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アシックスが、2月9日開催の2023年12月期決算説明会で、人的資本資本投資を強化する方針を明らかにした。同期の好成績を受け、臨時一時金としてグローバルの全従業員に約10万円を支給するほか、2024年以降に入社する新卒の初任給を大幅に引き上げることを発表。4年制大学の卒業者(学士)の給与は、従来の22万2000円から27万5000円に引き上げ、修士課程の修了者の給与は23万5000円から29万円に、博士課程の修了者には、これまで給与規程を設けていなかったが、今後は一律で32万円を支給する予定だという。昇給率は約23%。
同社は、2023年12月期の売上高、営業利益、当期純利益のいずれも過去最高を計上。売上高は前年比17.7%増の5704億円、純利益は前年比77.4%増の352億円となり、営業利益は、同社が中期経営計画2023として策定していた250億円を大幅に上回る542億円(前年比59.4%増)で着地した。
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アシックスは、臨時一時金の支給のほかにも、人的資本投資の取り組みとして、従業員の目線を資本市場と合わせることを目的に、持株会を通じた譲渡制限付株式の取得機会を創出するインセンティブ制度の導入や、資本コストを上回る利益の一部を原則従業員に分配する「プロフィット・シェア」型賞与の導入を決定したという。廣田康人会長は、給与について「新卒に限った話ではなく、今後も労働組合との交渉を進めていく方針。業界ナンバーワンの水準まで持っていくという目標のもと推進する」と説明した。
◆「完全に上昇気流に乗っている」全カテゴリーで増収増益
アシックスは、商品をカテゴリーごとに分けて経営を行っているが、2023年12月期では、全カテゴリーで増収増益を達成。ライフスタイル向けのスニーカーを中心に展開する「SPS(スポーツスタイル)」は全地域で2桁成長を記録し、主に欧州や北米での増益が目立った。中でも、アーカイヴモデルを復刻しストリートシーンで人気に火がついた「ゲルカヤノ 14(GEL-KAYANO 14)」は、前年比200%超えの売上を達成したという。「P.RUN(パフォーマンスランニング)」や「CPS(コアパフォーマンススポーツ)」も引き続き好調で、富永満之社長は、今年神戸で開催される世界パラ陸上競技選手権大会や、テニス4大大会への期待をのぞかせた。
アパレルカテゴリー「APEQ(アパレル・エクィップメント)」では、カテゴリーとしての経営開始以来、初の黒字を達成し、「オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)」のカテゴリー「OT」全体の利益は、前年比で倍増。欧州でのブランド認知拡大や、日本国内でのインバウンド需要などが要因で、廣田会長は「世界的なトレンドがきている」と説明。今年はブランド75周年を迎えることから、銀座へのポップアップ出店をはじめとしたさまざまなキャンペーンを打ち出していく方針だという。
廣田会長は、同社の現状について「完全に上昇気流に乗っていて、今後もさらに成長できる見込みがある。世界で戦える日本のブランドとなる礎ができたと思う」と話し、会見を締めくくった。
■2023年12月期 通期連結業績
売上高:5704億円(前期比17.7%増)
営業利益:542億円(同59.4%増)
当期純利益 352億円(同77.4%増)
■2024年12月期 通期連結業績予想
売上高:5900億円(前期比3.4%増)
営業利益:580億円(同7%増)
当期純利益:360億円(同2.1%増)
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