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ワークマンが、6月にブランド初となるランドセル「ESスチューデントデイパック」を発売し、ランドセル市場に参入する。ワークウェアを中心に展開してきた同社がランドセルを手掛けた背景とは?カバン全般の製作を担当する製品開発第3部の林邦彦マネージャーに話を聞いた。
同社はランドセルに先駆けて、中高生の通学を想定した「フォーミュラスクエアバッグ」(税込7800円)を開発し、2023年秋に発売。開発段階からランドセルの展開を視野に入れていたといい、顧客から多数の問い合わせが寄せられるなど注目が集まったことが後押しとなり、製品化を実現させた。発案者は、小学生の親でもある林マネージャー。「ラン活という言葉が生まれるほど、ランドセルの購入は小学校入学を控える家庭にとって一大イベントとなっている。ワークマンにとっても参入の余地は十分にあると思った」(同氏)。
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ワークマンのランドセルは、林マネージャー自身の子育ての経験をもとにアイデアを取り入れて開発。製品の長所として打ち出しているのは、「価格、軽さ、機能性」のバランスだ。2023年にランドセル工業会が行った「ランドセル購入に関する調査」によると、2023年のランドセルにかける平均費用は5万8524円。「子が求めるランドセルのデザインは、入学時と高学年進級時で変わってくる。この価格帯だと気軽に買い替えるのは難しい」(林マネージャー)。ワークマンでは、耐久性に優れたコーデュラ社製の「バリスティックナイロン」を素材に採用することで、重さ約1300グラムと本革ランドセルの平均重量と比べて100グラム程度軽量に仕上げ、税込8800円と大幅のプライスダウンを実現した。1年に1回買い替えたと仮定しても、本革の一般的なランドセル1つ購入するのと総額は変わらないという。林マネージャーは「親の立場からすると、子どもの雑な使い方にも心を痛めずにいられるのは嬉しい」と話す。
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機能性では撥水性や収納性を重視。「雨の日、傘を差しているはずなのに何故か我が子が荷物の中身をびしょびしょにして帰ってくることがある」という林マネージャーの実体験から、ランドセル下部には撥水のランドセルカバーを取り付け、「夕方の通学路、事故に遭わないか不安」という懸念を解消するため本体およびランドセルカバーには反射材をあしらった。現在小学校では1人1台タブレット端末を支給していることを受けて、学校で使用する一般的なサイズのタブレット端末(11〜12インチ程度)をすっぽりと収納できる「タブレット専用ポケット」を採用しているのもポイントの一つだ。
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新製品発表会後にSNSを中心に注目を集めたワークマンのランドセルだが、話題性とは裏腹に、同社は生産について慎重な構えを見せる。6月の販売ではブラック1色展開で、注文もオンライン限定での対応。生産数に関して明言は避けたものの「数は控えめ」だという。林マネージャー「ワークマンにとってもランドセルは初めての試みなので、まずは冒険せず生産数を絞る。有難いことに多くの問い合わせをいただいているので、発売後の顧客の反応を見ながら、新色や追加生産などを考えていきたい」と語った。
少子化の影響でランドセルを必要とする子どもの数は減少傾向にあるが、国内のランドセル市場は成長を続けている。ランドセル工業会「ランドセル購入に関する調査」、文部科学省「学校基本調査」、厚生労働省「人口動態統計」によると、2013年から2023年にかけて小学1年生の人口は約1割減少しているものの、購入されるランドセルの平均価格が上昇していることでランドセルの市場規模は約1.3倍に拡大。こういった状況からか、子ども服ブランド「ファミリア(familiar)」やスポーツブランドの「ミズノ(MIZUNO)」、アウトドアメーカー「モンベル(mont-bell)」などのメーカーもランドセル市場に参入し、各メーカーが軽量性や機能性を備えた製品を打ち出している。ワークマンのランドセルは最軽量、最安値ではなく、唯一無二の機能性があるわけではないが、「価格、軽さ、機能性」のバランスには自信を示す。同社は近年、デイリーウェアやゴルフ用品といった新たなカテゴリーに進出し、最近ではキッズやシニアといった専門業態を立ち上げるなど、チャレンジを続けている。競争ひしめくランドセル市場への参入も同社にとって大きな挑戦となりそうだ。
■ワークマン ESスチューデントデイパック
価格:税込8800円
発売時期:2024年6月
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