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全ての人に必要なデザイン的マインドセット、デザイン会社の非デザイナーが体感していること

全ての人に必要なデザイン的マインドセット、デザイン会社の非デザイナーが体感していること

サンフランシスコ発デザイン会社の公式ブログ
btrax

デザインの役割のひとつに、課題解決がある。

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実際、我々btraxとしてもデザインを通じて企業の課題を解決することを目指して、これまで20年にわたってサービスを提供してきた。

しかし筆者はそれ以上に、デザインはマインドセットそのものであると思う。

これまでFreshtraxでも度々取り上げてきたデザイン思考やデザイン経営といった言葉を代表に、デザインがデザイナーだけのものから、今やデザインは多くの人にひらかれたものとしての認知が広がりつつある。

全てのビジネスパーソンにデザインのマインドを

筆者はbtraxに所属し、その中のマーケティングチームのメンバーとして働いてきた。そして「非デザイナー」の立場でデザインの現場に携わってきて確実にわかることは一つ。

” たとえ非デザイナーであっても、誰しもがデザインに触れるべきなんだ ” ということ。

これは、冒頭にも触れたデザイン経営、デザイン思考といったビジネス的なトレンドの上澄みを掬った話ではなく、実体験として感じたからこそ言えることである。

非デザイナーとしてデザインに多いに助けられることがあるとすれば、それは特にマインドの部分だろう。実際に手を動かすデザインワークこそしないかも知れないが、デザイナーのマインドを持つといいことずくめである。

この記事では、デザイン会社でマーケターをすることで得られたデザイン的なマインドセットと、実際に仕事の場においてデザイナーと協業する上で、気をつけてきたことをご紹介したい。

1. Yes and …

デザイン的なマインドセットの形容として真っ先に出てくるのがこの言葉である。

これは、アイディアや提案に対し、まずは受け止め(Yes)、その上で「いいね、じゃあ◯◯しよう」とさらにアイディアを付け足して(And) で返答するマインドセットのこと。さらに別のアイディアを提案したり、新たな情報を付け足すことで、そのアイディアの広がりを生み出すことができる。

このマインドセットのメリットは、心理的安全性が高められ、コミュニケーションが円滑になるということだと実感している。誰しも真っ向から否定されてよい気分にはならないだろう。

発言をしても即座に否定されることを恐れてそもそも発言が少ない状況になると、議論自体が活性化せず、元も子もない状態になる。

かくいう筆者も、実はある時までは、たとえばデザインコンセプトの立案を依頼したデザイナーに対し、フィードバックをするなんて恐れ多い… などと、皮肉のような情けない尻込みをしている時期があった。「デザイナーに対して、デザインのフィードバックを、非デザイナーである自分がするのか?」という具合に。

デザインマインドセットの一つ : Yes and…

しかし、「こういうアイディアもあるのでは?」とYes and 的なフィードバックをしたことで、そこからさらに様々な方向性を検討することができ、結果的にチームとしてよいものを作り上げることができた。

ちなみにPixer社では、Plussing (Plus + ing)というフィードバックの手法を取り入れている。Plussingとは、新たなアイディアを思いついた時、否定するのではなく、そのアイディアにさらにアイディアを足すことで、よりよくしようと努めるまさにYes andに基づく方法だ。

あっと驚くクリエイティブな世界を見せてくれる裏側にはこうしたオープンマインドでYes Andな姿勢があるのかもしれない。

2. Start at the end

直訳すると「終わりから始めろ。」つまり「逆算思考を持って推進せよ」ということだ。筆者自身、入社後にデザイナーの同僚から教わって以来大切にしてきた言葉だ。

ゴールを定めそこに向かって走る

これはむしろ、ビジネスで一般的な考え方だろう。目標を先に決め、それに向かって戦略を組み立てていく。この過程で、終着点を見据えることで、途中の課題や妨げになる要素を予測し、それを乗り越えるための戦略を練ることができる。

しかし、デザインにおいても、結果や最終的な目的を先に想像し、それから逆算してプロセスを始めることが効果的だ。そもそもユーザーがどんな体験を求めるのかを探ることから始めるケースも非常に多いが、たとえば製品開発においては、まず最終的にユーザーが求める体験を考え、それを実現するためのデザインや機能を構築していく。

また、非デザイナーとしては、このStart at the endの考え方を持つと、たとえばクライアントプロジェクトにおける最終的な成果物は何になるのか。資料をまとめる上で、ドキュメントであるべきか、スライドの資料であるべきか…など、物事の「枠」を考える癖をつけることができる。

この癖をつけることで、根本的な勘違いや手戻りによるロスタイムを減らすことができ、効率的なプロジェクト推進につながると思っている。

3. Done is better than perfect

デザインというよりはむしろシリコンバレー的なマインドにも重なる部分が大きいこちらは、Meta(旧Facebook)の創業者でありCEOであるマーク・ザッカーバーグの名言。意味は「完璧を目指すより、まず実行することに価値がある」。

完璧を目指すよりもまずはやってみる。

こちらも、「デザイン会社である」に並ぶくらい重要な「サンフランシスコ・シリコンバレーに拠点がある」btraxで仕事をしていて日々その重要性を感じる言葉である。そしてこれもまた、スピード感が明暗を分けるさまざまなビジネスシーンにおいて言えることだと思う。

この考えを念頭に置くことで、時間とリソースの効率的な活用を促し、成果を生み出すための動き方に意識的になれる。特にデザインタスクでは、何度も修正や改善を重ねることがあるが、常に完璧を求めてしまうと、進捗が遅れたり、アイディアそのものの実現が難しくなることがある。

また、筆者のマーケティングのフィールドで言えば、早期の段階で実行に移し、リアルなデータやフィードバックを元に進化させていくことが重要になる。変化が速い現代において、柔軟性を持ってアクションを起こしていくことが必要だと思う。

また、この言葉は特にデジタルサービスとの相性が良い。なぜなら、デジタルサービスは多くの場合、”完璧な状態になる日は来ない”から。

まずはリリースをし、その後小さなアップデートを繰り返してサービスの質を上げていくというスタイルが叶うデジタルサービスは、逆にいうと、リリースしないと何も始まらない。軽いフットワークで動くことの重要性を物語る言葉だと思う。

また、早めにリリースすることのメリットは、その分早くユーザーや周囲からのフィードバックを受けられることだろう。

「三人寄れば文殊の知恵」ではないが、そのサービスに注がれる視線が多いほど、様々な角度からのフィードバックを得られることは明白だろう。その声を元にどんどん改善をしていった方が結果的により速く、よりユーザーニーズに沿ったサービスになるのではないかと思う。

デザイナーと働く上で意識すべきこと

次に非デザイナーとしてデザイナーと働く上で意識してきたことをご紹介する。実は、デザイナーの仕事の2/3はコミュニケーションであると言えるほど、コミュニケーションが重要なウェイトを占める。

これはつまり非デザイナーとしても、デザイナーと意思疎通をするシーンや時間が多いことを意味する。特に、新規事業や事業開発、コミュニケーション、ブランディングなどの部署にいらっしゃる方はデザイナーとのやりとりが日常的に発生するのではないだろうか。

下記は、デザイナーがクライアントワークにおいて往々にして遭遇する「しんどいシーン」をまとめているおもしろ切ない動画だ。

これを見て思うのは、決してクライアント側に悪気があるのではなく、デザイナーとの効果的なコミュニケーションの方法を知らないことも多いのではないかと思う。(非デザイナーとしてはぜひとも反面教師にしたい。) 以下にご紹介することが少しでもその助けになればと思う。

1. HOWではなく、WHYを伝える

デザイナーに意図を伝えるのは必須だ。具体的な作業をお願いするのではなく、達成したいことを伝えることがポイントだ。

よくあるのが、非デザイナーからデザイナーへのフィードバックとして「ここの文字を赤にして」「ここの文字を大きくして」という具体的な作業指示 (HOW)。しかし、これでは本質的によいデザインになるとは限らない。

また、こういったHOWのみを伝えるコミュニケーションが常態化した場合、デザイナーは指示を受けてその通りに修正するだけの下請け的な動きを強いられることになり、モチベーションも落ちてしまうだろう。

そうではなく、理由や意図(WHY)を伝えるのだ。文字を目立つ赤色にしたいのも、サイズを大きくしたいのも、おそらくその情報を確実にユーザーに伝達する必要があるからではないだろうか。

したがってデザイナーに伝える時には、「この目的を達成するために、この情報をしっかりとターゲットのユーザーに届ける必要がある」という形で伝えるようにしたい。

目指す目的を達成するためには、必ずしも色を変えることだけが方法ではないこともありうるし、意図を達成するためのデザイン的なアプローチの引き出しは、きっとデザイナーの方が豊富であろう。非デザイナーにとっては、それを解決するための手段として、色やサイズを変えることしか思い浮かんでいないだけかもしれない。

このように伝えれば、デザイナーとは指示出しと御用聞き、という関係性ではなくむしろ、お互いにフラットに、目的を果たすための建設的なディスカッションを行うことが容易になるだろう。

2. 制約を設ける

クリエイティブには制約が必要だ。ここでいう制約とはざっくりと、期限という時間的な制約と、進行する上で守るべき条件/項目といった発想や作業的な制約に大きく二分される。

非デザイナーは、デザイナーに対していわば「制約を設ける」側に立つことが多い。枠組みを作り、その中でデザイナーに躍動してもらうために制約を設けるのだ。

実際の仕事の中で制約を設けるときに作っているのが、「デザインブリーフ」である。

デザインブリーフとは、制作物の意図や目的、そして制約などをまとめたもので、デザイナーに明確なディレクションを伝え、彼らと目線を合わせた上で、作業に取り掛かってもらうために重要なアイテムである。筆者もデザイナーにタスクを依頼するときは必ずデザインブリーフを作成するようにしてきた。

制作物の意図や目的、そして制約などをまとめたデザインブリーフ

3. 効果を伝える

実際に効果を伝えることは非常に重要だ。これだけの効果を獲得できた、ということを数値と併せて示そう。客観的な数字を以って自分のデザインが評価された、うまくワークしたことが伝わるとよい。これはモチベーションに関わるトピックだ。

デザインそれ自体では定量的に評価をすることは難しいかもしれない。それでも、たとえばそれを用いたマーケティングキャンペーンの効果やパフォーマンスなど、デザイナーにとってはモチベーションをあげる有効な指標となる。

デザインの役割の一つに課題解決があるということは冒頭の通りだ。特にビジネスの文脈におけるデザインはこの役目を担うことが多い以上、実際に生み出されたデザインが、役割を果たせたのかどうかは適切にフィードバックをする必要があると感じている。

ここまでデザイナーとのコミュニケーションにおいて意識してきたことを3つをまとめて思うのは、非デザイナーができるのは、デザイナーが仕事をするために、適切なフィールドを用意し、適切なお伝えをすること、これに尽きるのではないかということだ。

デザインの効果を伝える

デザインという大海を見ることのススメ

デザインの世界はまさに大海であり、そこに漂う自分は井戸から出たばかりのカエルだと思う。

ますます広義化するデザインは、知れば知るほどわからなくなることさえある。でも、”ゆでガエル”にならないために、ぜひビジネスに活かせるデザイン、マインドセットとしてのデザインに興味を持って、学んでいただきたい。

自社のビジネスにデザインを取り入れたい経営者や外部デザイナーの活用に困っている方のBtraxへのお問い合わせはこちら

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