのばしやすい肌状態になります。
ー「UV肌型」を判定するために使われている「Kirei肌AI」の評価方法はどのような技術でしょうか。
人工知能(AI)技術のひとつである深層学習を用いて、多様で繊細な肌の質感を評価・可視化する「肌評価AI」に、さらにヒトの感性を学習させ、肌の精緻な解析とヒトの視点・判断をあわせ持つ技術です。
ALLIE AI Beauty UVでは、肌の特徴と日やけ止めが肌にもたらす塗膜の均一性を学習した人工知能を用いて、一人ひとりの肌特徴に基づく塗膜の均一性を推定しています。
ー「美成膜値」とはどのような指標なのか、詳しく教えてください。
まず美成膜とは、肌を美しくカバーした日やけ止めの膜のことです。肌に合った日やけ止めを使うことで、美しく均一にカバーした「美成膜」が形成されます。美成膜値とは、UV肌型ごとに各種ALLIEの日やけ止めを塗ったときの、それぞれの塗膜の均一性、仕上がり、仕上がりの持続性を集計した数値になります。
ーサービスの精度を高めるために、どのようなデータ収集や研究を行ったのでしょうか?
ターゲット層の方々を対象に、UV肌型の振り分けと、美成膜値の集計を行いました。UV肌型は、一人ひとりの肌データを集め、「肌の凹凸」「水なじみ」「やわらかさ」などの項目からタイプを分類していった結果、最終的には5つの肌型に振り分けることができました。
美成膜値は、複数のALLIE商品を使っていただき、それぞれの商品を塗った肌データからスコアを集計していきました。このスコアがもっとも高い商品が、その方の肌に対してもっとも相性の良い商品ということになります。
紫外線から肌を守るために必要なこと
ーサービス開発においてもっとも苦労した点や、工夫したポイントはどこでしょうか?
研究段階で、「肌の状態によって日やけ止めの密着感に差が出る」という発見をしたものの、この事実をどうお客様への価値に繋げるかが課題でした。事実をそのままお客様に伝えても、日やけ止めの密着感は実感が得にくいため、価値ととらえられにくい状況でしたが、「相性の良い日やけ止めを使うことで、美しい仕上がりを目指せる」と伝えていくことで、お客様がその価値を実感しやすくなるのではないかと考えました。
そこで、肌特性ごとにグループ分けし、それぞれ仕上がりが良かった日やけ止めを数値として見える化する本サービスの開発に至ったのです。
日やけ止めと肌の相性がわかるサービスというところに、新規性があると考えています。SPF50+の日やけ止めが市場に溢れるなかで、自分に合う商品がわからず悩んでいる方に向けて、ALLIEは新しい選び方の基準を提案しています。
ー紫外線対策に関して、読者へのアドバイスもお願いします。
紫外線から肌を守るために、日やけ止め選びはとても大切なことだと考えています。だからこそ、ご自身に合ったものを確かな情報で知り、きちんと選んでいただきたいと思っています。「ALLIE AI Beauty UV」を通じて、肌に合う日やけ止めを見つけていただけるとうれしいです。
環境に配慮した設計
ーブランドコンセプトにある「サステナビリティ」はどのように体現されているのでしょうか?
日やけ止め全品で環境に配慮したビーチフレンドリー処方を採用していることに加え、環境に配慮した素材を使用したパッケージや、製造時にかかる電力に関して100%再生可能エネルギーを採用しています。
また、「Think Sustainability Action」として、ビーチクリーン活動やサステナブルなイベントを実施しています。
ー今後のスキンケア・メイク市場におけるAIの活用については、どのように考えていますか?
今回のサービスでは、花王の研究員が研究目的で使用していた目視評価のAI予測と、外部技術を掛け合わせた独自の測定ロジックを構築しています。
今後も美容業界でのAI技術の活用は加速すると予測していますが、AIに任せるべき領域と、そうでない領域の見極めが大切だと考えています。
AI技術ありきのプロダクトアウトにならないように、すべてはお客様へ提供する価値基準に照らし合わせ、今後も事業活動を行ってまいります。
ADVERTISING
PAST ARTICLES
【Fashion Tech News】の過去記事
RANKING TOP 10
アクセスランキング
イケアが四国エリアに初出店 香川県にポップアップストアをオープン