■ネット通販最大手のアマゾンの傘下で全米最大の自然食品スーパーのホールフーズ・マーケットが今年秋、新フォーマットをオープンする。2019年以来となる新業態で都心部に住む人たちをターゲットにする。
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ミレニアル層をターゲットに低価格で訴求していた小型フォーマット「ホールフーズ・マーケット365(Whole Foods Market 365)」以来の新コンセプト店は同じく小型フォーマット。
いわゆるタイパに優れた時短ストアで素早く買い物を終えられることを主軸にした店舗だ。
ニューヨーク市内マンハッタンに今年オープンを予定しているのは「ホールフーズ・マーケット・デイリー・ショップ(Whole Foods Market Daily Shop)」だ。
場所はアッパー・イーストサイド(1175 3rd Ave New York, NY 10031)で富裕層の住宅街として知られている。
ホールフーズは同店のほかにもニューヨーク市内で4件のリース契約を結んでおり、全米の他の都市にも拡大する。
デイリーショップの店舗面積は7,000~14,000平方フィート(約200~400坪)でホールフーズの平均店舗面積である40,000平方フィート(約1,100坪)の4分の1~2分の1弱という小型サイズ。
ホールフーズの一般的な生鮮品等の品揃えを含め、都心部に住む富裕客が素早く買い物できるようにグラブ&ゴー商品が多くを占めるという。
対面販売を減らしながらサンドイッチやプレパックなどに時短調理の商品が主流となりそうだ。対面ではスムージーやコーヒー、軽食等を提供するカウンターも導入する。
フルサービスレジかセルフレジまで、アマゾンが開発した生体認証の「アマゾン・ワン(Amazon One)」も導入を予定している。
ホールフーズ全店に導入されているアマゾン・ワンは手のひらのデータを事前に登録しておき、クレジットカード情報やアカウント情報をひも付けておくことでレジにある専用の手のひらを専用端末にかざすだけで決済が完了する。
ホールフーズとアマゾンで店舗開発を担当するエグゼクティブ・バイスプレジデントのクリスティーナ・ミナルディ氏は新店について「持ち帰り用の食事から、急な夕食の材料まで、早朝や仕事帰りのスーパーへの買い物をより効率的で楽しいものにします」と語っている。
ホールフーズ・マーケット・デイリー・ショップは実はコロナ前の2019年初めに2,500平方フィート(約70坪)のコンビニエンスストアでオープンしている(現在は閉鎖している)。
場所は7番街(7th Avenue)と25丁目(25 Street)のコーナー(260 Seventh Ave. New York, NY 10001)で、以前までオーガニックの化粧品やボディケア製品を扱っていた「ホールボディ・アット・ホールフーズ・マーケット(Whole Body at Whole Foods)」があったところ。
ホールフーズ・デイリー・ショップの隣にはホールフーズ・マーケット・チェルシー店(250 Seventh Ave.)がある。両店は同じビルに入店しているものの、店内でつながっていない。
ニューヨークでは小さな食料品店の中にサンドイッチなどを作って出すカウンターのあるショップを「ボデガ(Bodega)」と呼んでいる。
ホールフーズの小型フォーマットはこのボデガとコンビニエンスストアを足したものになっていたのだ。
営業時間が午前6時~午後11時となっていたホールフーズ・デイリー・ショップは「グラブ&ゴー(Grab & Go)」と呼ばれている飲み物やベーグル、ドーナツ、スナック類があり、他にサラダやスープ、サンドウィッチを中心にした品揃えとなっていた。
店内にはボデガのように別カウンター「コーヒー&ジュース(Coffee & Juice)」でコーヒーやティー、コンブチャをサーブ。入り口近くには飲食ができるシーティングエリアも設けられていたのだ。
同コーナーではオーガニックのアサイーを自分の好みのボウルにトッピングできるアサイーステーションも提供していた。
リンゴやバナナ、アボガドなど一部の生鮮品や乳製品、ペットフード、ホールボディの歯ブラシやシャンプー、デオドラントに旅行者向けの商品などコンビニエンスストアとしての役割も担ってい他のだ。
レジはフルサービスのレジにセルフサービスのレジも導入されていたのもデイリーショップの特徴だろう。
ホールフーズの新業態といえば2019年に撤退したホールフーズ・マーケット365(旧名は365バイ・ホールフーズ・マーケット)がある。
2016年に1号店がオープンした店舗(780坪)では野菜や果物に非オーガニックを大幅に導入し、20代~30代のミレニアル層をターゲットに低価格で訴求する当時としては小型サイズだった。
通常2.5万~3万品目の品揃えであるホールフーズに対して365は7,000~8,000品目と商品を絞り込み、プライベートブランド(PB)の比率も高め、お値打ち感を演出していた。
デジタル電子棚札(Electronic Shelf Label)の導入やタブレット端末によるワイン説明などロー・コストで営業。
精肉・シーフードではカスタムカットを提供する対面販売を行っておらず、真空パックされたプリパッケージのみの販売となっていたのだ。
しかし700~840坪で12店舗まで拡大した後、同業態から撤退したのだ。
当時のCEOだったジョン・マッキー氏は撤退理由について「本体のホールフーズ・マーケットはこの1年、一貫して値下げしてきたことで(本体と365の)二つブランドの価格による差異が薄れてきています」と説明し「今後も値下げをおこなうことで、価格差がさらになくなると思っています」と挙げていた。
なお365はレイオフや店舗スクラップはなくそのまま営業を続けながら本体に統合された。
一方、コロナ禍により追加出店が見送られた"小型"デイリー・ショップはコンビニサイズの1号店より3倍~6倍弱の広さとなって戻ってくることになる。
トップ画像:コロナ前となる2019年にオープンしたホールフーズ・マーケット・デイリー・ショップ(現在は閉鎖)。70坪しかないコンビニサイズで逆に小さすぎたのだ。これではアマゾンのピックアップ返品拠点にならない。
ニューヨーク市内マンハッタンに今年秋オープンを予定しているのは「ホールフーズ・マーケット・デイリー・ショップ(Whole Foods Market Daily Shop)」だ。
デイリーショップの店舗面積は7,000~14,000平方フィート(約200~400坪)でホールフーズの平均店舗面積である40,000平方フィート(約1,100坪)の4分の1~2分の1弱という小型サイズ。
ホールフーズの一般的な生鮮品等の品揃えを含め、都心部に住む富裕客が素早く買い物できるようにグラブ&ゴー商品が多くを占めるという。対面ではスムージーやコーヒー、軽食等を提供するカウンターも導入する。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。タイパとは「タイムパフォーマンス」の略語です。時間を効率的に使うことを意味していてITの進化により、子供の頃からモバイルに親しむ若年層にタイパ重視の人が増えています。いまでは買い物もタイパです。タイパを重視するZ世代はお店の売り場で新商品・新製品を偶然見つけるより、SNS等で先に情報を得ています。しかもモノの情報収集も動画の倍速視聴やショート動画、まとめサイトなどを利用して少ない時間で効率的に情報を得ているのです。最も顕著なタイパな買い物事例ではスターバックスがあります。スターバックスと言えば自宅や学校、職場でもない、居心地の良い"第3の場所"となる「サードプレイス」です。でもスタバ注文の3分の1はアプリを介してレジに並ぶことなくモバイル・オーダーです。しかもNYマンハッタンにあるスタバではこのピックアップが主流で、サードプレイスのないピックアップオンリーも増えています。ホールフーズ・マーケットもこれに倣い、買い物も時短で終わらせる小型フォーマットです。
ホールフーズ・マーケット・デイリー・ショップ1号店は70坪しかないため、ピックアップ・返品拠点にならず小さすぎました。2号店以降はこの点も改良して高タイパな200~400坪となるのです。
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