■コーヒーチェーン最大手のスターバックスは直近の第1四半期(10月~12月期)の決算発表で「モバイルオーダー&ペイ(Mobile Order & Pay)」が注文全体の31%に達したことを明らかにした。
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四半期ベースでモバイルオーダーが30%以上に達したのは初となり、ますます人々はモバイルオーダーを使ってコーヒーを注文していることが浮き彫りとなっている。
スターバックスの直営店では3人に一人の割合でスマートフォン・アプリからコーヒー等を注文していることになるのだ。
モバイルオーダーの割合は2年前の第1四半期で25%、1年前は27%で前期(第4四半期)は29%だった。
すでに店によっては注文の半数以上がモバイルオーダーもあり、レイトマジョリティにも浸透しつつあることが見て取れるのだ。
レイトマジョリティとは新しい商品やサービスの市場への普及率を表した「イノベーター理論」の用語であり、消費者の5分類のうちの一つ。
普及の過程を「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」の5つの層に分類しており、
レイトマジョリティは新商品の購入や新サービスの導入に消極的な消費者層となる。周囲の購入状況を確認してから購入を検討する傾向にあり、「後期追随者」「フォロワーズ」とも呼ばれるのだ。
つまりスターバックスのモバイルオーダーはレジ注文など比較的に買い物の仕方に保守的だった人たちも取り込み始めていることになる。
なおスターバックスではターゲットなど7,000ヶ所近くのライセンス店があり、約40%のライセンス店でもモバイルオーダーが拡大しているという。
コンタクトレスのモバイル注文はコロナ禍でニューノーマルと定着。事前注文・事前決済のモバイル・オーダーはレジ待ち行列を緩和し、注文の聞き取りミスや勘違いによるヒューマンエラーを回避できる。
豊富なカスタマイズを手軽に楽しめる上にモバイルオーダーなら注文も簡単となる。行列に並んでオーダーする必要がないため待たされる等のクレームが減少、顧客ロイヤリティが高まるのだ。
スタッフもより調理に集中できることで、店内オペレーションの合理化も図れるメリットがある。
コンタクトフリーとなるモバイルオーダーはお客とレジ係りの物理的な接点がなくなることで感染リスクも最小化できる。
スターバックスのモバイルオーダー&ペイの使い方は、アプリ上で最寄りのスターバックスなどピックアップする店を指定しメインメニューの「注文(Order)」からフラペチーノやサンドウィッチ等を選択する。
ピックアップまでのおよその時間が表示され、注文ボタンをタップすれば注文が確定され決済完了となる。
店では注文を受信すると、スターバックスの厨房にあるプリンタが注文ステッカーを発行する。
注文ステッカーには顧客名とメニューが書かれており、該当するサイズのカップ(サンドウィッチなどは紙袋)に貼って、バリスタが準備するのだ。
モバイルオーダー&ペイの決済では、アプリ内にあるリロード(金額をチャージ)したギフトカード(プリペイドカード)から支払う仕組みとなっている。
最近ではクレジットカードやデビットカード、アップルペイなど直接支払うことも可能となっている。
今年1月からは、店内で使用しているタブレット「アイパッド(iPad)」のスタッフ用アプリに変更を加え、シフト・スーパーバイザー(時間帯責任者)やマネジャーがモバイルオーダーを一時的に停止できる機能を追加した。
想定外の受注や欠勤による職場環境の悪化を理由に受注ボーズを利用できるのだ。店側がモバイルオーダーを停止すると、アプリを利用しているユーザー側に選択不可が通知されるのだ。
またスターバックスはウルトラファスト・デリバリー(ultra fast delivery)のゴーパフ(Gopuff)と提携し、時短の宅配深夜便をテスト始動している。
ゴーパフのフルフィルメントセンターにスターバックスのバリスタ研修を終えたスタッフが午後5時~午前5時までの宅配注文に対応するのだ。
いまのところ対象はペンシルバニア大学やドレクセル大学があるフィラデルフィアのユニバーシティ地区など、深夜のカフェイン需要の高い地域となっている。
宅配はスターバックス・トランザクションの2%程度で時短宅配から需要を喚起したいと考えているのだ。
ウルトラファスト・デリバリーの超速宅配は日用品や食品など1,500~5,000アイテムをもつダークストアから配達員が電動自転車などを使い、一般的には10~15分という超スピードで宅配するサービス。
トップ画像:ニューヨーク・マンハッタンにあるスターバックス(午前7時30分頃)。レジ行列に並ぶ人はすくないがピックアップに来るお客は多い。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。先月、全米小売業協会(NRF)が主催する世界最大規模の小売業の展示会「NRF2024リテール・ビッグショー(NRF2024 Retail’s Big Show)」に合わせてワークショップ研修を行いました。午前中はジェイコブ・ジャビッツ・コンベンションセンターのイベントに参加し、午後からはマンハッタンやニューヨーク郊外にある店舗で世界最先端となる流通DX視察。夕食後はネットスーパー等のワークショップ。イベントに参加する早朝はスターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾンゴーでモバイルオーダーも。ホテルの朝食がついていましたが、外食チェーンによる最新テクノロジーを体験したのです。せっかくNYにいるのに、食事でもイノベーションを利用しない手はありませんから。ちなみにイベント後のランチも移動時間を利用して、毎度車内からシェイクシャックやチックフィレにモバイルオーダーしました。到着すると待ち時間なく食事にありつけるので時間の節約になります。つまりワークショップ研修は社員のタイパが最大化します(笑)。
ワークショップ・スタイルの研修は参加者の時間を無駄なく使えます。その一方で後藤も参加者も疲労度は半端ないです。イノベーションとは時短であり、時間の濃さが凄まじいことになります(体験者ではないとわからないことですが)。
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